筋肉は収縮する為にエネルギー源であるATPをADPに分解し、エネルギー得ています。

筋内のATP量は非常に微量であるため、ADPを再利用してATPを生み出すことで長時間にわたって運動ができる仕組みになっています。

それでは、ADP⇒ATPに再合成するときの回路についてみていきましょう。

 

ATP産生の3つの回路

  1. ATP-PCr系
  2. 解糖系
  3. 有酸素系

 

ATP-PCr系とは?

ATP以外に高エネルギーリン酸化合物としてクレアチンリン酸が筋内部に存在します。
PCr(クレアチンリン酸)がCrクレアチンとPに分解するときに発生するエネルギーを使用してATPを再合成させます。
他2つの回路と比べると単位時間当たりに供給されるエネルギー量は非常に大きいですがPCrの量にも限りがあるため7~8秒くらいでATPの供給がストップしてしまいます。
また、ATP-PCr系は反応に酸素を必要しないので無酸素系と言います。
 
 

解糖系とは?

糖質(グリコーゲンとグルコース)が分解されるときに発生するエネルギーを使ってATPを再合成する過程が解糖系になります。

グルコースはブドウ糖のことです。

グルコースは血中から筋中へ入り、筋に存在するグルコーゲンと反応し、グルコース6リン酸になります。

グルコース6リン酸が分解・反応しリン酸をADPに反応させATPが産生します。

一方でグルコース6リン酸はピルビン酸になりミトコンドリアに取り込まれます。

取り込まれたピルビン酸は最終的には二酸化炭素と水に分解されます。

 

↑表のピルビン酸がミトコンドリアに入ってからアセチルCOAが生成されます。

 

トレーニング等を実施しているときは解糖系が活発となっており、ピルビン酸の生成速度が速く、ミトコンドリアでの処理速度が追いつかない場合は、ピルビン酸は乳酸に変換されます。

 

ピルビン酸の生成速度>ミトコンドリアの処理速度 ⇒ 乳酸が生成

ピルビン酸の生成速度<ミトコンドリアの処理速度 ⇒ 乳酸は生成されない

 

変換された乳酸は

①筋自体で処理される

②筋から放出され肝臓や活動していない他の筋で処置される

 

この解糖系でのエネルギー供給速度および供給時間は、約32秒となります。

 

有酸素系とは?

この回路では細胞に存在するミトコンドリア内で酸素を使いATPを産生します。
<材料>
 ・解糖系で発生した「ピルビン酸」
 ・遊離脂肪酸(FFA)
 
上記2物質はミトコンドリア内でアセチルCoAに変換されます。
アセチルCoAはトリカルボン酸(TCA)回路に取り込まれ、複雑な過程を経て水素と二酸化炭素を発生させます。
発生した水素を使い、電子伝達反応を起こしてADPをATPに再合成します。
この反応のことを酸化的リン酸化と言います!
また、その時に酸素と水素が反応し水ができます。
 
この回路でのエネルギー供給速度は非常に遅いです。しかし、酸素が十分供給されていて体内の糖質や脂質がなくならない限り、エネルギーを供給し続けます!
 

まとめ

エネルギー供給速度
 ・ATP-PCr系>解糖系>有酸素系
 
エネルギー供給時間
 ・有酸素系(∞)>解糖系(約32秒)>ATP-PCr系(約7秒)