催眠にかかっていることを教えてくれる被験者からの無意識のシグナル

とりあえず先に言っておくと、今日の内容は、『現代催眠術の技法』と『最強の催眠術』のキャンペーン特典映像を観たことがある前提で話をするところがあるので、どちらも所有しておらず、理解できずにモヤモヤするのが嫌な人はここから先は読まないほうがいいと思います。

さて、連日、『最強の催眠術』のキャンペーン参加者にプレゼントしている特典動画のコメントが寄せられています。

その中に、「林先生は、まぶたのカタレプシーをかけるのが驚くほどさりげないですが……」といった文面の一部がありました。

催眠術師にとって、このカタレプシー（筋肉硬直を起こす催眠）は重要です。うまくいけば被験者の被暗示性がグンっと高まるし、失敗してしまうと、そこまで築いた信頼を取り戻すのに何倍もの作業が必要になってきます。

だから、カタレプシーをかけるときは、ほぼ失敗しないことに確信が持てたあとで施すのが基本です。

そこで重要になってくるのが、被験者が催眠にかかったことを教えてくれる無意識のシグナルと、それを見逃さない誘導者の観察力です。

催眠にかかっているかどうかの観察点や、どの程度の深さにいるかの観察点はいくつかあるのですが、今日はその中のひとつをお教えしようと思います。

これは何度も催眠にかかっている人が催眠に入って行くところを見てもあまり勉強になりません。

たとえば、前に何度がかけたことのある女性を連れてきて、自分のスクールの生徒がかけているところを撮影し、いかにも初めてかけたように見せている宣伝動画などは何回観ても意味がないということです。

催眠にかかったことのない被験者が、初めて催眠にかかるときなどは、カタレプシーをかけても大丈夫だと教えてくれている被験者のシグナルをしっかり観察する必要があります。

そのわかりやすい例が、催眠術学習DVDプロフェッショナル催眠術『現代催眠術の技法』の最後に収録しているメイキング映像に出てきます。

本当は、キャンペーンの特典映像として撮影されたものなのですが、お願いして本編に入れてもらいました。

このメイキング映像で私がMCをしていただいた米澤さんに催眠誘導を行っているシーンで、まぶたの開閉を繰り返して、そのまま禁止暗示に変更するところがあります。このタイミングは「そろそろいいだろう？」といったあやふやなものではなく、カタレプシーをかけても大丈夫な状態に入ったことが、被験者のある部分に現れたからカタレプシーをかけています。

このシグナルは本当に一瞬なのでよそ見をしたら見逃してしまいます。

そして、これとまったく同じシグナルが、現在キャンペーン開催中の『最強の催眠術』の特典映像でも観られます。

凝視法を開始し、閉眼暗示を繰り返しながら、私がまぶたにカタレプシーをかけるシーンがあります。この直前に被験者からシグナルが出ています。

特典動画をお持ちの方は、この辺を注意してもう一度見てみてください。

ちなみに、こういったことを考えても、催眠はセリフで覚えるのではないということだと思います。催眠の流れを台本で覚えてしまうと、相手のシグナルに合わせて暗示を切り替えることもできない催眠術師になってしまいます。

催眠誘導は相手のタイミングに合わせることが重要です。

優秀な催眠術師はラポール形成の段階からすでに相手のタイミングに合わせていたりします。そうなると、流暢（りゅうちょう）にしゃべれない部分がどうしても出てきますし、催眠誘導の最中も流暢には進められない部分が必ず何ヶ所かは出てきます。

逆にいうと、YouTubeなどを見ていても、いつも同じセリフを流暢にしゃべっている人ほど相手のタイミングなど気にしていないし、タイミングを合わせる技術も持っていないということです。

本格的に催眠を勉強していきたい人は、催眠はセリフや台本で覚えるものではないということを覚えておいたほうがいいと思います。

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