施術をしていると、ときどきこう言われます。

 

「先生、もっと強く押してください」「痛いくらいのほうが効く気がして」

 

その感覚、すごく分かります。ボクも昔は「しっかり揉みほぐす=良い施術」だと思っていました。

 

でも痛みの勉強を進めるほど、「痛いほど効く」はむしろ逆かもしれない、と考えるようになりました。今日はその話をします。

 

◆ 強い刺激は、脳に「危険」と伝わる

 

グリグリ揉む、強く押す、ボキボキ鳴らす。受けた直後は、たしかにスッキリした感じがあります。

 

ただ、強い刺激そのものは、体にとっては「痛み」の情報です。痛みの情報が繰り返し脳に届くと、脳はその場所を「危ないところ」として覚えていきます。

 

その結果、少しの刺激でも痛みを感じやすくなる。マッサージに通うほど、なんだか敏感になっている気がする——そういう方は少なくないんです。

 

◆ 「痛くない」アプローチもある

 

ボクが今、痛みのケアの中心にしているのが「神経ケア(DNM)」という方法です。

 

2005年に、カナダの女性理学療法士ダイアン・ジェイコブスさんが作りました。50年の臨床経験から、「長く続く痛みで大事なのは、筋肉や骨ではなく、脳を含めた神経のほう」だとたどり着いた人です。

 

やることは、皮ふにやさしく触れて、ご本人が「心地いい」と感じる位置で3分ほど待つだけ。痛いことは一切しません。

 

日本ではまだあまり知られていなくて、認定を受けたセラピストは2025年末で約84人です。

 

◆ なぜ「触れるだけ」で変わるのか

 

痛みは、傷の大きさだけで決まるものではありません。脳が「今は危ない」と判断すれば強くなり、「もう大丈夫」と感じれば引いていきます。

 

やさしく触れられて、あたたかくて、心地いい。その情報が届くと、脳の警戒がゆるみます。体の力が抜けて、血のめぐりも良くなる。ご本人が本来持っている「回復する力」が働きやすくなる、という考え方です。

 

筋膜リリースも骨盤矯正も、多くは「硬い組織をなんとかする」発想です。神経ケアは、そこに神経という別の視点を足します。

 

◆ 今日、ひとつだけ

 

もし今、痛くて顔をしかめるような施術に毎週通っていて、それでも良くなっていないなら。

 

一度立ち止まって、「この痛みは、本当に必要な痛みかな」と考えてみてください。

 

痛みをがまんしないと良くならない、ということは、ないんです。

 

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