<艶が~る、二次小説>
今日は、古高俊太郎様の命日(旧)ということで、急遽、またてふてふあげは
さんに素敵な絵をお借りして、俊太郎さまと主人公ちゃんの1シーンを書いてみました
【ぬくもり】*古高俊太郎編*
絵:てふてふあげはさん
作:小春
季節は春を迎えた頃。
お使いの帰り道、桜並木が綺麗だと言われている川辺を通っていた時、川のせせらぎを見つめるようにして佇む、俊太郎さまを見かけて一人勝手に胸を高鳴らせる。
「あっ……」
桜の木の下で佇むその姿は、いつもよりも哀しげで…
……憂いを宿した顔がそこにあった。
「俊太郎さま…」
彼も、私に気付くと、いつもの微笑みを浮かべながら、ゆっくりとこちらへ近づく。
「こないところで、何してはるんどす?」
「あの、お使いの帰りで…」
時折、風に乱れる前髪を整える仕草は、相変わらず素敵で……低く囁くような声も、柔和な微笑みも、私の心を癒していく…。
「俊太郎さまは、どうしてここに?」
「……心を洗いに…」
「えっ?」
「いや、なんも…これから置屋へ戻るんやったら、わてが送って行きまひょ」
「…ありがとうございます」
それから、しばらく続く桜並木を通りながら、川のせせらぎを見つめていたその時だった。
「あれは…」
ゆっくりとこちらへ流れてくるものに目を凝らしていると、それはちょうど、私達の近くにあった岩と岩の間に挟まるようにしてその動きを止めた。
「葉で出来た小舟?」
「その上に、何か乗っとるようや…」
そう言って、俊太郎さまは岩に挟まった小舟を掬い上げると、そっと私の前に差し出した。
「うわぁ、可愛い…花びらを付けたままの桜が…」
「あんさんのその微笑みには敵んが…」
「えっ…」
ふと、目の前にある優しい瞳と目が合うと、私は恥ずかしさから思わず目線を小舟へと戻す。
「どんな人が作って、流したのでしょうね…」
俊太郎さまの手の平に乗せられた小舟を見つめながらそう呟くと、俊太郎さまは、「あんさんのような、気丈でかいらしい女子が作らはったんやろう…」と、言って微笑むと、その小舟をまた川に流し始めた。
私は、小舟との遭遇に癒された私達のように、また誰かに『素敵な想い』を受け取って貰えますように…と、いう願いも込めて、遠ざかっていく小舟を見つめていた。
と、その時。
不意に、やんわりとした感触に包まれると同時に、身体が宙に浮きあがり……気が付けば、私は俊太郎さまの腕の中にいた…。
「俊太郎…さま」
「桜の花のように…いや、それ以上に可憐なこの微笑み……。いつの間にか欲してしまうわては、ほんに……あんさんに心、奪われとる」
一瞬、俊太郎さまの端整な顔が近づくと同時に、柔らかな彼の前髪が私の額を掠め……
その両手から伝わる優しい温もりと、微かに漂う沈香の香りに包まれ始める。
「あんさんに触れとると…何もかもが、癒されるんどす」
……私もです。
そう、微笑み返すと、俊太郎さまは、「今、しばらくはこのままで…」と、言ってゆっくりと歩き出した。
桜の花びらが、私達の髪や肩をひらひらと掠めていく。
私は、偶然の出会いに感謝すると共に、いつまでもその温もりに包まれていた。
風に舞う、
儚き夢を抱きつつ
想いの果てにて
花と戯れん…
……人の命は脆くて儚い。
けれど、人は……
人を愛さずにはいられない。
【 END 】
~あとがき~
お粗末様どした
・°・(ノД`)・°・
池田屋事件後…。
一か月ちょいもの間、夏の暑い牢獄の中で…新選組による拷問を受けたことによる傷の痛みと、同志を裏切ってしまったという罪悪感に苛まれながら、それでも息をしていたのかと思うと…もう、胸が苦しくなりますよね
本物の、古高俊太郎が恋愛をしていたかどうかは分からないけれど…。
そして、今回は暗くならないように(笑)、あげはさんの素敵な絵を見ながらまたお話を作らせていただきました
短歌は、またまた俊太郎さま自身をうたってみました自分の野望を抱きつつ、せめて、夢の中だけでも、愛しい人と戯れたい…。
花エンド後でも、書かせて貰っている俊太郎さま。
今、この現世のどこかで、誰かとして生まれ変わっている可能性も無くは無い(笑)
だとしたら、他の偉人達も同じで…
この現代で、私達と同じ空を見上げている可能性もあるかもしれない。ぬぅあんて、また夢みたいなことを考えてしまった私どした
今回も、遊びに来て下さって、ありがとうございました