<艶が~る、妄想小説> 

今回は、やっとこ翔太くんのが書きあがったっすラブラブ!

今までは、書けそうで書けなかった翔太くんあせる

今回は、翔太くんの一人称で書いてみましたにひひ

初の男性目線に、挑戦音譜


大好きな龍馬さんも書けて嬉しかったぁラブラブ!


~約束~ 良かったら、読んでやってくださいませラブラブ



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 もう一つの艶物語 ~約束~  *結城翔太*



俺と春香がこの時代にタイムスリップしてから、俺は龍馬さんと共に行動をし、あいつは島原で遊女になり、お互いに現代へ帰る方法を探し続けて一年の月日が流れていた。


俺はこの一年間、龍馬さんの小姓のような仕事を担当し、忙しく日本中を旅する龍馬さんを守る為に剣術も習った。そんな中、龍馬さんの航海術を活かすべく、亀山社中(後の海援隊)が作られると、俺と龍馬さんは下関や、京や、江戸を行ったり来たりの生活が続き、現在は京の事務所である酢屋に待機していたのだった。


丁度、朝飯が終わり、お茶を飲む龍馬さんの配膳を下げようとした俺に龍馬さんは声をかけた。


「翔太、今夜は春香に会いに行かんか?」
「え、今夜ですか?」
「たまには、おまんもあいつに会いたいじゃろ?」
「え?……いや、その…会いたいっていうか…」


俺が言いよどんでいると、龍馬さんはニヤけながらまた話し出す。


「わしは春香に会いたいぜよ」
「お、俺も……しばらく会ってなかったので、あいつが心配ではありますけど…」
「素直じゃないのう、好きなんじゃろ?春香のこと」


(はぁ……もう、龍馬さんには敵わないな…)


俺の気持ちは、もう知られているようだ。
龍馬さんは、にこにこしながら俺の背中をバシッと叩いた。


「決まりじゃ、今夜は春香に会いにいくぜよ!」



それから、夕刻になると俺達は島原へと足を運んだ。

最後にあいつに会ったのは、いつだっただろう?もう半年くらい経つだろうか?あいつのことを心配に思いながらも、なんだかんだと時間だけが過ぎていたから……あいつ、元気でいるだろうか?


「のう、翔太」

島原の大門を潜り抜けた時、ふと龍馬さんが言った。


「緊張しちゅうがか?」
「え?いえ、まぁ…半年ぶりですからね」
「わしも、ドキドキしてきたがよ」
「な、何で龍馬さんが…」
「おまんが緊張しちゅうが、わしも緊張してきたちや」


そう言うと、龍馬さんは俺の背中を押しながら歩き出した。


「早う行くぜよ!」


それから、揚屋の暖簾をくぐると、藍屋さんと偶然居合わせた。


「おや、坂本はんに、翔太はん。よういらっしゃいました」
「おう、藍屋さん。今夜は、翔太と一緒に春香に会いに来たがよ」
「春香はんに?そうでっか、ほなら春香はんを向かわせまひょ」


藍屋さんは笑顔で言うと、俺達を快く迎え入れてくれた。その後、新造を勤める女の子に座敷へと案内され、俺と龍馬さんはお酒と配膳を受けてあいつが来るのを待った。


「龍馬さん、お酒注ぎましょうか?」
「お?お願いしたいが…今夜は、春香が来るまで待つぜよ。翔太もほれ、一杯どうじゃ?」
「だから、俺は外では飲みませんって。帰れなくなっちゃいますから…」
「ほうか、わしがおぶっていってやってもええがよ」
「いえ…お、俺は、食事をいただきます!」


箸を持ち、からすみみたいなものを食べると、喉に痞えてむせ込んだ。そんな俺を見て、龍馬さんは声を出して笑う。時々困ってしまうようなこともあるけれど、俺はこの人の笑顔も、飾らない性格も大好きだ。



そんな時だった。


誰よりも聞きたかったあいつの声が、襖の向こうから聞こえてきた。襖がゆっくりと開くと、あいつが両手をついて俺達に挨拶をする。


「お呼びいただいて、ありがとうございます」


俺は目を見開いた。
そこには、俺の知らないあいつが微笑んでいたような気がしたから。


「龍馬さん!翔太くん!お久しぶり」
「おう、春香も元気そうでなによりじゃ!」


俺が呆然としていると、隣にいた龍馬さんが俺の顔の前で大きな手を上下に振りながら言う。


「おい、翔太?……春香に見とれちょうがよ」
「……え、ち、違いますよ!なんか、ちょっと会わないうちに感じが変わってたから、一瞬誰かと思って…」
「確かにのう、ここしばらく会わないうちに、春香はええ女になったぜよ」


頬を染める彼女の顔を見つめながら、俺は改めて声をかける。


「春香、元気だったか?」
「うん、遊女としての仕事も慣れてきたし、今では楽しめるくらいになってきたよ」
「そ、そうか……」


俯く俺の傍に来ると、彼女はいつもの笑顔で微笑んだ。そして、龍馬さんにお酌をすると、俺達の前にちょこんと座り、今までの経緯を話してくれた。新撰組をはじめ、いろんな客と出会い、様々な人間模様を見てきた彼女もまた、女の子から女性へと成長していったのかもしれない。


その後、高杉さんから教わったという三味線を奏でて貰ったり、三人でお座敷遊びをしたり…楽しい時間はあっと言う間に過ぎて行った。


お座敷遊びが一通り終わると、龍馬さんが窓際で呟く。


「もう、お月さんが沈みかけちょる…もう、そろそろ戻らんと」


俺達も龍馬さんの近くまで行くと、空を見上げる。夜空には、綺麗な三日月が輝いていた。


「翔太くん、今度はいつ来られるの?」
「え、うーん……分からないな…」


俺の呟きを聞いた龍馬さんは、こちらを見てニカッと笑うと、「翔太はここに泊まっていけ」と、言った。俺はその言葉に動揺すると、慌てて反論する。


「な、何を言ってるんですか!俺も龍馬さんと一緒に帰ります」
「いやいや、翔太。次はいつ春香に会いに来られるか分からんきに、今夜は二人で熱い夜を迎えるといいちや」


ウインクをしながら言う龍馬さんに、俺はこれ以上ないくらい顔が熱くなる。隣で困った顔をしている彼女にも、同じように弁解した。すると、彼女は俺の手を握り締めながら、「是非、そうしていって」と、言った。


「お、お前まで……」
「だって、次はいつ会えるか分からないんでしょ?私、翔太くんとまだ話したいことがあるし…」
「春香もこう言いちょうが、わしは一人でも大丈夫じゃき」
「でも……」
「翔太……」
「はい」
「男になるぜよ!」


そう言うと、龍馬さんは俺の背中をバシッと叩いた。


「痛っっ!龍馬さん、痛いっすよ!」
「ほいじゃ、春香!翔太を頼むぜよ」


龍馬さんは一人帰り仕度をし、俺達に手を振ると笑顔で部屋を後にした。



しばらくの間、沈黙が流れた。俺も、彼女も正座をして俯くことしか出来ずにいる。そんな中、最初に口を開いたのは彼女からだった。


「あ、あのさ、カメラの情報とかって……何か見つかった?」
「いや、まったくだよ…」
「そう……」


がっくりと肩を落とす彼女に、俺は笑顔で話し出す。


「でも、いつかきっと…現代へ帰れる日がくる…そう信じよう」
「うん……」


頷く彼女の肩をそっと抱きしめると、そのまま俺の胸に顔を寄せてくる。その小さくて柔らかい身体を包み込むと、彼女の鼓動が感じられた。小さい頃から、ずっと傍にあった温もり…。そして、これからもずっと大切にしたい、俺の宝物。


「翔太くん、本当に泊まっていくの?」
「……ああ、帰ったら龍馬さんにまたおちょくられるだろうしな」


くすくすと笑う彼女を見て、俺は頭をかきながら同じく笑う。そのうち、彼女は布団を二式用意した。その布団を見ると自然と胸が高鳴って行き、さっきの龍馬さんの一言が頭をよぎる…。


<翔太、男になるぜよ!>


俺は頭を振りながら、いやらしい妄想を吹き飛ばす。


(ふぅ……落ち着けよ…俺…)


やがて、彼女が着物を脱ぎ始めると、俺は慌てて止めた。


「お前、なにやってるんだよ」
「え?何って…苦しいから着物を脱ぐだけだよ」
「あ……そ、そっか」
「翔太くん、何か変なこと考えてたでしょう?」


彼女は苦笑いしながら言うと、俺は照れながら答える。


「寒いから布団の中で話そうぜ」
「うん」

「なんかさ……改まると照れくさいよな…」

「……そうだね…」

俺達はそれぞれの布団に入って寝ると、お互いに顔を見ながらいろんな話をした。


「翔太くん、覚えてるかな……小さい頃、いじめられてた私を助けてくれたことあったよね?」
「ああ、そんなこともあったな…」
「昔から、本当に変わらないよね…翔太くん。今もだけど、私のことをいつも守ってくれて…」
「それはお前が……」


言いかけて、俺は一瞬口を閉じる。彼女の顔を見ていられなくなって天井を仰ぐと、俺は思いきって気持ちを伝えることにした。


「俺は、お前のことが……一番大事だから…」
「翔太くん……」
「お前をずっと守れるように、頑張ってきたつもりだ」


そう言うと、彼女が鼻をすする音がして目を向ける。


「な、泣いてるのか?」


俺はいたたまれず起き上がると、彼女の方へ歩み寄り、起き上がろうとしていた彼女を思いきり抱きしめる。自分でもびっくりするくらい、俺は自分の気持ちに歯止めが利かなくなっていた。


「ごめん、春香……もう少しだけこうしていてもいいかな」
「……うん」


(離したくない……お前を…)


俺は心の中で何度も繰り返す。そして、彼女の温もりを身体全体で感じていた。


「翔太くん、私もね…翔太くんが居ないと…寂しい…」
「春香……」
「本当は、一緒に居たい…」


彼女の言葉に、俺は思わず抱きしめる手に力がこもる。同じ気持ちだったことが嬉しくて…。


「ありがとう……春香」
「こちらこそ、ありがとう…翔太くん。信じて待ってるからね」
「ああ、必ず二人で現代へ戻ろう」


それから俺達はお互いに照れ笑いをすると、少し離れていた布団をくっつけて寄り添って眠った。彼女の寝息をすぐ近くで感じながら。



翌朝、俺はまだ寝ている彼女を起こさないように静かに揚屋を後にした。そして、龍馬さんの元へ戻ると、早速昨夜のことを聞かれたのだった。


「おう、翔太!おはよう!どうじゃった?」
「何がですか?」
「春香と上手く行ったがか?」


にこにこしながら言う龍馬さんに、俺は仏頂面で答える。


「男にはなれませんでした」
「何?せっかくわしが気を利かせて二人きりにしてやったっちゅうのに…」
「それは有難かったですけど、俺達にはまだ早いです…」
「なんじゃ、つまらんのう…」
「何を期待してたんですか!」


龍馬さんはたまにこんな具合になるけれど、この人が居てくれたから、今の俺がある。おどけた顔で笑う龍馬さんにつられて、ほんの少しだけ…昨夜のことを後悔した。


あいつを俺だけのものにしておけば良かったかな…と。


「さあ、これからまた下関へ行かにゃならん。準備をするちや」
「はい!」


昨夜の出来事は俺だけの胸にしまい込み、俺と龍馬さんはまた世直しの旅に出る。そして、今よりももっと強い男になってあいつを迎えに行くんだ。



それまで、待っててくれよな…春香。




<おわり>



~約束~ *結城翔太*  


読んでくださってありがとうございました♪

( *´艸`)