試合後の甲子園。
静寂を取り戻したフィールドで、
3番の背中が少し大きくなったように見えた。
第73回 甲子園ボウルは、
関西学院大学が37-20で早稲田大学に勝ち、
2年ぶり29回目の大学日本一を決めた。

"悪質タックルをされた人" "被害者選手"
そう言われ続けたここまでの道のり。
大きな"雑音"が響く日々だった。

そんな中で鍛練を続け、
2年生ながらエースとして試合を任される
存在にまで成長を遂げた。
目標であった大学日本一に辿り着き、
年間最優秀選手として表彰を受けた。

春に見たそれよりも、
12月の甲子園で見た3番の背中は
重みを増し、少し大きく見えた。

上級生の思いを背負い、
世間の視線を浴びながらも、
常に積極性を失うことなく
チームと自身を信じ続けた結果である。

積極性の裏には苦しみがある。
信頼の裏には勤しみがある。

私もそうだったが、
関西学院大学ファイターズで学ぶことは
それだった。

「上級生に助けてもらったので、今度は上級生として後輩を助けられるようになりたい」
2年生エースは、試合後に語っていた。

挑戦は続く。
年明け1月3日には社会人王者と
東京ドームで真の日本一をかけて戦う
ライスボウルが待っている。

私が、背番号3をつけたQBとして
敗戦したライスボウルは19年前のこと。
3番の背中に、
私の思いも少しだけ乗せさせてもらうかな。