娘は「ヤダー」と体を親分の方に避ける……
親分の方は一瞬どう反応したらよいか迷っている。
Aの攻撃は続く「ヤダーじゃないだろう…もう男しってんだろ、どうなの」と
またオッパイを突っつく……(@_@;)

親分が口を開いた「Aさん、娘は中学生なんだから止めんかい!」と娘を帰した。

場が白ッ~~となり、誰も口を開かない……
Aは表情を変えず、ゆっくりと水割りを口に運んだ。

「こいつ肝が据わってるな」と私は思った。
Aはド近眼なので、撮影の時意外は牛乳瓶の底の様なメガネを掛けている。
マンガによく出てくるキャラクターのようにマヌケで可笑しいのだが……
今は静かな迫力さえ感じる。

親分は何故こんな雰囲気に突然なったのか分からないようだ。
私は「取り敢えず明日も早いから、旅館に帰ろう」そう云ってみんなを立たせた。
確か、親分の車で旅館へ帰ったと思うのだが、車内は会話も無くみんな無言だったと思う。
Sが私だけに聞こえるように「やべぇ~~」と囁いていた。

こんなことが私の目の前でもう一度起こった。
それは福島ロケが終了し、みんなで東京へ帰る列車の中でのことだった。

そのころはまだ新幹線は走ってなく、福島から特急のグリーン席にいつものメンバー
が集まり、馬鹿ッ話に花が咲いていたのだが、一人いつもと違う出演者が居た。

その俳優は大前均さんと言う俳優さんで、私たちよりは大分年上で武将として出演していた。
頭がツルツルの巨漢俳優だ。

私たちはこの俳優さんのことをよく知っていた。
東映映画全盛期の頃、時代劇に欠かせない俳優さんだった。
身長188センチの巨漢はその当時の俳優から首一つ大きく、目立った人だった。

私たちはその当時の映画界、また中村錦之助さんやその他のスターの裏話が聞きたくて
大前さんの話に腹を抱えて笑っていた。

私の隣、窓際にAが居り、その前に大前さん。大前さんの横はSだったか。
通路を挟んでNちゃん、Tちゃんという席順だった。

当然のこととして、その当時の女優さんの話になってゆく、大前さん曰く
日活がうらやましかった…日活は自由恋愛で好き勝手に女優に手を出しているが
我が東映でそんなことをしたら大変なことになり、女優と車でデイトしただけで
翌日、御大の前に呼び出され、針のむしろの御説教になると言った。

日活出身のスター○○がそんなこととは知らず、非牡丹博徒をデイトに誘い出し
翌日、若山さんに呼び出され、京都の地図を目の前に、どこからどこを走った!とメチャクチャ脅かされたことは有名な話だ。

そんな話と共に、話題は女性のことになってゆき、みんな禁断症状だったので
興味津々だ。
大前さんは昔から池袋でクラブを経営しており、ホステスの話などが盛り沢山で
メチャ面白い…話があまりにも具体的なのでここに書くことは絶対出来ないが
それは面白かった。

そのうち大前さんの話は外国の女性に移っていった。
そして、大前さんの話は「それで朝鮮の女はな~~」と韓国に行ったときの話になった。
私は「ヤバイ」と思ったが、もう遅い、大前さんの話は止らない~~~\(◎o◎)/!

                                          つづく