人は自分自身の人生を生きることしかできない、というのは単純ながらもなかなか受け入れがたい命題なんではないでしょうか。こんなはずではなかったのに、とか、あのときああしていれば、などという後悔を僕も始終しています。これは、自分の人生がもう一つあれば、時間を巻き戻してやり直すことができればという願望から来るものの気がします。でも、タイムマシンももしもボックスもない。だから、時間を巻き戻したりはできないし、勿論もう一つの人生を生きることもできません。まあ、単純な命題であるからこそ気付かずに歎いてしまうんでしょうね。なるようにはなるし、むしろ、なるようにしかならない。あくまでも「この」人生の営みは分かち合おうにも分かち合いがたい自分一人の物だから。
だからこそ、人は本を読んだり映画を見たりして物語を消費するんだと思います。果たせぬ思いや理想の人生を誰かに仮託するべく。
僕はブログを読むのが好きで、ラーメン関係のみならずネットサーフィンしていますが、これも同じような理由からなのかと。他人の人生を垣間見ることにより、誰かに何かを託しているのかな、なんて。まあ、実際に生きている方々の人生を「物語」などと言うのはなんとも不謹慎な気がしますが、タイガー・ウッズのゴシップに群がったりするのは要するに「そういうこと」でしょ?と。
いずれにしても他人が営む他人の人生は、別にタイガー・ウッズのようなセレブリティのものでなくとも、興味があります。まったくゴシップ的な意味合いではなく、ね。自分は自分の人生だけを自分のやり方で生きていくしかない、これは非常に不自由なことだとも思いますが、厳然たる事実です。その範疇でのみ価値観を作り世界を構築していたら、世界はそれこそ100人の村になってしまう。自分の人生経験から思い付かないような発想は、むしろ他人の人生の中にあるわけで、だからこそ他人の人生は興味深い。まったく思い至らないような発想や想像できない生活を他人はしていたりするから。だから、僕はブログを見るのが好きなのでしょう。自身の世界観に凝り固まった自分の蒙が啓かれることが多々あるから。
この前見つけたブログの筆者さんは中本の大ファンなようで、月に一回は全店舗を回っているとのこと。僕は池袋店の開店前後数回行きましたが、それ以来はご無沙汰してます。だって、辛いんだもの(笑)。酸、辛、苦、甘と味はありますが、辛いのが多分一番苦手。割とおいしかった記憶はあるんですけどね…で、その方のブログに掲載されている多数の写真を見ていたら…食べに行きたくなっちゃいました。赤い色は食欲を増進させますね。というわけで、中本@目黒です。ね、蒙が啓かれているでしょ?(笑)しかつめらしい顔をして話してて結局中本かよ、ってまあまあ。僕なんて所詮こんなもんです。

さて、中本はまあ超有名店ですよね。あの真っ赤なスープのラーメンを出すお店です。キャッチフレーズは「からうまい」。よく、辛さの向こうに旨さがある、なんて言われますが、辛さの向こうにあるのは空漠では…なんて思ったものです。あ、昔行ったときにね。最凶、あ、違った、最強に辛いと噂の北極ラーメンや冷やし味噌ラーメンなんてとてもとても…蒙古タンメンで精一杯です。あ、蒙古タンメンってのが中本の一番の売れ筋で、辛みが殆どない味噌タンメンに中本特有の真っ赤な麻婆豆腐を乗せた代物のこと。でも、昔はこれ、そうとう辛く感じたんですよね。翌日お腹痛くしたし。さて、今回はどうでしょ。

中本は本店、池袋店、新宿店、吉祥寺店、目黒店、御徒町店、亀戸店、渋谷店、高円寺店と非常に多店舗展開。個々のお店でメニューが違ったりするからまた厄介。家から行きやすいのは、渋谷か目黒かな。調べてみたら目黒の方が評判いいようなので目黒店に訪問です。

22時30分ころお店に到着。列びはありません。中本のいいところは夜遅くまで空いてるところですね。まあ、真夜中に激辛な麻婆豆腐を食べるのは体によくなさそうですが(笑)。新宿店なんかはこれくらいの時間でも結構列んでいたりするようですが、目黒は店内の9割方が埋まっているくらい。
食券機で約8年ぶりくらいの蒙古タンメンの食券と辛さから退避するように半ライスの食券を購入。

しっかし、元気のいい店内ですね~。そういう社員教育なのかしら。いらっしゃいませ、おまちどうさまでした、ありがとうございました、店員さんの声はどの場合でも腹から出ている気がします。
大蒜と唐辛子の薫りで充満した店内にいると食欲がどんどん掻き立てられますね…果たして食べられるのかは分からないけど、お腹は空いた!早く食べたい!!

約7分程度で、蒙古タンメン+半ライスがお待ちどうさまぁ~!!

うお~、久しぶりだ~、と思って見た蒙古タンメンは思っていたほどに赤くありませんでした。
約8年ぶりの蒙古タンメンは味噌ベースのスープに太麺、白菜や肉などが主となる野菜あん、そして麻婆豆腐という布陣。

恐る恐るスープを一口…や、旨いよ、これ。蒙古タンメンのスープは味噌タンメンのスープなのでそう辛くはありません。大蒜がよく効いており、なおかつ、カプサイシンの持つ旨さ(?)も滲み出し相当に旨いです。あれ、こんなに美味しかったか?

野菜のあんは白菜が主体。野菜の持つ甘味とカプサイシンの辛みがうまい具合にマッチしていて、あ、結構いけますね。旨い旨い。

麺は野菜あんの下からほじくり出して食べます…この麺は変わっていませんね。ちょっとゴワゴワしていて、スープをよく持ち上げますね。麺自体が炭水化物特有の甘味を持ち、辛みの中にあって結構食べやすい。

麻婆豆腐は単体ではいただきません。蒙古タンメンの辛みはここから来ているからね。

と、丼の中を引っ掻き回していると…段々麻婆豆腐が侵食してきます。さあ、ここからが本番。
麻婆豆腐とスープが混ざり合うとやはり大分辛い。といっても記憶の中にある蒙古タンメンの辛さほどには辛くない。それよりもむしろ、辛さによってスープの旨味が増していた気が。あ、でもやっぱり辛いな、これ。辛さへの耐性があまりないので舌がびりびりしてきます。それ以降は、辛さよりも熱さが辛く。野菜あんで保温されるから、後々まで結構熱々なんですよね。この熱さは結構辛い。半ライスに逃げます。あとの退避場所というと野菜あんの白菜なんですが、これもやはり熱い。水を飲むと刺激が増すから飲まないようにしていましたが、やはり熱さには敵いません。水を飲みます。
この熱さとともに厄介なのが、まあ僕の個人的な問題なんですが、滝のように流れる汗。そう汗っかきなわけではないんですが、辛いものを食べるとダメなんです。汗が滴り落ちる。目に入ると痛いんです。

熱さと汗と格闘しながら完食。ふう。達成感に充たされます。

いや、旨いと思いました。辛さへの耐性も昔食べたときよりはできているようで、「からうまい」を理解する入口くらいには立てたかな、と。また、食べたいかといわれると食べたい…ですかね。
いつかは全店制覇!…はしないでしょうね。
いつかは北極ラーメン!…はきっと無理だな(笑)。

僕なりに中本も味わいたい、そんなところですかね。