第九の聴きくらべをしております。
4月(新年度)のしょっぱなから一体なにをやっているのでしょう。
棚を見ていたら封を切ってないCDがあったのでこの際
聴いてみようということに!
ピカード艦長!
カール・シューリヒト指揮/パリ音楽院管弦楽団(1959)
ヘルベルト・ケーゲル指揮/ドレスデンフィル(1983)
第九は長いので、ステレオの前にどかっと鎮座して集中を
切らさずに聴くのはなかなか大変!
だから、楽章ごとに小刻みに聴くという方式で鑑賞しました^^;
いつもより細部に耳を澄ませると、楽器の動きもよくわかり
あらためて第九は練られた曲だと気付き、
ベートーヴェンに敬服するのであった。
そんな第九もいろいろな演奏があるけれど、今回の
2つの盤もかなり違っていて聴き比べの面白さを満喫した。
演奏時間は・・
1楽章 シューリヒト15.52 ケーゲル16.35
2楽章 〃 11.18 〃 11,19
3楽章 〃 16.17 〃 16.05
4楽章 〃 22.29 〃 26,22
全体にシューリヒト盤が速め、とくに4楽章は4分もの差がついている。
自分の″聴き耳ポイント″に沿って一言(では終わらん)だけ述べていくと、
1楽章、シューリヒト盤、終始軽快なのだけど、最後の半音階が出てくる部分のみ、急にどうしたの?というくらいテンポを遅めにしている。あきらかに意図的で不思議!
ケーゲル盤はその部分も変わらぬテンポを保っている。
2楽章、時間でいうとほぼ同じなのだけど、聴いた感じはシューリヒト盤がめちゃくちゃ速い!こけつまろびつ 倒れて起き上がれないうちに、綱が引っ張られていく犬の気持ちよろしく、オケメンも何人かは倒れたまま引っ張られている!?
一見、ケーゲル盤は列を乱さず軽快に飛ばしているのだけど、
途中、ティンパニが割って入る付点のリズム、これがえらい剣幕で
けんか腰なのには笑った!
「タンッタタン!」のリズムが「なんっだと!」に聞こえてしまう。
(ティンパニ、絶対怒ってるよ)(笑)
3楽章、殆どの方が心地よい眠りにつく楽章(とくに演奏会ではね)。
これもどちらも16分台で大差なし。3楽章はただ長いだけでなく、
多くのモティーフが登場しますし、切なく甘いハーモニーは
ベートーヴェンの愛情の深さであり、涙せずにはいられません。
静かで明るい森の中にいるような気分でございます。
甘さでいうと、シューリヒト盤のほうがやや抑え目(糖質制限)かしら。
4楽章、4分の差は大きい!これはかなり遅めのケーゲル盤と
かなり速めのシューリヒト盤で付いた差
シューリヒト盤の、1,2,3楽章の回想の部分も
さっさと終わらせている印象
口に食パンを咥えたまま、カバンを脇に挟み、行ってきまーすと
靴にかかとを浮かせたまま飛び出す高校生のような勢い!
ケーゲル盤は、器楽の部分は普通ですが、ソリストと合唱の、いわゆる
人間の声の部分がかなり遅めで、非常に丁寧に作っています。
バス(バリトン)の最初のソロ部分、
Freude, schöner Götterfunken,Tochter aus Elysium,
と始まる部分、シューリヒト盤はバスと木管楽器が
巨人とその肩周辺を飛び回る小鳥たちのごとく、調和している。
ケーゲル盤のほうは、バスと木管はお互い端正に距離を取りながら
調和している。
今回、ケーゲル盤のテノール歌手の声に惚れてしまいました!
調べたら、EberhardBüchner(エーベルハルト・ビュフナー)という歌手でした
今までに惚れたテノールは、ブンダーリヒとヘフリガーでしたが
このビュフナーさんも、共鳴が華やかで好きな声でした!
(巻き戻して2度聴きした)
人声に重きを置いている点ではケーゲル盤が安心して聴ける
(しかし最後の最後のプレスティッシモでは今までの遅れを取り戻すかのように疾風怒濤です!)
というわけで、比較するにもあまり脈絡のない二つの盤でしたが
ベートーヴェンへのアプローチとしては面白い2盤でした!
第九はそれこそ星の数ほどの録音(音源)がありますので
とくに今回は貼りません。
みなさんのお気に入りもそれぞれ違うでしょうしね
忙しい時に限ってこういうボリュームのあるものを
つい聴いてしまうのでした
おかげで、癒しと慰め、勇気と励ましをベートーヴェンからもらいました