大学でも社会人でも、
背番号3をつけた理由。
このブログ読者さんから、
コメントでご質問をいただいたので、
ここに綴ります。

原点。

若い選手に技術指導をするときに、
いつも思い出すことがあります。
クォーターバックというポジションの
出発点、府立箕面高校のグラウンドで
教わった基礎中の基礎。
1993年のこと。
ポジションにコーチがいなかったため、
15歳だった私は国内や海外問わず、
上手い選手のプレーをビデオで研究し、
真似ることで試行錯誤しながら
技術を習得すべく躍起になっていました。

そんな中、この高校で
ひとつ先輩のクォーターバックだった
藤原淳雄さんに教わったことが、
のちの私のプレーの下支えになりました。

藤原さんの背番号は3でした。
私が大学でも社会人でも3番を
背負った理由はそこにあります。

藤原さんは選手としてはイマイチでした。
私と同じ左利きでした。
肩が弱くて、パス攻撃は機能しない、
かと言ってボールを持って走れるわけでも
ありませんでした。
試合に勝っていた記憶もありません。

でも、藤原さんにはこだわりがありました。
毎度プレーが始まるたびに、
センターからスナップされるボールを
丁寧に受け取ること。
受け取ったあとは素早く動き出せるように
ステップの支度を整えておくこと。
受け取ったボールを両手で確実に持って
大事に扱い、味方の選手が走りやすいように
最大限に配慮して手渡すこと。
豪快にパスを投げるわけではない、
ボールをキープして独走するわけではない。
本当に目立たない、ごくごく小さなこと。

しかし、ここで教わったことが、
のちの私の高校時代のプレーにも、
大学でも社会人でも、
プレーが上手くいったことにおいて、
確実に大きく寄与していることは
間違いないのです。

私は正しいことを教わることができました。
本当にありがたい話です。

藤原さん本人にはそれを伝えたことがなく、
そして、この事実は藤原さんの周囲の
親しい人々が知るよしもなく。
なぜなら、
藤原さんは試合で活躍をしなかったから。
私がそれほど見習っていたとは思われていない。
いつか感謝の意を伝えたいと思っています。

毎年、若い選手との新しい出会いがあります。
私が教わり、実践して、
上手くいったプレーの基礎になったことを
出来るだけ分かりやすく伝えて、
それがフィットしたならば是非、
自身のプレーに生かしてほしいと思っています。

基礎のうえには個性が乗っかり、
やがてそれぞれの強みを生かした
プレースタイルに行き着くはずです。
それが上達というものでしょう。

可能性は、広げるもの。
上手くなる環境を提供できるように、
私もまた学び続けなければいけません。