ここらであの当時のギャラを説明しておこう。
今、20万というお金はそんなに価値が無いかもしれないが、35年前の20万だ
今よりはズート使い出が有ると思ってくれ。

中屋敷ちゃんは体のごつさに似合わず、性格がとても良く、優しい男だ。
Xライダー撮影初期の頃から、中屋敷ちゃんとはよく話をした。

何話か忘れたが、始まったばかりのころ、青梅の山奥に撮影に行った。

神敬介の立ち回りが終わり、次は中屋敷Xライダーの出番だ。

殺陣師の高橋一俊が、「鉄ちぃん(中屋敷の愛称)橋の欄干に着地して」と云った

鉄ちぃん、ハイといって、欄干の上へ、欄干の高さは1メートルぐらい、幅は20センチぐらいだ
ライダーお決まりの、飛び上がり着地し振り返って、ポーズをとるカットだ。

ライダーの仮面は、目の下に少し前が見えるように隙間が開いているが、真下は全く見えない。

ということは、着地する時、20センチの欄干は見えていないわけだ。
そして、見えていない場所で、素早く反転してポーズを取るのだ。

一度、平均台か何かで試してみてくれ、バランスをとるのが如何に難しいか分かる。

尚且つその橋は、内側に落ちれば1メートルだが、外側に落ちれば30メートルある\(◎o◎)/!
落ちれば即死だ・・・中屋敷ちゃんはそれを難なくやってしまう!

私はそれを見て吃驚してしまった。

そのカットが終わり、私は鉄ちぃんに「ありがとう」と言った。
その後の二人の会話・・・

私  「鉄ちぃん、恐くない、落ちたら死ぬぜ」

鉄ちぃん「これが仕事ですから」

私  「鉄ちぃん、俺よりギャラ高いだろう、いくら貰ってんの」

鉄ちぃん「主役より高い訳無いじゃないですか、7000円しか貰ってませんよ」

私は絶句してしまった!命を張って7000円(*_*; そりゃないだろう・・・

私  「なに?それは一日7000円ということ」

鉄ちぃん「違いますよ!1本ですよ。ライダーじゃないときは、一日4000円の日給です」

多分、みんな吃驚していると思う。
でもこれが実態です。あの当時の剣友会は4000円で命を張っていたのです。
つり橋からのぶら下がりなど、あきらかに落ちたら死ぬのに、命綱を使ったこと
私は一度も見たことがありません。

殺陣師の高橋一俊がよく言っていました「怪我と弁当は自分持ちだぞ、死んだら俺が東映から
500万取ってやる・・・気を抜くんじゃないぞ!」と・・・・・・

怪我をするならNHK・・・東映は(-_-;)
俳優協会はあるのですが、何の役にも立っていません。
いまだに、その状況は変わりないのです。

                                       つづく