編集委員会だより 5月29日(土)

郵政改革法案強行採決批判の笑止千万!


    本紙編集委員(経済班) 前野 数庸




ハヤ朝報-日本郵政本社
日本郵政本社

(東京都千代田区)




郵政改革法案が28日、ようやく衆議院総務委員会を通過した。

その審議がわずか1日であると自民党のみならず、小泉郵政改革全面支持の朝日新聞も審議時間が短いと、もっともらしい批判を繰り返している。


しかし、果たしてそうだろうか?


そもそも、この郵政改革法案、小泉内閣時代に出来た現行法の裏返しのようなものである。しかし、正確には、正反対に国営化を進める内容ではなく、せいぜい45度変更を進めるようなもので、民営化方針は基本的に破棄された訳ではない。その証拠に、今回の鳩山連立政権提出法案の政府の株式保有は3分の1にとどまる。そもそも民営化とは、看板が「株式会社」になることを指すわけではなく、株式の過半数以上を市場売却することにある。


したがって、現状は郵政民営化は完成した訳ではない。私は郵便事業は、国が責任を持つべきであると思うが、鳩山内閣の方針に沿った今回の郵政改革法案とは、完全民営化の路線を辞めるものではないのだ。


一方、小泉・竹中路線が昨年の総選挙で否定され、しかも、これを批判してきた民主党、社民党、国民新党が連立政権によって、郵政改革法案が閣法(内閣提出法案)として提出された訳である。小泉内閣時代にも100時間に及んで、当時の郵政民営化法案を審議しているのだから、議論はもはや必要にして十分である。

何をこれ以上議論する必要があるのだろうか。


これ以上、無駄な審議を繰り返すのは「重複」であり、国会というランニングコストを考えれば、国費のムダである。一気呵成に審議を進めることこそ道理である。にもかかわらず、朝日新聞をはじめとした強行採決批判は政治的意図を全面に押し出した一種のロビイ活動的言論であり、切って捨てるべきものである。


郵便貯金や簡易保険のように、民間で行うべき事業は確かに民営化すべきだが、郵便のような社会的需要があるにもかかわらず、その社会的需要に応えるような市場でのサービス供給が期待しにくい事業については、国が責任を持つのは当然の理である。郵便事業が民営化したところで、これ以上の効率化は困難である。

なんでも、民間に任せればいいというのは暴論に他ならない。


国民負担が増すといった主張もある。しかし、それは郵便サービスを国民負担を以っても維持すべきか、そうではないのかの選択の問題である。


連立与党は、道理を欠いた審議引き延ばしは捨て置き、どんどん審議し、粛々と採決をするべきであろう。(終)



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