もう十年ぐらい前だろうか、ある仲間とラスベガスに行った。
ラスベガスは二度目だったが私の目的はブラックジャック……
私は二十年前、最初のラスベガスで魔物の様なラスベガスに魂を吸い取られてしまった。
 
きっかけは関西の宝田明さん司会のゴルフ番組に出演してくれとの依頼だった。
フロリダ、タンパのゴルフ場付きホテルで宝田さんと日本の女子プロ組と
私の方はアメリカの女子プロと組んで試合をするという企画だ。
私は0.5秒ぐらいで「出る!」と答えた。
 
日本からタレントが6,7人参加したと思う、横浜銀蠅の嶋大輔くんなども一緒だった。
私の出番は滞在三日目の撮影で他の日は日がな一日ゴルフをやるも
どこか他に行って遊んでても取り敢えず撮影日に居ればよいのだ。
 
撮影が終われば自由で、そのまま帰ろうが撮影期間の一週間ホテルで遊んでいてもOKだ。
こんな遊びの様な・・・(というより遊びだが)それでギャラもちゃんと出るし
おまけにマネージャー同伴でよいと云うのだ。
 
私は「詐欺ラレチッタ!」に登場する居酒屋の社長Aを私のマネージャーだと偽り
フロリダに連れて行くことにした(親友のYも本物のマネージャーも一週間の休みが取れない)
 
その頃Aの長男がラスベガスから車で一時間ほどのセントジョージアでゴルフ留学をしており、Aも丁度いい機会だから息子に会いに行こうと話はすぐにまとまった。
 
タンパのホテルに着いたらすぐにラスベガスのホテル探しだ。
Aがどうせ只でアメリカへ来れたんだからラスベガスのホテルは最高のホテルを選ぼうとツーリストの添乗員に
ホテルを探させたが丁度、金・土・日に当たっているため一流どこは続けて予約が取れない
少しおちるがフラミンゴホテルなら大丈夫だということで私とAは「ラスベガス! ラスベガス!」と
二人とも英語が喋れない事も忘れてはしゃいでいた。
 
撮影が終わり私たちは勇んで空港に向かったがさて……
何しろタンパ空港からチケットを変更して、ロスで飛行機を乗り換えてラスベガスまで行かなくてはならない。
Aが「大丈夫! 俺に任せろ」と云うからタンパの空港カウンターでAにチケットの変更を任せたのだが
Aは旅行用の英会話冊子を片手に、一言何か云うと冊子をめくり単語を探し、また何か云うと冊子をめくり
一向に話が前に進まない……
カウンターの中では若いアメリカの女の子がイライラしている。
 
私も「こいつ何やってんだろう!」と相当イライラしてきたのでAが冊子をめくっている隙に「チケットチェンジ、ラスベガス、ラスベガス!」
など知ってる限りの単語を並べまくったら……なんと通じた!!!
 
しかし、チケットは変更して貰ったのだが、果たしてそれがラスベガス行きかどうか…アホな私とAは
それさえも分からないのだにひひ
 
                                                              つづく