本年18冊目、読了。 | 有爺のご意見箱

本年18冊目、読了。

本年18冊目。
西村賢太「どうで死ぬ身の一踊り」読了。

面白かった。

西村賢太の作品はまだ3、4冊しか読んでないと思う。
あまり読まない私小説。
情けないくらい野卑で、どうしようもなく酒癖が悪く、ぜったいに女性にモテない主人公。
でも、なんだか第三者的には面白い。 

藤澤清造という作家への偏執狂的な思い入れ。
じぶんのやりたいことへの盲目的な突進力。そのエネルギーたるや、もはや病的。
どこかにいそうで、いたらゼッタイにハタ迷惑なタイプ。
その主人公こそ、西村賢太そのひとなんだろうなあ。じぶんという人間をここまで客観的に貶めて描けるのは凄いと思う。
ひさびさに読んだけど、すぐに次が読みたくなった。
人間って、多かれ少なかれ、こんなじぶん勝手な面を持っている動物なんだろうな。

ライトノベルズ全盛のいま貴重な存在だったのに、早逝しちゃったのは、なんともまた、惜しい。

短いセンテンスでテンポ良く書くことをふだんは目ざしているのに、こんな文体を読むと、読点の少ないダラダラしているが澱みなく読めるところにも憧れるなあ。

右手に秋山晶、左手に西村賢太。
そんなふうになれないかなあ。