フランス語との再会と人生最大の敗北 | フランス流自分らしい子育てで、ママも子供も笑顔になろう!

フランス流自分らしい子育てで、ママも子供も笑顔になろう!

イヤイヤ期の息子に振り回されてばかりだった私に、あるフランス人のママが教えてくれました。「ママが夢を叶えて幸せに生きている姿を見せることで、子供は安心して成長していけるのだ」と。ママが幸せになるための秘密がつまった「フランス流」の魅力をお伝えしていきます。

前回の記事では、

大学の第二外国語の授業で
フランス語に出会い、
あっさり挫折したところまで
お話ししました。



その後、私は、
フランス語どころか、
得意だった英語とも離れて、
今の会社で法律系の仕事に就きました。

仕事はそれなりに楽しかったし、
20代のうちはとにかく仕事で
キャリアを積もうと思っていたので、

残業はもちろん、
仕事を家に持ち帰ったり、
休日出勤をしたり…
ひたすら仕事に明け暮れました。

結婚をしても、
その生活はあまり変わりませんでした。

それこそ身を粉にして働いていたので、
職場ではそれなりに高い評価を
得ていました。

そして、
入社から8年ほど経ったある日、

私は本社の秘書課という部署に呼ばれ、
海外出張へ行く社員のサポートをする
仕事を担当することになりました。



優秀な社員が集まるというその部署に、
意気揚々と乗り込みました。

ところが、
私が主に担当するのは、
フランス出張。

???

大学でフランス語を勉強したことは、
私の中でなかったことにしていたし、
当然、履歴書に書けるような
資格だって何もありません。

そんな私が、
フランス出張者のサポートなんて
できるはずないのでは?

結局、フランス語ができる社員なんて
そうそういませんので、
やむを得ない事務分担だったようです。

「勉強してなんとかしてください。」
そんな無言の圧力をひしひしと感じました。

昔一度挫折した古傷が痛みましたが、
仕事なのでやらないわけにはいきません。

朝7時に家を出て、満員電車に揺られ、
激務をこなして、夜11時頃帰宅する。

そんな生活のスキマ時間に、
フラフラになりながら、
独学でフランス語を勉強しました。

でも、
先方への受け入れ依頼の手紙が書けない。
先方から届いた書類も正しく読めない。

フランス語でのメールや電話のやりとりも
全然できない。

調べ物を頼まれても、
フランス語の文献やサイトが全然読めない。

出張者からフランスでの生活について
聞かれても全然答えられない。

今まで、難しい仕事はあっても、
何とか機転を利かせて、
こなすことができたのに、

目の前の仕事が「本当にできない」
という事態に初めて陥りました。

同僚や出張者たちには
多大な迷惑をかけました。

翻訳業者に頼んで、
会社に余計な経費をかけました。

在仏日本大使館の書記官にも
よく怒られました。

自分の無力さに打ちひしがれて、
完全に自信を喪失した2年間でした。



その後、
病院での治療を経て、
私は第一子を妊娠しました。

結婚から4年、
待ちに待った子宝でした。

でも、それより何より、
この仕事から解放されて
産休に入れるということが
嬉しくてたまりませんでした。

そう、
私は仕事を捨てて、
家庭に逃げたのです。

私にとって、息子の誕生は、
人生最大の幸せであると同時に、
人生最大の敗北でもありました。


つづく