賃貸契約をする際に提出を求められることもある収入証明書は、契約の成否を決める重要な書類です。
とはいえ「そのような名前の書類を今まで受け取った覚えがない……」という方も多いのではないでしょうか。
実は収入証明書という名称の書類はありません。
他のさまざまな書類が収入証明として利用可能です。
この記事では、収入証明書として提出できる書類の種類や入手方法、そして提出できる書類がない場合の対処法を解説します。
収入証明書とは?
収入証明書とは、個人の収入の額を証明するための書類です。
賃貸契約をおこなう際、家主や不動産会社は借主が継続して家賃を支払い続けられるかどうかを確認するため、審査をおこないます。
その審査に使われる書類の一つが収入証明書です。
ただし、十分な収入があるだけでは、審査に通るとは限りません。
勤務先や勤続年数など、さまざまな観点で審査はおこなわれます。
賃貸物件の契約時に関する審査については、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひあわせてご確認ください。
>>賃貸契約の入居審査は何をチェックされている?基準や年収について解説
収入証明書の種類と発行場所
まず注意したいのは、収入証明書という書類は存在しないという点です。
収入を証明するための書類は複数あり、そのなかから選んで提出します。
ここでは発行される場所ごとに、利用可能な収入証明書の種類を解説しましょう。
市町村役場で受け取れる証明書
市町村役場では以下の書類を受け取ることができ、いずれも収入証明書として利用できます。
- 所得証明書
- 課税証明書
- 所得・課税証明書
これらは所得額あるいは課税額を証明するものです。
公的な機関が発行する書類であるため、信用度の高い収入証明書といえるでしょう。
ただし多くの市町村では、前年分の書類を6月上旬から中旬にならないと前年分の書類を入手できません。
これより前に収入証明書を受け取りたい場合は、他の書類を検討する必要があります。
勤務先で受け取れる証明書
会社や公的な機関に勤務している場合は、勤務先から以下の書類を入手可能です。
- 源泉徴収票
- 給与支払証明書
源泉徴収票は毎年12月に配布される書類です。
一方、給与支払証明書は勤め先に発行を依頼すると用意してくれます。
ただし転職をしたり複数の勤め先があったりする場合は、すべての勤め先から書類を入手するのが面倒かもしれません。
なお一般的に、給与明細書は収入証明書として認めてくれないケースが多いので注意してください。
自分で用意できる証明書
自営業あるいは副業をおこなっている方は、確定申告書の写しが収入証明書として利用できます。
確定申告書は、毎年3月15日頃までに税務署に提出が義務づけられている書類です。
写しは各自保管しているため、発行申請の必要はありません。
もちろん会社や公的な機関などに勤務している方も、確定申告をおこなっていればこの書類を収入証明書として利用可能です。
また提出先によっては、銀行通帳の写しを収入証明書として受け入れてくれることもあります。
収入証明書の取得方法
具体的な収入証明書の取得方法を解説します。
市町村役場での発行方法
市町村役場で発行する場合、1月1日時点で住民票があった自治体の役所に申請します。
取得の際には、身分証明書と手数料(1通300円)が必要です。
遠方へ引っ越していて役所にいくことが難しい場合は、郵送での交付申請ができます。
また、マイナンバーカードを持っていればコンビニエンスストアのマルチコピー機での発行も可能です。
勤務先での発行方法
給与支払証明書は勤め先から発行されるものであり、申請方法はそれぞれの企業や団体によって異なります。
詳細は勤め先までお問い合わせください。
なお給与支払証明書はパートやアルバイト、退職者でも発行を申請可能です。
源泉徴収票も申請によって再発行できます。
こちらも詳細はそれぞれの企業や団体にお問い合わせください。
収入証明書がない場合はどうする?
何らかの理由で収入証明書がないこともあるかと思います。
そんなときの対処法を4つご紹介しましょう。
収入証明書が不要な物件を選ぶ
一つ目の対処法は、収入証明書の提出なしに借りられる物件を選ぶ方法です。
例えばマンスリーマンションは、一般的に収入証明書の提出が求められていません。
これは、短期契約が基本であり、急な入居にも対応できるようにするためです。
また、物件によっては、収入証明書の提出なしで契約できるところもあります。
ただ、どの物件が収入証明書不要で借りられるかといった情報は公開されていないことが多く、都度不動産会社などに問い合わせる必要があるでしょう。
預貯金審査で契約可能かを確認する
収入証明書の代わりに、貯蓄額で契約が可能かを確認する方法もあります。
十分な貯蓄があれば、家賃を払い続けられることの証明になるでしょう。
例えばUR賃貸住宅では、貯蓄基準制度というものがあり、月額家賃の100倍以上の貯蓄額があれば基準月収額を満たさなくとも入居可能とされています。
物件によって条件は異なってくるため、まずは不動産会社に相談してみてください。
数ヵ月分の家賃を前払いする
家賃を前払いによって、収入証明書の提出を不要にできる物件もあります。
例えばUR賃貸住宅では、家賃など一時払い制度により、年単位で家賃と共益費をまとめて支払うことにより収入証明書の提出が不要です。
こちらもその他の物件に関しては不動産会社に問い合わせてみてください。
納税証明書を用意する
収入ではなく納税額の証明することで、間接的に収入の額を証明する方法があります。
納税証明書は税務署に直接赴いての請求や郵送での請求のほか、オンラインからも交付の請求ができます。
なお所得税の納税署名書には未納額も記載されるため、未納分がある場合は審査の際に審査に落ちやすくなる可能性がある点に注意してください。
まとめ
収入証明書は、賃貸物件の入居する際に必要な書類です。
また、収入額や勤務先、勤続年数は入居審査に大きく関わってきます。
収入証明書として利用できる書類はさまざまなので、自分にとって入手しやすいものを選んでください。
また何らかの理由で収入証明書を用意できない場合でも、その他の方法で契約ができる物件も存在します。
収入証明書がなくても諦めずに、不動産会社に相談してみてください。
これから賃貸物件を探す方は、賃貸スタイルでの検索がおすすめです。