メリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ヴィオラ・デイヴィス


邦題が嫌です。何とかならないもんだろうか。

カトリック学校で若いシスター・ジェイムスはあるとき、フリン神父と男子生徒の関係に疑いを持ち、校長のシスター・アイロシスに相談する。シスター・アイロシスは神父の疑惑を初めから確かなものとして確信し、神父を追い込もうとする。

この映画はいろんな賞にノミネートされたり、とったりしているそうで。


小さな疑惑がどんどん大きくなり、人を不安にさせ、人を動かす。

枕にナイフを突き立て裂くと羽が風に舞って遠くまで飛んでいく、それをすべて拾い集めることはできない、それが疑惑(←正確にはちょっと違う?)という表現が素敵だった。

カトリック学校という狭い世界で生きる人達の信念とか、ある種の閉ざされた思考、世界の矛盾が映画の中に絡み込んでいて、短い時間なんだけれど、ずっしり来ました。

ラストシーンは胸に食い込んできた。


なんといっても俳優陣の演技がすばらしく、必見です。

メリル・ストリープの孤高、フィリップ・シーモア・ホフマンの外側からの見え方とは違う内面を持っている感じ、エイミー・アダムスの純粋さ健気さ、ヴィオラ・デイヴィスの抱えたのもの複雑さ(顔がこわい)。

彼らのかけ合い、感情の動きがスリリングで面白かった。

でも、あの一見よくわからない、偏屈に見える役をあんなに魅力的に演じれるメリル・ストリープはやっぱりすごい女優だと思った。


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一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)

曽我五郎  獅童、曽我十郎  笑也、小林朝比奈  猿弥、鬼王新左衛門  寿猿、化粧坂少将  春猿、大磯の虎  笑三郎、工藤祐経  右近



獅童の五郎は三方を割るところが決まらず動きが悪かったが、姿は立派だった。笑也の十郎は上げた手の位置が少し低く不安定。大磯の虎(笑三郎)、化粧坂少将(春猿)が美しかった。特に大磯の虎が立派。猿弥の朝比奈も良かった。右近の工藤祐経はこじんまりとしている。舞台を引き締める大きさが欲しい。



二、猿翁十種の内 黒塚(くろづか)

老女岩手実は安達原鬼女  右近、強力太郎吾  猿弥、山伏大和坊  猿三郎、山伏讃岐坊  弘太郎、阿闍梨祐慶  門之助


右近の老女の存在感に驚かされた。細やかな足使いに見える繊細で丁寧な部分と内側から出される激しい部分の対比。不気味で幻想的な黒塚の世界に引き込まれた。阿闍梨(門之助)、強力(猿弥)らも世界観を崩さず良かった。舞台美術、音楽も魅力的な舞台だった。




三、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)

小姓弥生後に獅子の精  海老蔵、老女飛鳥井  右之助、局吉野  歌江、用人関口十太夫  市蔵、家老渋井五左衛門  家橘



今回、海老蔵を見ていると前シテの小姓弥生を丁寧に踊っていている印象を受けた。

前シテ、後シテとして全く別物に分かれているのでなく、前シテから後シテの獅子への一本の線みたいのが見えた。獅子の舞も勢い、美しさがあった。


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壽初春大歌舞伎

通し狂言 仮名手本忠臣蔵

【大序・三段目】

大 序 鎌倉鶴ヶ岡兜改めの場(かまくらつるがおかかぶとあらためのば)

三段目 足利館門前進物の場(あしかがやかたもんぜんしんもつのば)

    同 殿中松の間刃傷の場(でんちゅうまつのまにんじょうのば)

高師直  藤十郎、塩冶判官  扇雀、顔世御前  孝太郎、足利直義  進之介、桃井若狭之助  翫雀



上方式の演出で舞台中央から幕が両開きに開く。話の流れのテンポが速い。

藤十郎の師直は顔世御前に迫るところがいやらしくてリアル。顔世の孝太郎はなかなか貫禄がある。若狭之助の翫雀は勢いがあるのはよいが、その場の空気を変えるような若者らしい清々しさがほしかった。進之介の足利直義は品はあるが少しもたつく感じが気になる。

三段目足利館門前の場。寿治郎の鷺坂伴内の軽さがよい。

殿中松の間刃傷の場で若狭之助に対する態度を一変させる師直はふてぶてしいが、塩冶判官とのやりとりでは、それほど師直のいやらしさを感じなかった。扇雀の塩冶判官の耐え方、刃傷に至るまでの感情の動きが見えにくかったせいかもしれない。



【四段目】

四段目 扇ヶ谷判官切腹の場(おうぎがやつはんがんせっぷくのば)

    同 城明渡しの場(しろあけわたしのば)

大星由良之助  藤十郎、塩冶判官  扇雀、大星力弥  壱太郎、薬師寺次郎左衛門  薪車、顔世御前  孝太郎、石堂右馬之丞  我當



扇雀の塩冶判官は品があるが、上方演出のテンポの速いことも悪く影響して、この人物の大きさ、深い部分が見えないため、切腹があまり重い場面になっていないのが残念である。薬師寺次郎左衛門がなかなか健闘している。

城明け渡しの場の背景の門の絵がパタンパタンとめくれてだんだん小さくなっていく演出は、背景が明るすぎたのか、藤十郎が作る神妙な由良之助と息があっていないような感じ、違和感があった。



【五段目・六段目】

五段目 山崎街道鉄砲渡しの場(やまざきかいどうてっぽうわたしのば)

    同 二つ玉の場(ふたつだまのば)

六段目 与市兵衛住家勘平腹切の場(よいちべえすみかかんぺいはらきりのば)



早野勘平  藤十郎、斧定九郎  翫雀、一文字屋お才  孝太郎、千崎弥五郎  薪 車、母おかや 吉弥(竹三郎 休演)、女房おかる  秀太郎



江戸演出とは大きく違う56段目は、揚幕から与市兵衛に「お~い、おーい」と声をかけながら登場する翫雀の斧定九郎が、悪そうでしつこくてよい。江戸の斧定九郎が「50両…」としか台詞を言わず、美しい「姿」で見せるのに対して、派手に人を殺し、好きに話し、地蔵を蹴倒し存分に人間くさい「中身」をアピールする上方の定九郎。どちらも違う魅力があるが、舞台上の変化があり、あきさせないのは上方演出かもしれない、と今回思った。

秀太郎のおかるは色気、愛嬌があって、今回は同じ役者が勤めるのであたり前だが、七段目のおかるに違和感なくうまく繋がる。おかる達が舞台上から去った後の静けさからその存在感、華を実感した。

一文字屋お才は孝太郎で、おちつきと冷たさがあるのがよかった。寿治郎の源六が役目を果たしつつ、自分の持ち味を出して、他の役者を際立たせているのがうまいなあと思った。

藤十郎の勘平は心がまっすぐで、いつのまにか引き込まれてしまった。静かに人の心をつかむ力に圧倒された。吉弥のおかやも熱演で、感情がぶつかり合う熱い芝居だった。



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・通し狂言 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)

渡海屋・大物浦

渡海屋銀平実は新中納言知盛  吉右衛門、女房お柳実は典侍の局  玉三郎、相模五郎  歌六、亀井六郎  種太郎、伊勢三郎  尾上右近、駿河次郎 隼人、片岡八郎 巳之助、入江丹蔵 歌昇、武蔵坊弁慶  段四郎、源義経 富十郎


吉右衛門の銀平は余裕があって、自然で、銀平の姿の時から中身は知盛になっている。碇知盛は抑えた演技、もう少し荒々しいのを勝手に期待していたがこれくらいが適当なのだろうか。玉三郎はあっさりしすぎて、かいがいしくとまでは言わないが、もうひと味献身的な部分が見えて欲しい。知盛の妻、乳人らしく見えなかったので残念。この人(典侍の局)と知盛はどういう関係であったのか一瞬わからなくなった。お柳が義経相手に話をするところはもう少し陽気な方がいい。その義経(富十郎)は大将の潔さがあり、玉三郎の話をじっと探るような目で見つめていたのが印象的。義経の家臣たち(種太郎、尾上右近、隼人、巳之助)は若手で揃って爽やか。歌女之丞らの官女達よかった。歌六・歌昇(相模五郎・入江丹蔵)はこの役でのコンビは初めてとのことだが、さすが息ぴったり。注進のところは残念ながら記憶なし。段四郎(武蔵坊弁慶)が渡海屋の登場から存在感を出し、大物浦で知盛が身を投げた後は、花道でほら貝を吹いて静かに厳かに締めくくってくれた。



吉野山

佐藤忠信実は源九郎狐 菊五郎、静御前  菊之助、逸見藤太 松緑


菊五郎の源九郎狐は次の場面の四の切にむけて体力の配分を考えて動いている感じ。菊之助の静は美しく、行儀がよかったが、着物の胸元のあたりの不自然なふくらみが少し気になった。松緑は記憶が曖昧だが、道化らしく、なごませる雰囲気で良かったと思う。

川連法眼館

佐藤忠信/佐藤忠信実は源九郎狐  菊五郎、源義経 時蔵、静御前 菊之助、亀井六郎  権十郎、法眼妻飛鳥  秀調、駿河次郎  團蔵、川連法眼 彦三郎

彦三郎の川連法眼は館の主らしいどっしりとした構えと実直なところがよく出ている。秀調の飛鳥はもう少し神妙さがほしい。菊五郎は狐と佐藤忠信をはっきりと演じわけており、特に忠信の真面目で忠義に厚い人柄が立派だった。狐は親への愛情が溢れていたが、体力面で吉野山から続けて四の切を演じるのは少し厳しいのでは、と思ってしまった。菊之助の静が控えめで上品だが、もう少し勢い、メリハリが欲しい。狐に切りつけるところはもう少し動きがあったほうがいい。時蔵の義経は気位があり、堂々としていた。



・暫(しばらく)
鎌倉権五郎 海老蔵、鹿島入道震斎 翫雀、那須九郎妹照葉 扇雀、成田五郎 権十郎、東金太郎 市蔵、
足柄左衛門 亀蔵、荏原八郎 男女蔵、埴生五郎 亀三郎、小金丸 巳之助、大江正広 萬太郎、
加茂三郎 亀寿、局常盤木 右之助、家老宝木蔵人 家橘、月岡息女桂の前 門之助、加茂次郎 友右衛門、

清原武衡 左團次


全体的に少し間延びした雰囲気だった。

海老蔵の権五郎は迫力、力強さはあるが、それが溢れてくるところまではいかず、少し抑えた感じであろうか。

台詞まわしももう少し勢いが欲しい。入道震斎、照葉の翫雀、扇雀の関西勢の組み合わせが異なった彩りを加える。左團次の武衡がどっしりと構える。


・寿猩々(ことぶきしょうじょう)

猩々 富十郎、酒売り  魁春

・手習子(てならいこ)
娘お駒  芝翫


富十郎の猩猩は神々しく、人間ではない存在感。ひとつひとつの動きが神秘的な空気を作り出す魁春が緊張感からか非常に硬さがある。80歳を超える芝翫の可愛らしさに驚愕する。若い娘よりもさらに年齢が下の幼さかが溢れ、舞台の上に春の野辺が広がっていた。


・盲長屋梅加賀鳶 加賀鳶(かがとび)

本郷木戸前勢揃いより赤門捕物まで

天神町梅吉/竹垣道玄 菊五郎、女按摩お兼 時蔵、春木町巳之助 三津五郎、魁勇次 松緑、
昼ッ子尾之吉 菊之助、虎屋竹五郎 海老蔵、お朝 梅枝、御神輿弥太郎 團蔵、道玄女房おせつ 東蔵、伊勢屋与兵衛 彦三郎、雷五郎次 左團次、日蔭町松蔵 梅玉


木戸前勢揃いは役者が花道までずらりと並び、爽やか。菊五郎の梅吉が江戸っ子の威勢のよさを見せる。

御茶の水土手際の場から道玄の登場となるが、菊五郎の道玄には小悪党の飢えた感じがないのが残念である。顔の拵えもちょっと濃いのもあるだろうが、満たされた余裕のようなものが道玄には不要だと思われる。

時蔵のお兼はこ奇麗で、欲深さが足りないので、芝居の背景が見えにくいが、梅枝のお朝から話を勝手に飲み込むところはうまかった。

東蔵のおせつが地味に徹して、道玄に足蹴にされるところが痛々しい。

道玄の強請に彦三郎の伊勢屋与兵衛が毅然とした態度で接する。しかし少し動揺を隠しているように見えるのがいい。

梅玉の松蔵は貫禄があるが、あっさりとしている。

 
・戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)
浪花の次郎作 松緑、禿たより 尾上右近、吾妻の与四郎 菊之助


3名が丁寧に舞い、新鮮さ、若々しさはあるが、幕切れの舞踊にしては、少し物足りなさを感じた。