催眠誘導の正しい手順を知らないとテクニックの工夫すらできない

少し前に、催眠術のかけ方には正しい手順があるという記事を書きましたが、この手順を知らないと、テクニックに工夫をすることもできません。

人がどのような経路をたどって深い催眠に入っていくのかを解っていなければ、心理学や潜在意識の本を読みあさって、催眠術のかけ方に工夫を凝らしても、それはほとんど意味がなかったりします。

わかりやすい例でいうと、若い催眠術師の方がカタレプシー（筋肉が硬直する催眠）をかけるとき、ときどき「昨日の夜なにを食べましたか？」と聞いて、被験者が思い出そうとしているときに、「はいガッチガチ！！」と言ってこぶしを開かなくしたり、腕が曲がらない暗示を入れたりしていますが、これ、まったく意味がありません。

これで手が開かなくなる相手なら、「あなたの手は開きません」というだけで手は開かなくなります。「昨日の夜なにを食べましたか？」などといったテクニック（？）は、やっている方がすごいテクニックを使っていると思っているだけで、何の効果もないのです。

正しい催眠誘導の手順を知っている人なら絶対にこんな無駄なことはしないでしょう。

まさか、「過去を思い出しているときは潜在意識が優先になっているから暗示が入りやすい」などと思っているとしたら、それは大変な勘違いです。トランスへの道筋を解っていない証拠です。

潜在意識が働いているからといって暗示が入りやすいとは限りらないのです。人はそんなに簡単にはできていないということです。

どんなテクニックも正しい基本から生まれてきます。

何のためにそれをするのか？この作業はどうなったら完了なのか？この作業のあとは何をするべきなのか？

こういった基準になる作業手順がその人の中になければ、どんな工夫もほとんど独りよがりの空回りになるだけです。

ちなみに、正しい催眠導入の基本的手順を知るだけで、どの催眠術師が知識とテクニックをもっていて、どの催眠術師がデタラメをやっているのか一目見ただけで見分けがつくようになります。

権威やネームバリューだけで催眠を教えている人がわかるようになるでしょうね…

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