井の中の蛙大海を知らず

されど空の青さを知る

 

「井の中の蛙大海を知ってしまう」

大海を知りたくて、飛び込んでしまった。

しかし自分にとっての大海は、

決して綺麗なものでも希望にあふれるものでもなかった。

ただただ自分のいないところで回る世界・動く日常感という

強烈な塩辛さに触れる結果となってしまった。

聞きたくなかった、知りたくなかった話の数々。

大海に飛び込もうとしなければ、きっと心はもっと自由だった。

 

 

「されど空の青さを知る」

ことわざには続きがあった。

井の中で暮らす蛙だからこそ、空の青さは知っている。

大海を知らずとも、自身の生活の中で突き詰めた何かを持っている。

 

世間知らずで見識の狭い私(=井の中の蛙)だけれども、

自分なりのやり方で、自分なりの好きなものを、

深く深く突き詰めていけば、それでよいのではないか。

例えそれが大海には馴染まないものであったとしても。

それが自分の生き方だから。

 

そしていつか、違う井の中の蛙と、

お互いが深め合った大切なものを、

共有できる日が来るのを待って。