第40話 メディアビッグバン | ホークスを世界一に! 孫正義の21世紀革命2005

第40話 メディアビッグバン

第40話

メディアビッグバン

 8月2日(火)。「1年を振り返ったときにポイントになる試合でしょう。これで嫌なムードもふきとんだ」(王監督)。2連敗中のホークスにとって価値ある勝利。「ビックバン」が起きた。6回、ズレータの逆転満塁ホームラン。「サムライのように最後までがんばります」。

 いま、メディアの世界では「ビッグバン」が起きようとしている。

 孫泰蔵(ガンホー・オンライン・エンターテイメント会長)は、近い将来に〈メディアビッグバン〉が起こると考えている。

 金融ビッグバンは規制緩和によって起きたが、同じことがメディアの世界にも起きる。

「テクノロジーがメディアの枠組みを壊し、メディアの概念そのものも劇的に変化する」(孫泰蔵)

 インターネットには、周波数による物理的な限界も、配信の規制もない。現在、トヨタは年間1100億円規模の広告宣伝費を使っている。これがブロードバンドを使って、ハイビジョン並みの高画質動画を自由に電送できるようになるとどうなるか。企業が自分たちで放送局を作ったほうが、安くて高品質なものができると考えるのは当然だろう。

 そのことが明確化してくるのは2008年ぐらいだと、孫泰蔵は言うのだ。「もしぼくがトヨタの人間だとしたら、800億円も要りません。100億ぐらいで一瞬のうちに巨大なTV局を作ってみせます」

 なぜかといえば、トヨタカップという全世界の20億人が見るイベントがある。「1年目は無料、2年目から有料にして、そのうち2億人から100円ずつ課金できたら、200億円になる。こういったことがいろんなレベルで起きる」

 世界はすでにその方向に向かって動き始めている。米マクドナルドが年間の広告予算の半分をネットにすることに決めた。TVのCMはスキップされ、若者がTVを見る時間よりもネットに向かう時間のほうが長い。これから日本の多くの企業も追随していくにちがいない。「100年に1度の変革が放送の世界に訪れようとしています」(孫泰蔵)

 

 8月3日(水)。孫オーナー以下が出席して、ソフトバンク本社の取締役会が初めてヤフードームで開かれた。「(球場で)役員会が開かれるのはとてもいいいこと。試合も見てもらえる。今日も勝ちます。最後にものを言うのは気力」(王監督)。試合は松中の2ラン。大村は2本のソロホームラン。和田は球団史に名を刻む3年連続2ケタ勝利をあげた。

(文中敬称略)