気が付いてみると、私の体には二つの袋が付いている。
一つは点滴の袋、もう一つは胆管から繋がっていると思われる黒く細い管が
胃、食道、鼻を抜け、点滴棒にぶらさがった袋に黒褐色の液を流しこんでいる。
これは黒く濁った胆汁だ、いままで溜まっていたのかかなりの量だ。
 
私はヨタヨタとトイレに立った・・・
点滴棒につかまり、猫背になってそろそろと歩く私の姿は
あ~~これで私もやっとみなさんの仲間入りができたか!
と思えるほどの病人の姿だ。
 
だいたい入院患者のパターンは同じだ。
入院時は比較的元気で、トイレなども一人で行くが
検査が終了すると手術という事になる。
そして手術から戻ってくると、重病人のごとくベッドから身動きできなくなる
それはどこかを切ったのだから当たり前なのだが、手術前、手術後の極端さに
身体にメスを入れるという事の負担の大きさを感じる。
 
私は投薬が始まった。
ステロイド剤をかなりの量飲み、免疫機能を抑え込み、炎症を治すのだ。
一日、二日経つと、胆汁の色が明らかに変わって来た、墨汁のような色は無くなり
透き通るチョコレート色になってきた。
それと同時に食欲が復活して来た。
 
喉の中を管が通っているので、食べにくい事この上ないが、腹が減ってしょうがないのだ。
どうやら私の場合、薬が劇的に効いたようだ。
胆管炎の医療データーを見ると、薬が劇的に効くケースも乗っている。
 
よし!! やった!!
復活だ!!!!
私は点滴棒を引きずりながら、朝の6時に、散歩に出かけてしまった。
 
                                                               つづく