女親分の事件から一年以上も経っただろうか、Yの努力の甲斐もあって
中華料理店の売り上げは上昇し始めた。

浅草商店街の奥さん達、これを浅草のおかみさん会というのだが
浅草ではこのおかみさん会の力がとても強い。

その分口うるさいのだが、ここでYの評判が上がってきた。

それで相談に来たのが、こんどオープンしたビルのオーナーのかみさんだ。

本当は隅田川沿いにラブホテルをオープンしたいのだが、規制でラブホテルは建てられない。
ビジネスホテルでは売り上げが上がらない。

それで役所への申請はビジネスホテルでして、内部はラブホテルにしたいという相談だった。

それで問題になったのは、ビジネスホテルで申請すると、朝食をお客に提供する
場所を造らなくては許可が下りないのだ。

かみさんとしては造るのはいいのだが、実際、ラブホテルのほうで売り上げを上げたいので
造っても無駄になってしまう。
ラブホテル帰りに、そこで飯を食っていくカップルはいない。

そこでYはこんな提案をした。「スナックにすればいいじゃないですか」と
おかみさんは「だってあの周りはビルばっかりで、お店なんて一件もないし、夜は人通りも無いし
お客なんて来るの?……それに私は水商売の経験なんて無いし出来ない」と言った。

Yは「そうですね、貸すといっても、あの場所じゃ借り手も居ないですよね」
おかみさん「一階にお店を作っているのだけど、営業の形を作らないと審査が通らないのよ
困ったわ~~」と頭を抱えた。

そこでY「分かりました。わたしにお任せ下さい。俳優にやらせますから」ととんでもないことを云った。
「俳優さん\(◎o◎)/!支配人はそんな知り合い居るの?ネェ、ネェ、誰(^^♪」おかみさんが興味津々
で聞いてきた。
するとYはこともなげに「速水亮ですよ」と言った。

「エッ!!速水亮さん~~~!支配人知っているの!」
「あいつは俺の後輩ですから、俺が言えば大丈夫です」と安請け合いをしやがった。
「本当! 速水さんがやってくれれば、万々歳だけど、俳優さんがラブホテルの一階でスナックなんて
やってくれるのかしら?」とおかみさんは当たり前の疑問を呈した。

するとY「速水には、ラブホテルと言わなければいいでしょう。ビルの外観もラブホテルには見えないし
云わなければ分からないですよ。おかみさんも速水に会ったら、ラブホテルのことは云わないで下さい。
大丈夫です。私にすべてお任せ下さい」と言いやがった(-_-;)

                                         つづく