闇夜の果て

闇夜の果て

そして僕は、何かを失う。



ここは、隼斗の書いた小説を更新していくブログです。


日常の事などは夜闇の果てに 書いております。



※またペタを受け付けない設定にしました。

すいません。



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『お前、俺を裏切りあがったのか!?』


『死ねぇぇぇッ!!!』


『千暁、お前も―…を裏切ってたのか…?』


『馬鹿みたい。あんたみたいな奴と―…るのは凄く簡単だったわ…』



脳内で、色んな声がぐるぐると回る。


…―さん。

何で僕を―…うとしたの?


…―さん。

何で僕を―…の?


ねぇ…。



ピピピピッ!

ピピピピッ!


目覚まし時計が鳴る。

僕はそこで夢から覚めた。


…嫌な夢だった。

忘れたはずの遠い昔の話。


僕はもうあの頃の僕じゃない。

殺人組織の期待の星・千暁だ。



「そう…僕は千暁だ。僕は…僕は…」



僕は暗示をかけるように、何度もそう呟いた。

何度も…何度も…飽きるほどに。



忘れたい過去ほど、鮮明に覚えている。

一度は愛した人達だから…。

今日の仕事はもう終わった。

時間はもう明け方。

俺…樺夜は、とあるカフェの前に居た。


カフェ 紫蘭


ドアには「close」と書いた看板が掛かっていたが、無視してドアを開ける。

ギィ…と軋む音がし、薄暗い部屋に足を入れた。



「あらァ、樺夜じゃないのォ~」



カウンターに一人の女が居た。

そいつ以外に、店に居る人間は居なかった。


彼女…いや、彼の名はミツキ。

俗に言うオカマである。



「約束通り、千暁くンは連れて来なかったようねン…」


「当たり前だろ。お前がそう言ったんだ、お頭」


「あらやだァ。その呼び方はいやン」



ミツキは苦笑いした。


そう…このカフェ、表向きはただのカフェ。

しかし、本当は組織のアジトである。


そして、このカフェの経営者であるミツキ。

その正体は、組織の頭。

こんなオカマでも、権力は凄いものだ。



「で、話って何だよ?」


「うン、水無月の居場所が分かったのよォ」



俺はその名にびくんと反応した。

ミツキはニヤリと口の端を上げる。



「別に…始末は他の人に頼ンでもいいけどォ。どォするゥ?」


「俺が殺る。…いや、俺達が殺る」



仇が取れる。

そう思うと、背中がゾクゾクした。

…今宵も月が綺麗だね。

でも、半月。

もうすぐ新月になってしまう。

俺の全てが奪われた夜と同じ月に。



「…おい、何考えてるんだ?」



樺夜に声をかけられ、はっとする。


今は仕事中。

今日のターゲットは…やくざの男。

もうすぐこの街中の道路にやって来る。

その情報を頼りに、僕たちは近くのビルの屋上に来ていた。



「ぼけっとしてると逃げられるぞ」


「…大丈夫だもん、ヤツはまだ来てない」



僕はしっかりとライフルを構えた。

ヤツが来たら、頭狙って引き金を引けばいい。



「それとも…僕の銃の腕を見誤っているのかい?」


「いーや。お前の腕は組織一だ」



樺夜の言葉を聞くと、僕はにこっと笑ってみせた。

僕は…こういう才能しか持ち合わせなかった。

もっとマシな能力は、無い。



「…おい、来たぞ。薬局の前だ」



僕は薬局の方を見やった。

スキンヘッド。

サングラス。

頬に傷。

間違いない、ターゲットの男だ。


僕はしっかりと狙い、ゆっくりと引き金を引く…。


パンッ


弾は瞬時に飛んで行き。

ヤツの頭に直撃した。

頭から血を吹きながら、ヤツは倒れた。


その途端、周りが騒ぎ出した。

血を見て、その場にぐったりする者。

恐怖のあまり、絶叫する者。

冷静に救急車を呼ぶ者。



「千暁…帰るぞ。ちんたらしてっと見つかる」


「うん、分かった」



ライフルをゴルフバッグのような物にしまい、僕たちはその場をあとにした。



裏切り者・水無月加奈江の行方は未だ不明。

死体を掘り起こした真意も、不明。