※これは、「愛しのショコラティエ」の二次小説(勝手な妄想短編物語)ですあせる



【そばにいて…】 葵井一吹編


「ふっくしゅん…」


これで何度目だろうか。

くしゃみをした後に感じる額の熱と悪寒を感じながらも、終らせなければならない雑務を熟していた。


部屋の暖房はいつも通りの温度に設定されていて、快適なはずなのに、やっぱり寒気を感じるのは“あれ”か、“あれ”に違いない。そう思いながらも、病は気からと、頑張り過ぎたのがいけなかったのか…


(37.7℃か…)


体温計の数字を見て、さすがにマズイと思った私は、冷凍庫に置かれたままのアイス枕を使用しようとキッチンへ向かった。


「うぅ、さぶい…」


冷凍庫を開けた瞬間、身震いを伴う。それでも、持参したタオルにアイス枕を包めていたその時…


「あれ、まだ起きていたの?」

「え…」


振り返った先、一吹さんの柔和な微笑みと目が合った。


「はい。一吹さんの方こそ、こんな時間なのに」

「そろそろ寝ようと思って横になった途端、次の新作が浮かんでね」


目が冴えて眠れなくなってしまったから、ココアでも飲もうかと思ったと言う一吹さんの声が、軽い耳鳴りに遮られる。


「それより、もしかして…」


一吹さんの、心配そうな視線を受け止め、


「ちょっと、風邪引いちゃったみたいで…」

「大丈夫…じゃ、なさそうだね」


そう言いながら、一吹さんは私からタオルごとアイス枕を奪うとしっかりと包み直してくれる。


「ありがとうございます…」

「こういう時は、遠慮なく頼ってくれて構わないから」

「…はい」


いつものように、優しい笑顔と耳を擽るような穏やかな声にそわそわし始めると同時に、そんな一吹さんの一言一言が、今の私には一番の薬のような気がした。


「どれどれ…」

「え…」


不意に近づいて来た端整な顔にドキドキと胸を高鳴らせながらも、その場を動けずにいるとすぐに一吹さんの吐息を間近に感じた。


(…あっ…)


一吹さんの額から微かな熱を感じる。


「あ、あの…」

「これは、ちょっとどころじゃないね…」


それは、ほんの一瞬だった。


俯きながらも、離れてゆく温もりを手繰り寄せたいと思った。次の瞬間、今度は左肩に手の平の熱を受け止める。


「これは俺が持っていくね」

「ありがとう…です」


高熱のせいで、ゆっくりとした私の歩幅に合わせながら寄り添ってくれる一吹さんの手の平が、いつの間にか腰元に降りて来ていたことに気づき、恥ずかしくて思わずその手に自分の手の平を重ねてみる。


「…かなり熱いな」


それでも、一吹さんからは普通に返されてしまう始末。


(ただ、具合の悪い私を支えてくれているだけだっていうのに。さっきから何を意識しちゃってるんだろう…私だけ…)


やがて、辿り着いたベッドに私をそっと座らせると一吹さんは枕を外し、アイス枕を定位置に置いてくれた。そして、再びお礼を言いながら横になる私を見守るようにベッド端に腰を下ろす一吹さんの、優しすぎる眼差しを受け止める。


「他に、何か欲しいものとかあるかな?」

「え、いいえ。もう…」

「ほんとに?また遠慮してない?」

「………」


今、欲しいものは一吹さんの温もりだけ。でも、それだけはお願い出来ないことだと分かっているから、これ以上は口に出来ないまま。


「ほんとに、もう大丈夫ですから…」

「そう。なら、俺はこれで」


そう言いながらゆっくりと立ち上がり、「明日は一日療養するように」と、言い残して部屋を立ち去ろうとする一吹さんを呼び止めた。


「あの、一吹さん…」

「ん?」


振り向き、その場に立ち留まったままの一吹さんは、次の言葉を待ってくれていて。でも、私はそんな一吹さんに、やっぱり本音を言えずにただ、「おやすみなさい」と、だけ告げる。


きっと、同じように寝る前の挨拶が返って来て、電気を消されるだけ。そう、思っていたのだけれど…


「○○ちゃん」

「…はい?」

「寝る前に、美味しいココア飲まない?」


その一言に、飛びつきたくなるほどの想いが込み上げて来るも、これ以上一緒にいて一吹さんに風邪を移してしまったらいけないという思いから言葉を濁していると、そんな私の想いに気付いているかのように、一吹さんは、「俺なら大丈夫。すぐに用意して戻って来るから少しだけ待ってて」と、言って部屋を後にした。


(…いつもながら、優しいなぁ。)



まだ、冬の凍てつく寒さに身を震わせていた時。身体が冷えた時はココアが一番だと言って、美味しいココアを作ってくれたことがあった。その時、市販のココアがこんなにも美味しくなるなんてと、感動したのを思い出す。


「確か、あの時は…キャラメルクリームがのってたんだったなぁ…」


意識が朦朧としながらも、あのココアの味を思い出して独り無駄に盛り上がっていた。




どれくらいの時間が流れただろうか。ほんの少しうとうとしかけたその時、「お待たせ」と、言って少し大き目のトレンチを両手で抱えながら戻って来た一吹さんを迎え入れた。


「これを飲んでぐっすり眠れば、きっとすぐに治るよ」


言いながら、テーブルの上にトレンチを置き、起き上がろうとする私に手を差し伸べてくれる。


「うわぁ、私の好きなキャラメルクリーム添えだ…」

「あの時、美味しそうに飲んでくれていたのを思い出して」

「すっごく嬉しいです…」


また、あの美味しいココアが飲めるのも嬉しいのだけれど、それ以上に、私のことを気にかけてくれる一吹さんの優しい気遣いが嬉しすぎて。


コートを羽織り、テーブル前に腰を下ろした私の目前にマグカップを置いてくれる一吹さんを見やりながら、改めてお礼を言った。


「ありがとう、一吹さん」

「喜んで貰えたようで良かったよ。それと…」


トレンチに置かれたままのショコラをマグカップの隣に置くと、一吹さんは嬉しそうな笑みを浮かべた。





「チョコレートも、一種の薬みたいなものだから」

「え、じゃあ…わざわざ、お店まで…」


美味しそうにココアを飲む一吹さんに、「いただきます」と、言って温かいマグカップを両手で持ち、ゆっくりと口に含む。


「美味しい!体がぽかぽかしてきました。チョコも戴きますね」


言いながらマグカップをテーブルの上へ戻し、一粒手に取って口に頬張ってみる。


「苦い…けど、美味しいッ」

「ココアが甘いから、主にビター系を選んでみたんだ」

「それ、大正解です!」



『レ・クラン』のショコラと出会い、その味とショコラティエに夢中になって約半年。見た目も味も、持て成しも、全てにおいて素敵だと感じるのは、一吹さん達が毎日、心を込めて作っているから。


だから、いろいろな人が『レ・クラン』のショコラを求めてやってくる。


そんなお客さまの想いに答えたい、これからも自分達の気持ちを伝え続けていきたいと、いう願いが込められているこのショコラには、絶対に何かしらの魔法が掛かっているに違いない。


素直にそう思える。



そして、もう一つ。

気怠さを伴いながらも楽しく感じられるのは、一吹さんと一緒だから…


「…あのね、一吹さん」

「ん?」

「もう一つだけ……わがまま言ってもいいですか?」

「勿論。でも、それはベッドの上で聞こうかな」


底冷えしているから、ベッドの中に戻った方が良いと促され、小さく頷いて再びベッドに横になると一吹さんはさっきと同じように、ベッド端に腰を下ろした。


その優しい手は、私の目元に掛かった前髪を梳いた後、左手を心地良い強さで包み込んでくれる。


「で、言いたいことって?」

「えーと…その…」


(や、やっぱ言えない…)


どうしてあんなことを口走ってしまったのだろうかと、後悔してしまっている自分を情けなく思いながらも、何か言わなければと考えあぐねていた。その時、右肘をついてこちらにぐっと近づいた一吹さんの息遣いを聞いた。


「もしも、そのわがままが、俺の思うようなことだとしたら…」

「…っ…」

「今すぐ、聞きたいかな」


(それって、私の想いを受け止めてくれるってこと?いや、そんな都合の良い展開なんてありえない!…でも、想われていなかったらこんなふうに一緒になんていて貰えないはず…)


いろいろな想いが交差する中、握り直されほんの少し上へと持っていかれる指先に、優しいキスを受け止めた。


「一吹さ…」

「言いづらいこと?」


熱い吐息が指先を掠めてゆく。


「あ、あの…やっぱり、何でも無いです!風邪引いて、ちょっと人恋しくなっちゃっただけで…」

「傍にいて欲しい…」

「え…?」

「と、言ってくれたら快く引き受けたいと思っていたんだけど。そういうことでは無さそうだね」


そう言って、私の手を布団の中へとしまい、離そうとした一吹さんの手を握り返した。


「私、ほんとは……ずっとそう思ってたんです」

「どう思っていたの?」

「…傍にいてくれたらなって」


ふと見上げると、一吹さんの少し驚いたような、でもすぐに柔和に細められる瞳と目が合い。


「俺で良ければ…」

「一吹さんがいい…」


(い、言っちゃった…)


恥ずかしくて、もう片方の手でほんの少し布団を手繰り上げると一吹さんの息遣いが更に近づき、


「キス…してもいい?」

「え…」


答える間もなく、確実に近づいて来る視線に絡め取られたまま、やわらかなキスを受け止めた。


(…っ…)


それは、ショコラのように甘くて。

唇が微かに震えた。


すぐに離れてゆく唇。

視線を逸らし、またゆっくりと私に向けられる瞳がほんの少し細められ、


「ごめん。返事、待てなかった」

「…っ…」


お互いの息遣いを間近に感じながら今度は額に、頬に。再び唇に落ちて来た優しいキスに身を震わせた。


「完璧、移しちゃいましたね…きっと」


微笑み合って、素直な想いを伝え合う。


“これからも、傍にいて欲しい”と。


 ・


 ・


 ・


これは夢?と、錯覚してしまうほどの展開に夢見心地だったからか、寝苦しくて目覚めた時には、暗い部屋にたった独り。一吹さんとの素敵な夢を見たのだろうと独り苦笑を漏らすも、


「…夢、じゃない?」


テーブルの上の小さな箱を目にして、少し軽くなった身体を起こしながら枕元の灯りを点けた。次いで、ゆっくりと立ち上がり、箱を開いてみると、そこには小さめのショコラが綺麗に並べられていた。


(私の好きなのばかり…)


一口かじって一吹さんの笑顔を思い出し、二口目には優しい温もりを思い出す。何より、私に囁いてくれた言葉が嬉しすぎて、やっぱり幸せな微笑みを浮かべずにはいられない。


「美味しい…」



いつまでも大切にしたい。


ショコラが繋いでくれたこの出逢いを…





【END】





~あとがき~


急遽、書きたくなってとうとう書いてしまいましたが…

イメージ崩してるような気がするガーン


まだ、本編…

仁くんしか攻略してないしあせる


イベも参加してないのに…無謀でしたガクリ(黒背景用)

でも、一吹さんのような優しい温もりに飢えていたのであせる


何となく、途中で…慶喜さんやら、秋斉さんやら、沖田さんやら、俊太郎さまが浮かんで来てしまったことは言うまでもありまへん…


もぉ、いつもながら好き勝手に書いちゃってガーン


一吹ファンの皆様!ごめんなさいッあせる



でもって、久々に…

無謀にもお絵かきしてしまった汗



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「もしも、そのわがままが、俺の思うようなことだとしたら…今すぐ聞きたいかな」


ってシーンで、ベッド脇。すぐ隣に肘をついてこちらを見ている一吹さん…って感じですあせる


特に、髪型と目が難しかった!目は、兄弟三人ともほぼ、同じ目をしているわけですが…やっぱり、一吹さんは、特に優しい感じが欲しいと思って…でも、微笑んでる感じが出せなくて残念ガクリ(黒背景用)




で、ドラマ版なら…ってことで。





こちらも久々に、「勝手にキャスト」しちゃいました汗


いつも、「ドラマ版」を考えた時に誰かが浮かぶんだけど…


今回は、D2の前山剛久くんが一番に浮かんできてハート


もう、これは個人的見解ですのでッ汗

きっと、皆さんには皆さんの好きなタレントさんや俳優さんがおると思うのですが!


雰囲気はピッタリかな??なんて…



あとは、三浦春馬くん。





↑これは、「ラストシンデレラ」の時だと思うのですが、もう少し優しい微笑みで、パティシエ服着させたらどうかな?なんてハート



それと、斉藤工くん。





いやー、妄想が膨らみます(笑)ハート



ちなみに!キャラメルココアの作り方なんぞもドキドキ



【キャラメルココアの作り方】


1、カップにココアと少量の牛乳を入れよく練り混ぜる。残りの牛乳とピーナッツクリームを入れ電子レンジで温める。


2、牛乳大さじ2を電子レンジで沸騰寸前まで温め、小さなホイッパーなどで泡立てる。


3、1の上にそっと泡を乗せ、上からキャラメルクリームをかけて出来上がり。



*キャラメルクリームの作り方*


生クリームを電子レンジで沸騰しないように温める。耐熱容器に砂糖と水を入れて混ぜ、電子レンジでキャラメル色になるまで様子を見ながら加熱し、キャラメル色になったら生クリームを加えて混ぜる。  




あー、作って貰いたい…


つーか、風邪とか引いたら看病されたい(笑)


ヽ(;´ω`)ノ




でもって、「僕がいた時間」は、来週最終回…


もう、最終回の展開が全然、読めません!!


毎回、自然と涙が零れて来て。

ヤバいです…


拓人はどうなるの?


守は?陽菜は?


陸人は?繁之は?


そして、恵は…


あー、観たいような、観るの怖いような…


拓人の綴る、日記の文字が…

どんどん、弱々しくなっていくのが辛い。


(TωT)



あと、何度も言いますが…


春馬くんと多部ちゃんがお似合い過ぎて!

もう、リアルでも結ばれちゃえ!と、思っちゃったりなんかしてラブラブ!






あとは、もっと時間が欲しいなぁー汗


春は、特に忙しいですねヽ(;´Д`)ノ


今回も、お粗末様でしたあせる