広島か~~何十回行っただろう。
最期に行ったのが5,6年前か……
あれだけ訪れたのに、とうとう原爆ドームには入れなかった……

牡蠣の養殖場を取材に行った時、二十人ぐらいのおばちゃんたちが
海から上げたばかりの牡蠣を殻から取り出していた。
私は牡蠣が大好きだから取れたての牡蠣を一キロほど買った。

経営者の方がおまけといって沢山袋に詰めるもんだから、2キロはあったんじゃないかな……

で、早速家に帰って、生牡蠣を腹が膨れるほどに食べ、それから牡蠣フライにして
それでもまだ半分余っている……で、早く食べないと生では食べれなくなるからと
いじきたなく、翌朝も生牡蠣を食べたら……当たってしまった……(-_-;)

食中毒のような症状だ……ちなみに私は食中毒でも酷い目にあっている
本当に死ぬかと思った……

私は二十代後半の頃から釣りに凝っていて、休みを見つけては車を飛ばし
千葉の館山、鴨川、外房の海を釣り歩いていた。

あの時も夜中に家を出て、朝の四時ごろに館山に着く…季節は八月、夏の真っ盛りだ(^_-)-☆

二十四時間営業の、いつもの釣り餌屋で、餌とこませを買おうとしたら、一キロぐらいの
形の良い黒鯛が三匹、たらいの中で窮屈そうに泳いでいる!!

私はここ2年ぐらい、ずーと黒鯛を釣ろうと、四時間も五時間も車を運転し
外房の磯をうろついているのだが…黒鯛の顔も拝んだことがないのだ……

私は眠そうな顔をして出てきた釣具屋のおやじに、「この黒鯛、どこで釣った!」と
焦り気味に訊ねた。
するとおやじ…「この下の堤防で、昨日の夕まずめ、一時間ぐらいで釣れたな~~」と
まるで表で小便でもしたように、気軽に答える……そして今日も釣れるよ~~と
私の心を見透かしたように、誰でも釣れるような言い方をする。

で、私は勢い込んで、「仕掛けは、餌は?」と矢継ぎ早に質問する。
おやじは益々ゆっくりとした口調で、「岩いそめ・袋いそめ・ゴカイに豆蟹を持っていけばいいっぺ~~」と次から次へと餌を取り出す…そして、「コマセは三キロもあれば足りるっぺ」と冷凍されたコマセを袋の入れる。

私は舞い上がっているから「絶対、釣れる?」と云うとおやじは「子供でも釣れっぺさ」と薄笑いを
浮かべる。

それで私は、餌代一万五千円を払い、意気揚々と釣具屋を後にする……
釣りのことをよく知っている人がこの会話を聞けば「こいつは馬鹿じゃないの~~おやじに騙されて
使いもしない餌を買わされている」と……

私は焦る気持ちを抑えて車を走らせ、堤防に着くとおやじに教わった場所に陣取り
まだ太陽の昇らない、薄っすらとした光の中、セッセとコマセを撒く……
気分は大漁だ……堤防には私ひとりしか居ない。

太陽が昇ってくる…夏の太陽だ、最初は涼しくていい気持ちだが、すぐにギラギラとした太陽が
私の体を焼き、脳天が熱くなって来る。

黒鯛は一向に顔を見せてくれない……それどころか釣れるのは親指ほどの河豚と、刺されたら腕が
腫れ上がってしまうゴッゼイばかりだ……

こんな筈じゃないと、おやじに言われた、岩イソメで食いが悪かったら袋イソメ、ゴカイ、蟹、と
云われたとおりに餌を付け替えるが、全く釣れない……

普段なかなか釣りに来れないものだから、真昼間の炎天下でも懸命にウキを眺め
ひたすら「黒鯛よ来い!」と呪いを掛ける。

やがて夕方になり、夕まずめ……魚が餌を食らう時間だ……\(◎o◎)/!
今度こそはと入れ込むが、ウキはピクリともしない……

辺りは真っ暗になり、釣り人は一人も居なくなる……
私は灯かりの点く夜用の蛍光ウキに仕掛けを変え、夜光虫の乱舞する海に餌を投入する。

いつしか夜中になり、私はまだウキを垂らしている……夜光虫も居なくなった……
灯かりは堤防の入り口に裸電球が一つ、粗末な木材に括り付けてある。
海は漆黒の闇だ…潮風と堤防に当たる波の音だけが、海であることを示すのだが
真夜中の堤防は、お化けが出てきそうだ……

釣りじゃなかったら絶対に一人では居られない……(~_~;)

私は買い込んである食料を食べ、朝まずめに向け車の中で二、三時間の仮眠を取る。 
そして朝! 私は今度こそはと、リキを入れ直し、ウキに集中する……
釣れた!!…竿が重い…!大物だ…\(◎o◎)/!
しかし海から顔を出したのは、うつぼだった……(~_~;)
気持ち悪いィィィッッ!! 釣り糸に絡まって上がってくる……
一メートルはあろうと思われるうつぼを、私は仕掛けごと海へ投げ捨てた……

昼まで頑張ったが、体力の限界…餌はまだうなるほど余っている……
岩イソメも豆蟹もみんな海に戻してやり、私は「次回こそは」!と誓って、海を後にする。

そして私は東京に帰る途中にある、私の実家へ立ち寄った…夕方まで休養を取り
それから帰ろうと思ったのだ……しかし!・・・それがいけなかった!!!

                                          つづく