第50話 日本
第50話
日 本
9月9日(金)。日本プロ野球組織(NPB)は来年3月開催予定の国別対抗戦(ワールド・べースボール・クラシック=WBC)の日本代表監督に、王監督を最有力候補として調整を進めている。
9月10日(土)。楽天戦。松中は4打点の活躍、杉内が粘りの投球を見せた。杉内はリーグトップタイの17勝目。ホークスは80勝、一番乗り。
9月11日(日)。ホークスは楽天の新人一場から4点を先制したが、その裏、新垣は3点を奪われ、1点差に。6回には同点に追いつかれた。7回、城島の3ランで勝ち越しに成功。新垣から佐藤、三瀬と継投、最後は守護神、馬原が締めくくった。楽天に連勝。プレーオフ、日本一奪還への大きな弾みをつけた。
この日、第44回衆議院議員選挙が行われた。
「私の一番好きな日本人は坂本龍馬です。官位もいらない、金もいらない。名誉もいらない。でも、自分の命を天下国家に捧げる――ほんとうに清い人生を送ったと思います」
龍馬に限らず、当時の幕末の日本人、特に男は命を賭けて命を捧げて、天下国家のために動いた。何かと闘うとき、動かそうとするとき、相手は弱点をついてくると孫は言う。
「最後のぎりぎりのところで、金もいらない、地位もいらない、命もいらないという迫力でかかってくる男ほど敵からみて手こずるものはない。(政治家なら)有権者も、あるいは反対側にいる人もいつかは(心を)動かされる」
私は孫が否定的な言葉を吐いたり、名指しで相手を批判するの聞いたことがない。孫は言う。
「日本が悪い、誰かが悪いと言い出したら、もうそれで終わってしまいます。俺が変えてみせる、ひとりでも変えてみせる――せめて自分の業界ではそういうつもりでやっている」
孫は固い決意で言う。
「けっしてできないことはない。たったひとりでも革命はできる。いまの日本でもできる、いまの政治でもできると思っています」
私は孫のこの言葉が好きだ。
「世の中、困難だらけだ。困難なことはたくさんある。しかし、不可能なことはそうたくさんない」
明日に繋がる、いま。
孫の「世界一!」への戦いは続く。
(文中敬称略)