台風の夜にピッタリな話を思い出しました。どうも、亜倉です。

これから書くのは、私が初めて
ハッキリと目撃したアレなお話。

【オカルト体験談②後ろの彼女】

その日は仕事で帰りが遅く、
しかも大雨だった。横風も凄くて
傘をさしても、既にビショビショだ。

 とにかく早く帰りたいのだが、
暗いし足元が危ないので
途中にある大きなアーケード商店街へと雨宿りに入る事にした。

時間も遅いので、
店は全てシャッターが閉まっていた。
 
ブルルンと携帯に着信、母からだ。

「雨が凄いから気を付けなさいよー」
『うん、ザザ降り!嫌ねー』
…と、話していると違和感が。

背後に視線を感じる。

振り返ると、女の子が立っていた。
シャッターの降りた店先に
独り、佇んでいた。
 
胸の前に手を組んだ
お祈りポーズでこちらを見ている。
 
その子は頭の先からつま先まで
全身がゴスロリスタイルで、
ツインテールの可愛らしい格好を
していて、ジッとこちらを見ている。
 
なんだか言い知れぬ違和感。
心がザワついて見るのをやめた。
 
『お母さん、切らないで。
    暫くなんでもいいから話して。』
「なぁに?変な人でもいるの?」
『…いや、ちょっと移動するわ。』
 
歩きながら話した。
雨の音が凄い。一層激しさを増す。
アーケードだけに、屋根に当たる豪雨の音で、周りには会話は聞こえない程だ。
 
『仕事帰りぽい雨宿りの人が
    何人か居るから怖くない。
    目の前に交番があるし…。』
 
『ただね…、後ろの女の子。
     私の方向へ向いて
 何か話し掛けたいような
     訴えたいような、
     手を伸ばしては引っ込めて
     足も踏み出したり
     戻ったりしてる。動きが変。』
 
『携帯を借りたいのかな…?。
    こんな大雨の遅い時間に
    フリフリのドレス姿で
    若い女の子が独りやねんけど
    違和感ありまくりやねん。』
 
「目を合わさないで、
    早く帰っておいで!」
 
『はい。んじゃね。』
ほんの1~2分の会話。
 
念のため、振り返ると
そこには誰も居なかった。
隠れる場所など、どこにもないのに
忽然と姿を消していた。
 
呆気にとられて固まった。
 
アーケード内には、終電間近の
スーツ姿の残業サラリーマンや
飲みハシゴのOL風のお姉さん2人組
ジャージーでジム帰り風のスポーツマンなど、前にいた全員の一番後ろに私は立っていた。

全員が全員、後ろ姿が同じポーズ。
 
早く雨が弱まるのを待つように
皆、アーケードギリギリの濡れない位置で空を見上げているのだ。
漏れなく私もそうだった。
 
ただ独り、違ったのは
後ろの彼女だけだった。
 
雨を気にする様子が全く無かった。
◆雨を気にしてない
◆こちらに変な動きでアピール
◆深夜、大雨にゴスロリ姿で独り
◆荷物を何も持っていない

……消えた。

何を思ったか私は周辺を見渡し、
シャッター沿いに入り込める隙間はないか確認して廻った。そんな所は無い。
 
居ない!
暗いアーケード街は50メートル程続いているが、見る限りずっと向こうまで
人影は全く無い。

雨が弱まったので静かになり
ハッと我に返った私は、
そのままダッシュで帰宅した。
 
帰ってから、気が付いた。
 
『お母さん…電話で話したあの子、
    悪い子やないと思うけど、
    全身が薄いグレーやったわ…』
「アンタそれ、人間と違うやん…」
『ゴスロリの幽霊!?
    あんなにハッキリ見えるもの?』
「連れてこんで良かったわ…」
 
後日、知り合いに話すとこう言われた。
「それ、目を合わせてたら
    アウトでしたね。」
『なんで…?』
「目を合わせてたら
    視えてるって、バレるから…。」
……その後、何度もオカルト体験に
遭遇しする事になりますが、
ハッキリと視たのはコレが初めての体験でした。

母の言いつけを守って、正解でした。
【目を合わせないで帰ってきなさい】