身体は小さいが、技やその存在感は大きいレスラーだった。そしてとにかくかっこいい。坊主で紺か水色のショルダータイツの時が一番好きだった。

僕はダイナマイト・キッドの試合で印象に残っている試合はあまりない。それはタイガーマスクとの試合でも。僕の勝手な印象なので、もちろん人によっては深く記憶に残っている試合はあるだろう。僕は逆に、どの試合でも技が力強く、手を抜かず、激しい攻防を繰り広げていたからかえってこれという試合がないのかも。

ダイナマイト・キッドはファンサービスをほとんどしない。ヒールであることを徹底していたように思う。
自伝で読んだが、入場の際、強く身体を叩いたファンをぶん殴り警察に捕まったこともあったとか。やり過ぎのようだが、ヒールは舐められたら終わりだ。ヤンチャでトンパチだが、ヒールとしてのしっかりとした信念があったんだろう。

ダイナマイト・キッドの技はどれも凄い。高速ブレーンバスターも流石に元祖だけあって他のレスラーよりキレがある。そして必殺技のツームストーンパイルドライバーとダイビングヘッドバッドの一連の流れは真似するレスラーがたくさんいて、いかに他のレスラーにリスペクトされているかがわかる。

ダイビングヘッドバッドと言えば、スキップヤングと言うレスラーに仕掛けた試合が凄かったらしい。トップロープから思い切り相手の頭部にぶち当て、自ら流血したらしい。残念ながら僕はその試合は見たことがないし、探したが見つからなかった。
この情報はグラップラー刃牙の作者が書いていたものだが、格闘技が大好きなこの作者が、この試合を見て青くなったそうだ。そこまでするのかと。ダイナマイト・キッドがモデルのジャック・ハンマーが、地下トーナメントの決勝の相手なのは、リスペクトしている証拠だろう。
プロレスファンとして、なんか嬉しい。

過酷な試合とステロイドにまみれたレスラー生活で肉体を酷使した結果、選手生活は短かった。
馬に使用するステロイドを打ったなんて話もある。でも、きっと後悔はしていないだろう。
この人ほど、プロレス人生をまっとうしたレスラーはいないのだから。