おもろ過ぎて、どんならんなあ。 | 有爺のご意見箱

おもろ過ぎて、どんならんなあ。

昨日は兵庫県立芸術文化センターでの落語鑑賞。

笑福亭松喬さんの「らくだ」がお目当て。
大ネタの「らくだ」は題目は知っていたが聴いたことはなかった。いつも同人誌を送ってくださるK苅先生が今月号に投稿されていたのが、笑福亭松喬さんの「らくだ」にまつわる随筆だ。いつもはアート経済学に関する研究論文なのだけど今月は勝手が違っていた。

そして先月、妙齢の3人のご婦人に新開地の喜楽亭に誘ってもらったことで落語熱が再炎していた。若いころは産経ホールへ米朝さんや枝雀さんを聴きに行っていた。そのころは、カセットテープに録音した落語をドライブのお供に聴いていたもんだ。クルマにラジカセがついていた時代だ。

相撲と同じで贔屓がなくなると落語から遠ざかる。大好きな米朝、松鶴、春團治、仁鶴、枝雀さんが次々と亡くなり聴くことがなくなっていった。ところが、先月の喜楽館を機にまた少し聴いてみようという気になっていた。そんなところに先生の随筆を読んですぐにチケットを買った次第。
前座は笑福亭喬龍さんの「ときうどん」。まだまだ若い。熟してない感じ。だれもがよく知っているネタだけにもうちょっとアドリブが入った、練れた話芸でないと面白く感じないかも。次は松喬さんの「おごろもち盗人」。こんな題目さえあることを知らなかった。ところが、不覚にも寝落ち。途中途中目覚めては聴いたが、話の前後が繋がらない。これは、YouTubeで探して再度聴いてみよう。中入り前は江戸から来演の三遊亭好楽師匠。こちらはさすがに流麗な江戸落語の名人芸。でも、どうもベランメエ調の江戸落語は苦手なんだよなあ。江戸落語で好きなのは圓生、円楽、歌丸、痴楽なんて昔の有名どころになるんだよなー。

さて、中入り後はいよいよ松喬さんの「らくだ」。期待どおり、いや期待以上の熱演。上方落語の真髄が詰まった極め付けのストーリー。やっぱりベランメエよりも「どんならんなあ。われ!そんなもんネキに置いとけ」が好きなんだよなあ。
60分を超える大ネタ。さすがの人気でホールは満席。チケットは完売だそうだ。
このひとの話をまた聴きたいと思う反面、こんどは南光、米團治、文珍なんかを聴きたくなった。若いころに知っていたけど、いまはええ味になっていそうな気がする。
まだまだいまの噺家さんを知らなさすぎる。
相撲も同じ。若貴、小錦、武蔵丸、曙以来、遠ざかっている。遠ざかると当代の勢いのある関取の名前が分からなくなり、ますます遠ざかる。相撲については、最近は大の里、琴桜、若元春など、好きな関取がポツポツと出てきてテレビをまた観るようになった。
落語、相撲という伝統の世界もコンテンポラリーなひとに関心がないと興味が薄れる。

落語が終わり阪急電車に乗ると、大雨が降ってきた。ふと考えた。降りて乗り継ぐのも面倒なので、このまま明石まで乗って行こう。明石は山電とジェイアールが隣接しているので乗り換えに便利だろう、と。
よー考えたら三宮もそうなんですけどね。(笑)
ところが、新開地でふと魔がさして「丸萬」に行きたくなった。
新開地で降りて、新開地本通りに出たまでは良かったが、そこから店へ行くまでの横道へ逸れた途端にずぶ濡れ。

でも、ひさびさに、あの店の空気感の中で飲むことができた。

落語、相撲、飲み屋。
やっぱり、単にいまどきなだけでは、魅力がないのよね。落語も相撲も飲み屋も、間が空くと、まあ、あかん。

てなところで、お後がよろしいようで。