突如、行われた日大側の記者会見。
日大広報担当者のゴタゴタは、
この問題の本質とは違う場所にあるので、
それについて言うことはありません。

私は井上コーチに問いました。
「宮川選手が会見で語ったことを、井上コーチは(この会見で)いくつか否定していますが、あなたが長年指導してきた宮川選手が嘘をついて間違っているということでしょうか?」

井上コーチは、
「間違っているとは思いません。彼が昨日(会見で)発表したことは、合っていると思います」
そのように答えました。

ここには矛盾が生じています。
選手の発言にあった内容を否定しておきながら、選手は嘘をついていないと言ったからです。
これは、高校時代から宮川選手を見てきた井上コーチの愛情が垣間見られた瞬間だと捉えています。

私はそれを確かめようと、この質問をしました。
コーチという役目にある人間は、常に選手に愛情を持って接する必要があるからです。
井上コーチの立場を考えると、言えることと言えないことがあったでしょう。
しかしながら井上コーチは、あの場で宮川選手を無下に突き放すことは出来なかった。
少なからず、そこにコーチとしての魂はあったと考えられます。

それは、
その後の私の質問に対する答えにも現れます。
「ということは、宮川選手が言っていたとおり、相手の選手に怪我をさせれば得であると、発したんですね?」

井上コーチは、
「損とか得とか言った覚えは…ありませんで、僕も熱が入っていて…、表現してしまった私が本当に未熟で、私が悪いと、そういう表現をして、(選手が)そういう気持ちになったと、それは本当に申し訳ないことをしたと思っております」
と、言葉に詰まりながら答えました。

怪我をさせろとは言っていないとしつつも、
そういう表現をしてしまったと認めています。
井上コーチ自身の発言が選手の反則行為を導いてしまったことを間接的に示しています。
宮川選手だけが悪いのではないという旨が、にじみ出た発言だったと、私は感じました。

この反則行為を発生させたことに関し、
監督やコーチを擁護する気持ちは私にはありません。
ただ、井上コーチの中に、コーチとしての自覚が完全に消え去っていなかったことは、わたしは確認できたと考えています。