さてさて、随分と遅くなってしまったがうちの猫の粗相が治った顛末だ。
 
もう二カ月以上になるだろうか、正確なところは忘れたがうちのミーが
私のベッドの下や、家人の布団、新聞紙の上、あらゆるところに臭い小便を
垂れ流していた事が、遠い昔に思える。
 
あらゆる方法を試してみたがミーの小便は治らず、ほとほと困り果てていた私は
真逆の方法を取ろうと決心した。
それはミーがトイレに入って小便をしたら、無茶苦茶褒めるという方法だ。
 
だいたい、猫が小便に行くタイミングは分かる。
寝起きや、部屋の中をうろうろしている時だ。
 
私はミーがそろそろトイレだなというところを見計らって、ミーをトイレに入れる。
そして、「良い子だね シッコ、シッコ」と猫なで声を出しながら嫌がる猫をトイレに半ば強制的に
出さないようにする。
当然猫は嫌がって出ようとするが、それを無理に止めないで
トイレを出てしまったら、また猫なで声で「良い子だね~~シッコ、シッコ」と抱いてトイレに入れる。
これを私は飽きもせず繰り返したのだ。
 
すると何日目か忘れたが、ミーが私のいう事を聞いてシッコをしたのだ!
私はそれこそ今までした事が無いほど、猫の体を撫で廻し褒め続けた・・・おそろしく過剰に。
 
すると猫にもその私の感情が分かるようで、爪とぎ板でガリガリやりながら「ニャ~~!!ニャ~~!!」
と歓喜の声を上げる。
 
それからの私は、二時間ごとぐらいに、「ミーちゃんシッコ」と猫をトイレに誘い、優しく抱いて
トイレに入れ、「良い子だね~~シッコ、シッコ」を繰り返した。
 
するとどうだろう! 三回に一回はそれで小便をするようになったのだ。
もちろん、シッコをしたときは過剰に褒めることを忘れずに。
 
ではそれで粗相が治ったのかといえば、そんなに簡単にいく訳がない。
 
前よりはしなくなったがそれでも三日に一度ぐらいは粗相をしてしまうのだ。
しかし私は怒らない・・・猫はシマッタ! と思うのか、粗相をした後半日ぐらい姿を見せないが。
私は猫なで声で「ミーちゃん、シッコだよ」と声を掛ける。
 
そんな日が何日か続き、ある日ミーが、私の所へ来て「にゃー!にゃー!」とうるさく泣く。
家の猫は腹が減るとこの様に催促に来るので、私は立ちあがり「お腹すいたの?」と廊下に出たら
なんと! ミーはそのまま自分でトイレに入り小便をしたのだ!!!!
 
これには私も吃驚した。
猫がトイレを教えに来たのだ……私は超過激にミーの体をなでまわし褒めまくった。
 
そしてその日を境に、猫の粗相がぴたりと止んだ。
どうだ! これを奇跡と云わず何と云うのだ!
 
しかし、困った事が一つ起こった、ミーが頻繁に私を呼びに来るのだ。
シッコは勿論のこと、お腹がすいた・他の猫がうんちをした・虫が居る……等々なんでも呼びに来る。
私はそのたびに「何?どこ?」と猫の後を付いてゆくのだが、三回に一回は用事も無いのに呼びだす。
結局、キッチンやふろ場、トイレに私を連れて行き、何も無いのだ……
 
しかし、面倒くさいがそれも良しとしよう、なんといっても、粗相が治ったのだ。
 
猫も犬も、褒めるに勝るものは無し……聞くも涙、語るも涙……でしたにひひ