第39話 悔しさ | ホークスを世界一に! 孫正義の21世紀革命2005

第39話 悔しさ



第39話


悔しさ






 7月30日(土)。ロッテとの首位攻防戦。杉内がロッテを相手に本拠地のマウンドに登るのは、1年ぶりのことだ。「どうしても勝ちたかった」(杉内)。昨年の6月1日、ロッテを相手にKOされた悔しさにベンチを殴り、両手を骨折した。杉内は新しい自分に挑戦。自らの手で勝利を掴んだ。14勝、8回を零封で飾った。松中はプロ9年目で1000本安打を達成した。「(初安打のときと同じ)ドームで打てたのが嬉しい。日々、新たな気持ちで、やっていく」(松中)

 7月31日(日)。新垣が先発。初回、ベニーがボールの判定をめぐって退場。その直後に新垣はロッテの猛攻に逢い、6点を奪われ、その後も立ち直れず5点を献上した。王監督の我慢もこれまでだった。「コントロールも悪かった。自分で調整しながらやっていくしかない。野球の神様がガツンとやった。本人がどう思うかどうか」。自らの道を切り拓いてきた指揮官の言葉は重い。悔しさをバネに新しい自分になれるかどうか。改過自新。


 

 孫は小学生のときに、「大人になったら何になりたいか」と考えた。夢は4つあった。小学校の先生、画家、事業家、政治家。この4つの夢のどれかになりたいと思った。これらに共通している点はひとつだけある。「クリエイティビティ、創造力ということです」。

 これらはそれぞれには関連性がないように感じられるかもしれないが、孫の中ではひとつだ。同じ学校の先生でも、孫がなりたかったのは中学や高校、大学の先生ではない。「真っ白なキャンパスの小学生に、何か人生観というか、人生の入り口を教えてみたいと思った」。

 画家はクリエイティビティそのもの。孫は商売人になりたいと思ったことは一度もなく、天下国家を変えるような事業家になることを夢見た。「男が命をかけてやるのは事業家で、天下国家を変えてみたいと思った」。政治家はどうか? これも創造力の世界だと孫は考える。

「政治家も自らが志を立て、天下国家を変える、改革をするということができるならば、これは創造力を発揮できる世界だと思います」

 孫は4つの夢の中のひとつを実現させ、革新的な事業家になった。

「いまでも志高く、天下国家のお役に立てればという気持ちは常に持ち続けています」

 孫は同じ場所にとどまることを好まない。大きな夢に向かって突き進んでいく。どんどん進化する自分でありたいと強く願っている。

 (文中敬称略)