<艶が~る、妄想小説>
再アップです♪
置屋ケメコ さん
のチーム羅刹で描かれている絵師様、Kanaさん
により、これから私の小説でも素敵な絵を、少しずつではありますが提供していただけるようになりました よろしければ、PCでご覧くださいませ
すっごく嬉しいです!
( *´艸`)
【思惑】 *古高俊太郎*
薄暗い部屋の中でたった一人…。
彼は、胡坐をかき壁に背をもたれかけさせながら、灯りを灯す事さえ忘れるほどの虚無感に襲われていた。
「……わてとしたことが…」
聞こえるか聞こえないか分からないくらいの小声で呟くと、ふっと吐息を漏らし天井を見やった。そして、そっと瞼を閉じて愛しい人を想い、薄らと口元を緩ませる。
あの優しい笑顔が、香りが、温もりが…そして…。
「俊太郎さま…」
自分の不浄心を癒してくれる、あの澄んだ声が蘇る。
もう、二度と誰かに情を抱くことは無いだろうと、思っていた。
しかし、彼女の姿を目にした時から、その想いは少しずつ大きくなっていき、今、この瞬間も、寂しい思いをしていないだろうか?辛い思いはしていないだろうか?そう、思っては自分の運命を苛む日々を過ごしていた。
「次はいつ会えますか?」
「それは分かれへんけれど……会えずとも、わてはあんさんだけを想い続けます」
「私も、俊太郎さまだけを想い続けます…」
一人、どうにもならないもどかしさから、情けない言葉を口にしたこともあったが、二人で過ごした時間だけは嘘偽りの無いもの…そう、思いたかった。
あの夜も、彼女の愛らしい姿を目にした途端、理性が少しずつ無くなって行くのを感じながらも、胸元に寄り添ってくる彼女の肩を優しく抱き寄せる。
ずっと触れたくて、触れたくて…。
「俊太郎さま、会いたかった…」
「わてもどす……」
「お座敷へ出る度に、今夜こそは…また俊太郎さまに会えるかもしれないって、そう思っては裏切られ…期待しては落ち込む日々を繰り返していました…」
「そないに思うてくれはるなんて…わては、ほんまに幸せ者どすな…」
「……俊太郎さまは?」
彼は、彼女の問いかけにふっと微笑むと、「それ以上に想いを抱いておりました」と、言って、さらに肩を抱き寄せた。
彼女はその柔和な声を聞き、また嬉しそうに微笑むと、彼の温もりを確かめるかのように胸元に触れ、やがて、そのしなやかな指が、彼の喉元を通って端整な唇に触れた。
彼は、その温かい手を握り締めると、瞼を閉じながら指に口付けを落とす。
「ずっと、この柔らかな温もりを思い出しては恋焦がれとりました…」
「俊太郎さま…」
二人は見つめ合うと、お互いを愛おしむように口付けを交わした。
彼は、その甘美な口付けを交わしながら、二度と離したくない衝動に駆られると同時に、やり場の無いもどかしさでいっぱいになっていく。
今の自分では、彼女を幸せにすることは出来ない…。
尊皇攘夷の志士としての役目を全うすることが、自分に課せられた使命であり、運命である。そんな現実が、彼の背中に圧し掛かるのだった。
「……っ……」
突然の稲光と共に轟音が響き渡り、ふと我に返る。
まるで、夢現(ゆめうつつ)……つかの間の幻。
彼女との柔らかな時間を思い出しては、現実に引き戻され……彼は、夢と現実の間から抜け出せずに、沈思黙考した。
そして、懐に忍ばせておいたお守りを取り出し、慈しむように見つめると、節目がちに呟いた。
「これで、最後やな……」
雨音が大きくなる中…。
不退転の決意の下、眉を顰めながら微かに唇を震わせた。
<おわり>
~あとがき~
俊太郎さまは、誰とも絡められず
絡めるとしたら、誰だろう??意外と、翔太くんとか、慶喜さんとかいいかもしれないなんて思いつつ(笑)高杉さんと絡めようと思ったのですが、どうも、犬猿の仲…みたいな感じが強くて
こんな男性、なかなかいないですよね…本当に切ないです……。
そして、いよいよ…艶本編は、龍馬さん(2回目)13話まで読み終わり!!あと2話を残すのみ水エンドが読みたい私は、ピストルを片手に月エンドも目指したい!
( *´艸`)
今回も、遊びに来て下さってありがとうございました