10日、鬱陶しい雨も上がり、やっと走れる
私は早朝6時、家を飛び出した。

交差点で信号待ちをしていると、突然、大きな声で叫んで居る奴がいる。
何かと顔を上げると、道路を挟んだ向こう側に、自転車に乗った
27,8歳の男が、赤信号を無視して渡っているおじいさんを怒鳴っている。

「恥ずかしくないのか!! 信号は赤だぞ!! それでも日本人か!!」
と、大きな声で怒鳴っている。

朝の6時、信号待ちしている人は4,5人…車は全然通っていない。
そこの信号は少し変わっていて、青に変わるかな~~~というところで
右折専用の信号に変わる。

信号を無視したおじいさん…といっても、仕事に向かう70歳ぐらいの人だったが
そのおじさん、多分、信号が青に変わると思い歩き出してしまったのだ。

この信号では、よくみんなが間違える。

私はそのおじいさんが、ちゃんと信号待ちをしているのを見ていた。
ちょっと間違ったのだ。

その背中に、顔面蒼白の若い男は、何度となく「それであなたは、恥ずかしくないのか!!」と罵声を浴びせ続ける・・・信号はそのおじいさんが渡りきる前に
青に変わった・・・そんなタイミングだ。

目の前にあるセブンイレブンの従業員まで、何事かと店から出てきた。

早朝一番……何故か心が寒くなる……

とこんなことから始まったきょう一日
爽快にトレーニングから帰った私はシャワーを浴び、そして・・・
寒気のする場所に行かなければならない

歯医者だ・・・差し歯の一本が腐って折れてしまった。
多分、この歯の残骸は抜かれるのだろう。

皆さん、歯を抜いた経験は有るだろう。
麻酔のちくりとした痛み以外、抜歯は痛くない。

ところがだ!! 私の通っている歯医者は、この麻酔の注射が
異様に痛いのだ……何でこんなに痛いのか意味が分からない。

しかし、仮面ライダーが…歯医者如きを怖がってどうする!!

歯医者に行くと・・・「このもう一本の差し歯もグラグラですね。一気に抜いちゃいましょう」・・・と、2本抜かれてしまった。
麻酔は・・・・・・痛いッ!!!!~~~~~~

そして本日も歌のレッスン・・・20時からだ
歌のレッスンが有る時は、夕食のおかずは私が作る。
本日は、麻婆春雨と名取ちゃんから頂いたアスパラを
ウインナーと卵で炒める。
5人分の調理は2時間かかってしまう。

まぁ、レッスン料タダだから、致し方ない。
「中華料理店で食べる料理より、パパの料理の方が全然美味しい!!」
などという褒め殺しに合い・・・抜かれた歯の痛みをこらえながら料理を作る。

と、ここまでは、今日の出来事のプロローグだ。
例によって娘の厳しいレッスン
半分切れかかるのだが、娘の言っていることが正しい。
出来ない自分に腹が立つ。

レッスンは1時間半に及び、私はふらふら~~~
娘の家を出ると私は一目散に自転車に飛び乗り、わが家へ・・・

そう、私は自転車で5分の娘の家に、自転車で行っている。

二日前の大雨の日、この日もレッスンで、夕食を作り
傘をさして自転車を走らせていると、歩道の真ん中を歩いているおっさんがいた。

自転車のルールに関して一言、東京では後ろからくる自転車が、何の合図もせず
歩行者の横をすり抜けて行く。
これが危なくてしょうがない。
チリンとベルを鳴らせてくれれば、後ろに自転車が来ていることが分かるのだが
ほとんどの人が無言で自転車を走らせる。

関東では特に東京、東京では車もめったなことではクラクションを鳴らさない。
関西圏の人からしたらびっくりだ。

何故かといえば、まず教習所や警察の講習で、クラクションは鳴らさないように
教わる(緊急を除いて)だから東京で車を走らせている時、クラクションは
緊急なのだ。
だから東京ではクラクションで殺人事件が起こる。
東京で喧嘩がしたければクラクションを鳴らせばよい
すぐに前の車から、「この野郎!!」と運転手が降りてくる。

で、話は雨の中、歩道の真ん中を歩いているおっさんだ。
私は、少し前から、遠慮がちに、ベルを一回鳴らした。
後ろに自転車が来てますよ、という合図にだ。

しかし、そのおっさん、全然よけようとしない。
私は聞こえないのかもしれないと、もう一度ベルを一回(チリン)と押した。

おっさんは、まだ退かない・・・このまま行けば、ぶつかってしまう。
2メートルもない・・・私はベルを鳴らし、自転車の速度をゆるめた。
といっても、大してスピードは出ていない。
これ以上遅くすると自転車が倒れてしまう。

おっさんは、自転車のタイヤが隣に来て、ようやく少し右に体をずらした。

私はそのおっさんの顔を見た。
おっさんは「なんだ、この野郎!」という顔で私を見ている。

私は「ベルが聞こえたら、少しは脇に避けろ」と言った。
するとそのおっさん「ここは歩行者優先道路だ!! 文句があるなら警察を呼ぶぞ!!」と言いやがった。

私の住んでいる地域は歩道が広くとってあり、自転車も歩道を走れる。
しかしこの道は、比較的狭い歩道なのだ。
普段は自転車も歩行者も譲り合って通っているのだが
このおっさん、ベルの音が聞こえているのにワザと退かなかった。

私もカチンときて「警察! 呼べ、ばか野郎!」と言った。
言いながら私は、この雨の中、喧嘩するのも嫌だし、それに自転車には
せっかく作った温かい夕飯が乗っている。

それに、このおっさん、40歳ぐらいだろうか、ライダーキック一発で
沈没しそうだ。

「よし、今回に限って許してやろう」私は心にそう言い聞かせその場を去った。

これが2日前の出来事。
そして今日、私は厳しいレッスンの反芻をしながら、車道の50センチぐらい
緑に塗られた、自転車専用レーンらしき道の左側を走っていると
前から女性が、同じレーンを自転車で走ってくる。

左側通行でしょう・・・と私は思いながら、このままいけば、衝突するか
どちらかが、車道側に避けなくてはならない。

私は前々日のこともあるので、私が避けようと、段差のある歩道の方へ
自転車を移動した。
段差は10センチほどあったが、自転車のスピードが出ていたので
乗り越えられると思った。

それが甘かった・・・自転車は段差を乗り越えられず、そのままガガッ!!っと
すごい勢いでひっくり返った。
私は自転車から放り出されて思い切り左肩から落ちた・・・・・・・

痛い!! すごい衝撃だ!! それに左足を縁石に打って、多分えらいことになっている!!

私は起き上がろうとしたが、なんと動けない!!
やばい、肩の骨でも折ったのかと思った・・・立ち上がれないのだ

周りの人たちが寄ってきた「大丈夫ですか」と数人が声をかけてくる。
多分、すごい音がしたのだろう。
それにここは、イトウヨーカ堂の真ん前の道だ。

どのくらいだろう・・・多分、数十秒だと思うが、ようやっと体が動いた。
「カッコ悪ィ~~」・・・・・・私は「大丈夫です」と立ち上がった。
案の定、左足は縁石に引きずられて、膝から下が血まみれだ。
最悪なことに、私はこの日、短パンをはいていた。
アァァァ~~~アマゾンの気持ちがよく分かる~~~~

家に帰り、傷の手当をする、幸い左肩は大丈夫のようだ。
だが体の左、ひじも肩も膝も、すり傷だらけだ。

しかし、こんな傷、何年振りだろう・・・いや、何十年ぶりか・・・
ライダーの現場ではしょっちゅうだったけど
傷の手当てをしながら、なんか、すごく懐かしくなってしまった私にひひ

てなてな訳で、いろいろあった一日でした

                                        速水