この作品の監督Mは聞いた事の無い監督だ、日活のロマンポルノを撮っていた
監督らしいが、ドラマの世界では無名だ。

日活ロマンポルノというのは日活倒産の後、主だった監督は俳優は日活を去ってしまったのだが
残った助監督達を中心にポルノで再建をしようとし、ある意味では文化を創った。

また、それまで日の当たらないところに居た助監督達が、監督として才能を咲かせた事でも
映画史の1ページを飾る。

私の尊敬する神代辰巳監督も、ロマンポルノから才能を発揮した。

しかし、Mという監督は知らない。ロマンポルノに詳しい奴に聞いてみたら
ポルノの世界では結構名が売れていて、かなりエグイシーンを撮るのでファンも居るらしい。

それで納得できた。この作品は大場久美子にこれまでやらなかったエロイ濡れ場を演じさせ、
それを目玉に作品を販売する気らしい。

久美子ちゃんはコメットさんだ、私もゲストで出演している。
う~~ん・・・・・・コメットさんも凄いイメチェンだ\(◎o◎)/!

台本を読むと、私の役はスペインの女刑事と何回もやり取りがあるので、スペイン語を
話さないといけない。

マネージャーにスペイン語のテープを早めに貰ってくれと頼んだが、製作スタッフからは
梨の礫だ。結局、衣装合わせのときまで明確な連絡が無い。

東映の仕事にしては余りに雑なのでどうしたことかと思ったら、東映はこの仕事をM監督の
Sプロに○投げをしただけで、制作は一切Sプロが仕切るということだった。

衣装合わせに行った。監督のMは50代のデブッとした男で真っ黒なサングラスをして
多くを話さない。

スペイン語のテープはどうなったのかと私は質問したそうしたら

M 「カットを割るから、現場で大丈夫でしょう」と言った

この男は何を言っているのかと私は思った(-_-;)

大阪弁を覚えるだけでも、通常の3倍から5倍時間が掛かる。

以前、読売テレビの「おさと」という連続ドラマでえらいめにあったことがある。

私の役は大阪の老舗のボンボンでおまけにスタジオドラマだ。
カメラ4台でいくら長いシーンでも止めないで撮ってしまうのだ。
台詞もやたら多い。

最初は方言指導の人をインする前に付けてくれ、特訓してくれるということだった。
しかし、主役のおさとは特訓してもらったそうだが、私は方言テープだけだった。

初日の撮影の2日前だった、全員の顔合わせと本読みがあり、長門裕之さんを筆頭に
関西弁の達者な俳優人の前で私は始めて大阪弁の台詞を喋った。

さあッ~~それからが大変だ\(◎o◎)/!
この番組は大阪読売の制作なのでプロデューサーもみんな大阪だ。

プロデューサー「速水!なんだその大阪弁は!」
長門さんは私の隣でゲラゲラ笑っている(長門さんは私の親父役)

方言指導の人はすっ飛んで私のそばに来て、「テープ聞きました!」と恐い顔
私は聞いたと言ったら「そんな風に入れてません!」と言われた(~_~;)

それからの2ヶ月ぐらいは地獄のようだった、大阪弁との格闘だ!
大阪弁に気を取られて芝居にならないのだ。

以上の様に日本語でも大変なのに、今度はスペイン語だ「現場で覚えられるか、バカヤロウ!」

頭にきたが、その台詞は胸に収め、「一刻も早く、スペイン語の台詞を届けてくれと念を押した(@_@;)

このスタッフは素人か・・・・・アアアアアッ~~・・先がおもいやられる・・・・・・

                                        つづく