業界激震の「C」ランク
第二幕です!
*具体的改善事項一覧(目次)*
改善ランク付け基準(私基準)
易 「A」即刻改善!
↓ 「B」インフラといて、最低限改善すべき。
↓ 「C」業界激震!しかし、改善すべき。
↓ 「D」そもそも論①
難 「E」そもそも論②
*********
「A」①最低速度の運用 指摘済み
「A」②連携割引の規制 指摘済み
「A」③相対割引の禁止 指摘済み
「A」④クローズド最低利用期間 指摘済み
「B」①在庫の運用 指摘済み
「B」②期間限定割引の運用 指摘済み
「B」③対象者限定割引の運用 指摘済み
「B」④料金プランは二つ 指摘済み
「C」①プライスキャップ 指摘済み
「C」②新規事業者と公正競争 今回
「C」③一物一価の運用
「C」④料金プランは一つ
「D」 格安スマホ事業者の存在意義
「E」 NTT復活
「結論」 通信速度による料金設定
※別個の記事にする事としました。
*********
さてさて…
幾度と無く紹介する法律。
電気通信事業法第1条。
この法律は、携帯通信業界の根幹。
その「1条」は最も重要な理念。
再々々度、条文を紹介します。
この法律は、電気通信事業の公共性にかんがみ、その運営を適正かつ合理的なものとするとともに、その公正な競争を促進することにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もって電気通信の健全な発達及び国民の利便性の確保を図り、公共の福祉の増進する事を目的とする
記事⑪では最後の「健全な発達及び国民の利便性の確保を図り、…」と言う箇所に対し、その目的を達成出来ていない事を指摘。
記事⑫では冒頭の「その運営を適正かつ合理的なものとする」と言う箇所に対し、その合理性に疑義を指摘。
今回の記事では
「その公正な競争を促進することにより」
と言う箇所。
そして…今回も、法律の理念が「未達成」である事を指摘する事となります。
「公正な競争」
とは。
問題は二つ。
一つ目
「公正な競争」と言う議題で、携帯業界を語る際、必ず出てくる話があります。
それは、周波数の問題です。
以下、各事業者に割り当てられている周波数です。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220217/00/hayashitakanoridou/eb/1a/j/o1406099715076114014.jpg?caw=800)
細かい解説は致しませんが、ポイントを1つ。
2.5GHz帯を含むそれより「右」側は現在(2022年2月)、一般的にエリア展開として使われている電波ではありません。
(5G用の電波も通常のエリア展開と言う点においては、現時点では除外させてもらいます)
と、すると、この表は以下の様に修正出来ます。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220217/00/hayashitakanoridou/eb/29/j/o0728062215076115993.jpg?caw=800)
この様に見ると、楽天に対して、割り当てられている周波数が非常に少ない事が分かるかと思います。
そして、目下、もっとも問題となっているのが、左側の三列「700帯」「800帯」「900帯」のライン。
所謂、プラチナバンドと言う帯域です。
この業界の歴史に明るい方なら、その昔、ソフトバンクがこの「三列」を割り当てられず、エリア構築に苦心していた事、ご存知かと思います。
この700-900の帯域は、通信速度と繋がり易さのバランスが非常に良く、携帯の電波においては「必需品」と呼べる帯域なのです。
この周波数の割り当ての「不公正」から現実に発生してる事。
それが
「楽天モバイル、屋内でつながらない」問題
なのです。
これは、
楽天が頑張ってどうこうなる問題ではありません。
総務省がその様に「割り当てている」だけの事なのです。
繋がり易い電波を割り当てられているドコモ、au(UQモバイル)、ソフトバンク(ワイモバイル)と割り当てられていない楽天モバイル。
そこに
「公正な競争」が成立する訳が無いのです。
※表内の「UQ」と「UQモバイル」は別物です。(ここでは詳しく述べません)
ドコモとau(UQモバイル)とソフトバンク(ワイモバイル)は剣(武器)を持って戦っている。
しかし、楽天モバイルだけ、素手で戦っている
この様な表現にも変えられます。
この状況で
「公正な競争」
なんて、言える訳がない。
ここまでが、「不平等(不公正)」な競争として、一般的に指摘されるレベルの話です。
二つ目
ここから、業界のプロである私がもう一歩踏み込んだ「不公正」を指摘させて頂きます。
「下駄を履いていない楽天モバイル」
これも楽天モバイルが努力して、解決出来る事ではありません。
非常に簡単に各社の歴史を纏めます。
〇NTTドコモの場合
日本電信電話公社(NTT)→日本電信電話株式会社(NTT)
→NTTドコモ
〇KDDI(au:UQ)の場合
国際電信電話公社(KDD)→国際電信電話株式会社→
日本高速通信(株)(日本移動通信) →
第二電電(株) →
→KDDI
〇ソフトバンク(ソフトバンク、ワイモバイル)
日本国有鉄道(現JR)…→日本テレコム(J-PHONE)→ボーダフォン
→ソフトバンク
※日本国有鉄道が「携帯」事業を行っていた訳ではありませんが、この後説明する「下駄」を理解しやすくする為に表記致しました。
「…」で表現。
〇楽天モバイル
フュージョンコミュニケーションズ→楽天モバイル
携帯電話の通信には膨大な設備投資が必要。
その基地局の整備には「土地」も当然必要であり、基地局を結ぶ「物理的な通信回線」(幹線)が必要な訳です。
●この記事で各会社の歴史の詳細を振り返る訳では無いので、要約して話を進めます。
NTTドコモについて
NTTドコモは泣く子も黙る「日本電信電話公社」直系の会社。
日本電信電話公社(「通称」電電公社)は、国策会社であり、1985年まで、日本の国内通信を唯一行っていた会社であり、無二の存在でした。
当然ながら、日本中に自前の設備と通信幹線を「膨大に」「当然に」保有。
分かり易いかどうか分かりませんが…
既に日本中に「ホース」が敷かれており、その上に「基地局」と言う「木」を植えて行った…
(そして、日本全国の都心部に支局があった為、そのビルに「木」を植えればよかったのです)
KDDIについて
前身会社の一つ「KDD」。実はNTTと兄弟なんですよねぇ…双子と言った方が良いかも知れません。
何せ同じ日本電信電話公社(戦前はもう少し複雑です)が出自な訳です。
KDD…国際電信電話「公社」。こちらも国策会社です。
NTTと同様に1985年まで、日本と海外を結ぶ国際通信を唯一行っていた会社であり、無二の存在でした。
日本高速通信(日本移動通信)が管理していたのは全国を結ぶ高速道路事業を行う為に日本中を張り巡らされた数千キロに及ぶ通信用幹線。
当時の公官庁である、建設省も主導し、設立された会社。そして、トヨタ自動車も資本参加。
ソフトバンクについて
鉄道を運行するには「通信」回線が切っても切り離せません。
先述の高速道路と同様に、鉄道事業を行う為に日本中に通信回線が張り巡らされていました。
その通信回線を管理する形で日本テレコムと言う会社が存在。
その会社が中心となり、携帯事業を展開。
その後、様々な離合集散を繰り返し、ボーダフォン、ソフトバンクに買収されて行きました。
要はですね…(下世話な表現にしますね)
三社とも、税金がぶち込まれたベース(過去:実績)があったその土台の上で、携帯事業を行っているんですよ。
(厳密にはNTTやKDDは税金とは違いますが)
経営が大変とか5Gの設備投資がどうとか…色々言い分はあるでしょうが、
「ゼロ」から商売している訳では無い
と、言う事です。
三社とも
国家プロジェクトと言う資産を引き継いだうえでの携帯事業
と言っても過言ではありません。
楽天について
系譜上の前身会社は純然たる民間企業。
当然、三社の様な膨大な通信回線も土地も持ち合わせていません。
楽天だけ「下駄」(過去:実績)を履いていないのです。
(NTTの「下駄」は圧倒的です)
武器(プラチナバンド:周波数)も無けりゃ、靴(下駄:実績)すら履いていない。
素手と裸足で戦っている楽天。
本当に凄い。
良くやっています。
公正な競争とは
私は携帯通信業界において、現在の様な民間企業の利益追求合戦状態で管理すべきではないと考えます。
しかし実態は、権限を総務省が持ち、その様な体制(民間管理)を政治が容認している現実。
私見(私個人の)は置いておくとして、電気通信事業法を実効性のある法律にする為、何を以って「公正な競争」とするのかを再考しなければなりません。
大手三社が「持っている(持ってしまった)」過去から引き継がれてきた資産は今更、どうしようもありません。
しかし、一つ目の問題である周波数の問題は解決方法があります。
各社に周波数を割り当てし直す事はその一つ。
そして、もう一つは
新規事業者(楽天以外も)に対して、「公正」な競争が出来るよう、大手三社に超低コストのローミングを義務付ける
これもその一つ。
2019年7月。楽天参入に対するNTTドコモの吉澤社長(当時)のコメント(リンク2019年10月4日:ITmedia)
自社回線で参入するなら、貸出回線によるサービスからは撤退すべき。公正な競争ではなくなる。
→私の言っている事(「公正な競争ではない」と言う箇所)と同じですが、争点が全くズレています。
KDDIクラスの「過去:実績」を持つ会社がNTTの設備を借りて、MVNOとMNOをダブルで事業展開しようとするなら、この発言は理解出来ますが…。
先に述べた様に公社時代から膨大な資産を引き継いでいるNTTと「公正」な競争が出来る事業者が存在するのか?と言う事です。
何の「下駄」も履いていない楽天がNTTと対等に競争出来る訳が無いのです…
2022年2月楽天決算発表(楽天グループ決算発表リンク)
楽天モバイルの事業では4000憶円を超えるマイナス損益となっている。
そのマイナスに大きく影響しているのがKDDIに対する楽天が割り当てられていないプラチナバンド(700-900帯周波数)のレンタル料金。
私には…
貴族(KDDI)が、お城の上から、平民(楽天)に対して「高値」で「施し(プラチナバンド)」を与えている
その様な姿に見えてなりません。
KDDIの「お城」は自身が、汗水たらして、「ゼロ」から構築したものではありません。
だからこそ、「公正」な競争とする為に「超低コスト」のレンタルを義務付けられても仕方ない。
十分すぎる程の「下駄」を履いて、スタート「させてもらっている」のですから。
総務省のなすべき事
再三言いますが、私は民間企業による利益追求合戦を用いた、携帯通信産業の管理を肯定しておりません。
しかし、その体制(一見、「公正」な市場経済)での管理をこのまま継続するならば、
真に「公正」な競争を実現せねばなりません。
記事④で述べさせてもらいました。
多くの民間企業において、体裁を取り繕った「理念」を掲げ、現実は目先の「お金」のみに集中していると。
戦後から高度成長期なら…
物もない、お金もない、何もない。
この様な「乾いたスポンジ」の様な状況の社会なら「売れや」「作れや」で、理念は二の次で良かったと思います。
しかし、21世紀の現在は状況が異なります。
物質的な豊かさの中で物事の本質的な事が重要になっていると感じます。
SDGsもそうですよね。
「本当に必要なエネルギーですか?」
「本当に必要な開発ですか?」
「本当に必要な食べ物を購入していますか?」
総務省、政治家が本質的な問題に真摯に向きあう必要がある。
記事④の例えの様な「営利目的」の民間企業ではないのです。
総務省は。政治家は。
ですから、自分達が法を以って、明確にしている目標に対して真摯に向きあい、国民の規範と成らなければならない。
現在の電気通信事業法に対する取り組み。
最重要である第1条。
〇運営を適正かつ合理的に出来ておらず、
〇公正な競争を構築出来ておらず、
〇健全な発達及び利便性の確保も出来ていない…
何の為の法律なのか、真剣に考えてもらいたい。
お願い致します…
総務省殿…
以上