お勧め漫画 SilverSpoon | Life is good!

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北海道で生まれ育ったためか、北海道出身の作者が描く北海道を舞台にした漫画が好きです。

単行本
最近の作品の中で特に面白いのが荒川弘著「銀の匙 Silver Spoon」です。

アニメや実写映画にもなっているので、そちらをご覧になった方も多いと思いますが、知る人ぞ知る北海道の基幹産業のひとつ… 農業を話題にした漫画なのです。
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舞台は、作者がかつて通っていた帯広農業高等学校をモデルとした大蝦夷農業高等学校・通称エゾノー。
主人公は、元々勉強(特に数学)が大好きだけど高学歴を望む父親の重圧と受験競争に晒され続けることに心身共に疲れ、中高一貫教育の進学校の中学部から寮生活のあるこのエゾノーの酪農科学科へ進学した高校生。
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主人公以外の生徒は親(家業)の農業を継ぐために入学して来たのに、主人公は都会(札幌)育ちで夢もなく農業高校に進学したため、初めてづくしの経験が目白押し。
クラスメートは、主に畜産や酪農家の子供達。
でも逆に農家育ちの級友達と目線が違い、いわゆる消費者目線で意見を言い合うことから級友にとっても良い刺激となり、仲間と更に交流を深めてゆきます。

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本作品、昔人気を博した「動物のお医者さん」(北海道大学獣医学部がモデル)の表現方法を一部まねています(私はそう感じました)ので、動物のお医者さんが好きだった方はすんなり受け入れられると思います。

ただ、より「命の大切さ・生きるとは他の命を頂くこと」を意識した内容となっているのが興味深いところです。

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そうなんです。
愛犬と暮らす方ならきっと誰もが一度は考えたことがある「生きると言うことは他の命を頂くこと」を題材にしているため、読めば引き込まれること間違いありません。

本作の主人公も肉として出荷される子豚に「豚丼」と名付けながらも育てて、最後はアルバイトしたお金で精肉となった「豚丼」を買い取り、正に豚丼にしたりベーコンに加工して美味しく頂いていました。
正に
・家畜はペットではないこと。
・乳量が減った牛、産卵率が落ちた鶏ば殺処分されてしまうこと。
・家畜(経済動物)は怪我したら即、生きるか死ぬかの選択を迫られるということ。
・人間は沢山の命を頂いて生きていること。
を学んでいきます。
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他にも主人公の同級生の実家(酪農)が離農したため自主退学したり、生産者と農協の関係や農産物の輸入関税撤廃問題など、日本の農業が直面している話題なども描かれています。

私の母の生家が酪農地帯だったことから離農した知り合いもいるのと、私の実家が旭川の郊外のため、農家の友達がいたこともあり、うなずけるシーンが多々ありました。

私としては、作中において主人公の副次的な話題である父親との確執、置かれている境遇が私自身の中学時代から高校→大学への進学に重なる所が多いことも気を引く要因でしたが…
(他に多感な時期に寮生活を送るシーンも重なります)

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単行本は現在第11巻まで出版されています。
現在物語は、主人公が
・生産(一次産業)
・加工(二次産業)
・販売(三次産業)
を一気に手がける会社設立を目指しています。
これは、夏の北海道紀行 2013年編 その2(リンクします) で立ち寄った FarmDesigns(HPにリンクします) の社長が実践し、成功を収めている内容です。
主人公はまだ高校2年生なので、今後の展開が気になるところです。

何よりもこの作品、命の大切さを考え、更に食育を考える切っ掛けになると思いますので、年代を問わずお勧めな内容となっています。

気になる方は、是非お読み下さい。

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あ、余談ですがこの作品、北海道弁(方言)が普通に使われています。
しかも北海道での標準的な口語体なので、読むと自然に北海道弁が理解できるようになるかも…
北海道に興味がある方にも是非!