<艶が~る、妄想小説>
今回は、以前から少しずつ書いていた、「艶龍馬伝#5」を載せました
艶がのキャラ設定を受け継ぎつつ、私なりの艶龍馬伝を今後も続けていきたいと思います
鏡、月、花、水的な…。どのエンドも考慮しつつ、良かったら続き、読んでくださいませ
高杉さんと合流することになった、龍馬さんと翔太くんと、主人公(春香)。
いよいよ、佳境に入り始めます
※↑初めての方は良かったらこちらからどうぞ
<前回のお話>
主人公(春香)は、龍馬の両手の傷を治す為、湯治の旅に同行することになる。龍馬たちは、ある程度の療養を終えると、長州藩と来る幕府との戦いに参戦することになり、京を後にしたのだった。
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そして、季節はまた初夏を迎える頃。
幕府は、十万を超える兵力を投入して第二次長州征伐を開始した。
治療の旅を終え、ユニオン号で下関に寄港した私達は、長州藩の求めにより参戦することになり、高杉さんが指揮する小倉藩への渡海作戦で龍馬さんはユニオン号を指揮し、最初で最後の実戦を経験することになるのだった。
下関にたどり着いた私たちを待っていてくれたのは、その高杉さんだった。
「よく来たな」
「おう、久しぶりじゃのう、高杉。元気にしゆうがか?」
「まぁまぁだな。それにしても、随分と賑やかになってるじゃないか」
高杉さんが私を見ながら言うと、私は頭をさげながら挨拶をした。
「お久しぶりです、高杉さん」
「なんで、お前がここにいるんだ?」
(確かに、それはごもっともな意見です…)
「えーと、あの…私も、龍馬さんたちの身の回りのお世話が出来ないかと思ってついてきたんです…」
もじもじしながら答えると、高杉さんはニヤリとした。
「ほう……お前ら、もう夫婦になったのか?」
その言葉に、私と龍馬さんは顔を見合わせて赤面すると、高杉さんは私たちの顔を交互に見て、面白そうに笑った。
「い、いや、まだじゃ…」
「もう、抱いたのか?」
「な、何を言いゆうが…」
龍馬さんは驚愕しながら答えると、高杉さんは面白そうに笑った。二人のやり取りに、私は更に顔を赤くして俯くことしか出来ない…。
「お前らのその顔!懐かしいぞ。これからしばらくは、またお前達をからかえるかと思ったら、なんだか楽しくなってきたな」
「……おんしという奴は…変わらんのう」
「龍馬さん、荷物はこれで全部です」
背後から翔太くんが、龍馬さんと自分の荷物を持ってやってきた。
「ありがとう、翔太」
これから、私達は高杉さんをはじめ、長州藩の方々と行動を共にすることになり、下関の事務所である伊藤助太夫さんの家へ行くことになったのだった。
「ここだ…上がれ」
高杉さんに促されるまま中へ入ると、かなりの広さを有した豪邸で、何部屋も横並びに続いている。そして、私たちの為に用意された部屋へと案内された。
「坂本と結城の部屋はここだ」
「分かりました。ありがとうございます、高杉さん」
翔太くんはお礼を言うと、早速部屋の中を見回して荷物を隅に置き、整理し始めた。高杉さんの視線を感じ、ふと彼のほうを見ると、「お前はどうする?」と、尋ねられた。
「え、えーと、私は…」
「春香は、わしと同じ部屋でええがよ」
戸惑っていると、龍馬さんが私の肩を抱いてニコっとしながら言った。
「……分かった。ここは結城の部屋にして、お前らの部屋は他に用意してやろう」
「おお!ほうか、それはすまんちや」
ニカッと笑う龍馬さんを横目で見つつ、高杉さんは顔を引きつらせながらも、私たちの部屋を確保してくれた。
それから数日後。
いよいよ、長州藩士たちと合同で動くことになったのだった。
長州藩は、西洋の新式兵器を装備していたのに対して、幕府軍は総じて旧式であり、指揮統制も拙劣だった。幕府軍は圧倒的な兵力を投入しても長州軍には敵わず、長州軍は連戦連勝した。思わしくない戦況に幕府軍総司令官の将軍・徳川家茂は心労が重なり、大坂城で病に倒れ、二十一歳の短い人生を終えた。このため、第二次長州征伐は立ち消えとなり、勝海舟が長州藩と談判を行い、幕府軍は撤兵したのだった。
その上、幕末の革命児としても名高い、高杉さんの策略も見事に成功し、この上ない勝利を遂げた。これが、幕府を大政奉還へと追いやった、第二次幕長戦争だった。
「やりましたね!さすがは高杉さんだ!」
長州藩士の人たちが、それぞれ高杉さんを見ては感嘆の声をあげた。龍馬さんも、翔太くんも高杉さんを絶賛した。私も、普段の高杉さんのイメージしか無かった為、尊敬の眼差しを向ける。
「見直したか?」
高杉さんが私の方を見ながら、自信ありげに微笑んだ。
「はい!普段はふざけたことばかり言ってるだけだったから、びっくりしました」
「…かりにも遊女だったんだから、もっと言い方無いのか?」
「あはは、”遊女だった”…で、今はもう普通の女の子ですから」
「……お前、言うようになったな。今からでも遅くない、俺の女にならんか?」
そう言うと彼は私の傍に寄り、顔を覗き込む。すると、龍馬さんが私たちに近寄って私の肩を抱きしめて言った。
「春香はわしの嫁さんになるんじゃき、おんしにはやれんがよ」
「まだ夫婦じゃないんだろ?」
「そ、そうじゃが…」
二人の会話に戸惑っていると、傍に居た翔太くんが助け舟を出してくれた。
「またまた、お二人とも大人気ない…春香が困っているじゃないですか!それに、これから宴の準備が始まるんですから、その話はまた今度にしてください」
「翔太くん」
「お前は、料理とかの準備があるんだろ?行って来いよ」
「うん、ありがと。支度してくるね」
私は翔太くんに二人のことを任せると、台所へと急いだ。
宴の準備が整うと、私は皆さんにお酌をしたり三味線を弾いたり、少しだけれど高杉さんの三味線の音色に合わせて舞を踊ったりして楽しませる。私の舞に、薩長藩士の皆さんも、そして龍馬さんも翔太くんも、「おお~!」と、喜んでくれた。
戦争の中で、命をかけて戦った藩士の方々の為にも、私が出来ることといえばこれくらいだから…。そしてなぜか…舞を踊っている最中、私はふと、置屋のみんなのことを思い出していた。
みんな、元気にしているだろうか?
戦争の影響を受けてやしないだろうか?
私は元気です…なぜか、それを伝えたくなったのだった。
それから、しばらくして宴もお開きになり全てを片付けると、龍馬さんの待っている部屋へと急いだ。ゆっくりと部屋の中に入ると、龍馬さんは執筆作業に追われていた。
そして彼は、いったん筆を休めて私に微笑んだ。
「今夜は、ほんに楽しかったのう」
「そうですね!」
「これからが大事じゃろうけんど…」
「……何を書いているのですか?」
私は布団を二人分敷きながら尋ねると、故郷にいるというお兄様宛に、今回の戦争の事を知らせる手紙を書いていると教えてくれた。
「お兄様がいるのですか?」
「おお、乙女っちゅう姉上もおるき」
それをキッカケに、彼は思い出話を私に聞かせてくれた。小さい頃の龍馬さんは、引っ込み思案でいつもお姉さんにしごかれていたとか、お兄さんからは剣術を習っていたなど、私の知らない龍馬さんが顔を覗かせた。
「姉上や兄上がおったから、今のわしがおるんじゃ。いつも心の中で感謝しちゅうき」
そう言うと、彼はまた手紙を書きはじめ一通り書き終えると、私に微笑んだ。
「今日は、おまんのことも書いちょった」
「私のことを?」
「おう、かわいい嫁さんをもろうた…とな」
少し照れながらも、ハッキリという彼に私は嬉しくなって抱きついた。
「高杉に取られる前に、おまんをわしのもんにしないといかんがよ」
「あはは、龍馬さんはいつも高杉さんの冗談を真に受けすぎですよ」
「いんや、ありゃあ本気じゃき…」
すると、彼は私を抱き上げながら布団へと移動し、静かに私を横たえた。彼も私の隣に横になると、いつものように片肘をつき、掌で頭を支えながら静かに語りかけてくる。
「こんなにも惹かれた女子はおらんかったちや。おまんの笑顔がなければ、わしはとうに挫けておったかもしれんき」
「私も、龍馬さんの笑顔が大好きです…」
私はすぐ隣にある大好きな人の頬に触れると、彼はその手を優しく包み込んだ。そして、彼はゆっくり顔を近づけ、頬にキスをくれる…。
「……今夜のおまんも綺麗じゃ」
微笑む彼を見ているだけで、私はとても幸せだった。普段の無邪気な笑顔は消え、男らしい顔を見せる度に私は翻弄されていくのだった。
<つづく>
~あとがき~
二月から書き始めた、勝手にバレンタインデー編も、あとは龍馬さんを残すのみに
こんな私のサイドストーリーにお付き合いくださいまして、本当にありがとうございました!
皆様からの「○○さん書いて~!」というようなリクエストなんぞにも、多少はお答え出来て良かったです
これからは、「比翼の鳥」や、「艶龍馬伝」の続きや、またそれぞれのボーイズトーク、新たに、キャラをそのままに別世界での物語りなんぞも妄想してます
これからも、マッタリではありますが…。
それに、小出し続きもの作戦ですが……。
良かったら、遊びにきてやってくださいませ