近場の川で橋の上から

延べ竿を垂れる老人…。


えっ?ここで釣り??

初めて見る光景。


たまたま通り掛かりに見つけ

声を掛けてみた。


俺:「釣れますか〜?」


老人:「・・・・・」無言。


俺:「お取込み中スミマセン!」


真剣に釣りをしている最中に

邪魔をしてはいけない…。


そう思った俺はその場を去ろうと

「では」と挨拶をした。


その時だ。


老人:「コイが居るんだよ。」


「タモねえから掛かっても切れるんだ。」


俺:「面白いですね〜」


老人:「そうだよ、おもしれぇからやってる」


俺:「じゃあ次は竿、折っちゃって下さい」


笑顔でやっと俺の顔を見た。



深いですねぇ…。

これで釣り人は通じ合える。


普通なら切られて面白い事は無いだろう。

「切られる」=「面白い」のだ。


どうやらこの爺さんと俺は

価値観が同じらしい。


そもそもだ、

この橋で釣りをする人など

過去に見たことが無い。


これがすこぶる重要だ。


誰もやらないこの橋で

最初に糸を垂れた爺さんひらめき


後日、

違うオッサンがトライしていた。

リール付の強めタックル…


間違い無く開拓者爺さんに触発され

ここで釣りをやってるんだろう。


なんだろね俺、素通り。

興味なし。


どちらも正解だが、


俺は延べ竿爺さんの釣りに一票。

それぞれのスタイルがあって良い。


そう思った。