明けまして放置プレイ。
もとい今年も宜しくお願い致します🤗
どうも、亜倉です。

前回に引き続き、
冷や汗をかいた目撃談をお話します。

【オカルト体験談④幽霊を騙した話】

ルーティンとして1日の最後にやる事は
人それぞれあると思いますが、
私の場合は家事の『ゴミ集め』です。

勿論、決まった日に出しますが、
10階立てのうちのマンションは夜中のうちに出してもOKなシステム。
1階の外に専用スペースがあります。

その日はまだまだ暑い夏の日。
お風呂上がりの涼みがてら、タンクトップ姿で頭にタオルを巻いたまま、両手に花とはいかず、両手にゴミ袋を持ちエレベーターで降りていったのです。

『戻ったらアイスを食べよう』なんて
呑気に構えていました。

  “その時”までは。

ドゥウーン……と鈍い機械音で
エレベーターが開き、一歩外に出ると

『!!』
…心臓が止まるかと思うほど
ドキッとした。

出てすぐの右側の1階住人のドアの前。
床に、男の子が座っていたのです。
中学生くらいだろうか。
片膝を立て、片足は伸ばして
前髪がバッサリ顔にかぶさる程に頭を垂れてベッタリ座り込んでいました。

……寝てる?

思わず『こんな所で寝たら風邪ひくよ』と声をかけそうになったが、なぜか
本能がハッキリ『やめておけ』と
私を止めました。

彼の横を通り過ぎる3秒程の間に、
様々なワードが頭を駆け巡り
私を早足で歩かせました。

◆風邪ひくよー……
◆閉め出されたの?親は?
◆こんな深夜2時過ぎに!
◆夏なのになんで長袖の暑そうな…

考える程に早足になる。

…カチャ。
ゴミ置き場の鍵を閉めて思いました。

ヤバイ。どうしたものか。

……というのも、
マンションのエレベーターは1つだけ、
また乗るためには
彼の傍を通らなければいけないから。

  マジか。

深夜2時過ぎ
真夏に冬服のうつむいた中学生。

私は本能に従い、
彼を『霊認識』しました。

さて、彼に会わずにどうやって部屋まで戻ろうか。
ずっと外にいる訳にもいかない。
頭にタオルを巻いた寝間着の丸腰だ。

と、非常階段が目に入り
自問自答が始まりました。

の、登るの?7階まで?
ええい!!されるがままよ!!

この間、約30秒。
私には迷っている暇は無かった。

実際に『抜き足 差し足 忍び足』を
やる時がくるとは。
なぜか両手で口を塞いでいました。

幸運な事に、1階の非常階段へ続く扉は全開で、ブロックへんで止めてある。
おかげで、余計な物をたてずに済み
足音だけはたてないよう、そっと忍者のようにかつ、一心不乱に階段を登り出した。

何を思ったか私は賭けに出た。
エレベーターはまだ1階にいる。
3階まで駆け上がった時、エレベーターの『上へボタン』を押したのだ。
彼は駆け上がってくるかワープしてくるかもしれない。
登っていく階段の途中で追いつかれたり、待ち伏せされてはたまらないのだ。

『乗ってませんように!!』
…願い通り、カラのエレベーターが来た。

私は素早く乗り込み、階数ボタンを連打した。『4、5、6、7、8、9、10!!』

彼に私が降りる階数がバレてはいけない。1階1階止まる度、心臓が止まりそうになったが、階段より断然早い。

7階に差し掛かった。
私はコレまでの階数と同じタイミングで閉まる前にそっと降り、エレベーターは扉を閉じて上の階へ上がっていった。

ここでまた、廊下を『抜き足 差し足』で、足音を消して扉まで辿り着かないといけない。

しかし、
思いもよらない事態に発展した。

深夜の静まり返ったマンション。
7階でエレベーターを降りた瞬間、
かなり下の階数から
非常階段を駆け上がってくる足音が響き渡った。

【ズダダダダダダダダダダダダ!!】


  マズイ、気付かれたか!?

私は冷静に廊下を忍者走りし、
自分の部屋のドアを開け
ソーッと閉めようとしたその時、
上層階から『バンッ!!』と物凄い音がした。

ヤバかった。

憶測だが彼は、丸腰姿でエレベーターに戻ってこない私が階段に向かったと気付き、自ら階段を駆け上がり追いかけてきたようだった。
人間のソレではない、猛スピードで。

いつまで経っても標的に追いつかず、
ついには屋上まで駆け上がり、勢い余ったドアの開閉音が静寂に響き渡ったのだ。

廊下からドア1枚を背に隔てて、
私は冷や汗をかいていた。

①『もし、何か話しかけていたら』
②『もし、エレベーターに戻っていたら』
③『もし、あのまま階段を登り続けていたら』

私はどれでもない、
④『途中からエレベーターに乗る』を選んだ。

結果、私は幽霊を騙して
“まいた”事になる。
もし、①②③を選んでいたら
私はどうなっていたのだろうか。

それ以降の私は、深夜0時過ぎの
ゴミ出しをやめた。