根本 寛, 2015. 「新筆跡鑑定 事件を見抜く筆跡心理学」三和書籍

 

 

期間が空きましたが上の本を読みました。

図書館で見つけて純粋に興味を持ったので読みました。

 

現場で筆者が用いている筆跡鑑定について、一部具体例が紹介され、

実際に起きた事件や事例のケースの紹介、そして現状の筆跡鑑定現場の問題点などが挙げられていました。

 

まず最も印象的だった文は、「筆跡個性は脳に蓄えたイメージの反映」という文です。

筆跡個性というのは各々が字を書くときに現れる時の特徴で、

基本的に鑑定はその特徴をもとに行われるのですが、

角の丸みや突出部分、一字内の隙間などに“個性”が見られます。

もちろんその時のコンディションや気分によって字が変わることはありますが(=個人内変動)、

各々が字の形として何を求めるか、その好き嫌いはイメージとして蓄積されたもので変わらない、それが書いた人の特徴でもあるし、別人が書いたことがわかる契機ともなります。

 

私は個別塾でアルバイトをしていて、生徒・講師ともに多くの直筆の字を目にする機会があるので、

書いた人やその字の特徴や個性を読み取れるんじゃないかとワクワクしています。

ただこの本を読んだだけだけど、人の字を詳しく見たいという新たな欲望に出会うことができてうれしく思います。

 

 

ただ「こういった筆跡鑑定が行われています!」ということだけではなくて、

現在行われている筆跡鑑定の問題点についても著者なりの見解がありました。

大きな二つの問題点として、

 ・バイアスにとらわれてしまう傾向が強い

 ・データベースがない

の二つがあるとのことでした。

前者については、筆跡鑑定士の収入という点にも直結していましたが、

二つの筆跡が「同じである」ことを証明するために筆跡鑑定をしてしまうと。

そうすると「同じである」ための理由付けを無理やり行うことになってしまうわけです。

また、警察組織の内部やそのOBの関係性的に、前の人が「白」なら後の人も「白」にしなければならない風潮があることが述べられていました。

 

後者については、日本語の文字の量も一つの文字に見受けられる判別可能な特徴の量も多すぎるため、

データベースとして記録することが難しいという点でした。

なので個人の経験やケーススタディの蓄積でしか判別ができないということでした。

 

最近だと画像判別や文字班別のAIがかなり発展してきていますが、

この辺りはどうなのでしょうか。

形の判別という点では非常にやりやすくなるだろうとは思いますが、

その背後にある人物の特徴を踏まえて判断するのには、

AIによる違いの発見と、人間による特徴の判断の組み合わせが必要になるのではないかと考えました。

 

 

ここからは個人的な興味の話です。

書いた文字を通してその人の特徴がある程度わかるならば、

(筆跡は個人が現れるものとして、容姿や行動習慣と同じ)

似たような字を書く人は似たような性格だと言えることができるのでしょうか。

字の特徴が現れるのであればYESだと言えそうな気もしていますが、興味深い所です。

 

そして、もう一点、これは個別塾とかこれまでの学生生活の経験則でしかないのですが、女子の字ってだいたいみんな似てきませんか?

似てると思い込んでしまっているだけで、細かい所の判別をしていない可能性が大いにありますが、

人それぞれの好き嫌いがある中でどうしてあそこまで似るんだろうというのは純粋な疑問としてあります。

 

 

以上です!

筆跡鑑定、非常に興味深いですね。

人の字に興味を持てましたし、自分の字を堂々と書いていこうと思いました。