「ハワイ音楽を楽しもう:スラック・キー・ギター五奉行」 column特別編 | NPO法人日本ハワイアンリトミック協会

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みなさんこんにちは。

ウクレレ講師の野田です。

 

今日はハワイの音楽について少しお話をしてみたいと思います。

みなさんは普段からハワイの音楽を聴いていますか?
正直なところよほどのハワイ音楽そのもののファンでない限り日頃から聴かれている方はそう多くないかと思います。現代フラ(アウアナ)には音楽が付き物ですのでフラをやっている方はフラソングを聴かれる機会はあるかと思います。その意味ではフラには音楽が必要と言えるでしょう。しかしながら音楽からの目線で見ると必ずしもフラを伴う必要がなく、純粋に音楽を楽しむスタイルもあります。実際ハワイ音楽のファンにはミュージシャン個人のファンも多く夜な夜なアウトリガー・リーフ・オン・ザ・ビーチホテルのカニカピラグリルなどでライブ演奏を楽しむ人も少なくありません。今日はそのような聴くハワイ音楽を少し紹介したいと思います。

 

みなさんは「スラック・キー・ギター」をご存知ですか?

ハワイには3つのオリジナルの弦楽器があります。一つはみなさんもよくご存じの「ウクレレ」です。二つ目はハワイアンには欠かせない「スティール・ギター」。(参考:https://youtu.be/r6dWMF2eE2w)そして三つめが「スラック・キー・ギター」です。ところがこの「スラック・キー・ギター」は1970年代まであまり知られることがなくまだまだマイナーな存在です。ところがこの3種類の弦楽器の中では最も歴史が古くその起源は1825年頃まで遡ります。(ちなみに「ウクレレ」がハワイに登場したのが1884年頃といわれており、「スティール・ギター」は1889年頃に「スラック・キー・ギター」から派生した楽器といわれています。)この年にハワイ王国ではカメハメハ3世が即位します。そしてカメハメハ1世の時代にイギリスから贈られながらその後放牧したまま自然に数が増えてしまった牛をどうにかするためにメキシコのカウボーイを招き牧畜の指導をしてもらいました。(余談ですがメキシコ人はスペイン語を話すためハワイの人たちはカウボーイたちを「パニオロ=スペイン語を話す人」と呼びましたが、今でもハワイ語で「カウボーイ」のことを「パニオロ」と呼びます。)「スラック・キー・ギター」その際にメキシコ人が持ち込んだギターをもらったハワイの人たちが編み出したギターの奏法がルーツになっています。普通のギターとの違いはチューニングにあります。元々ギターは決まったチューニングがありますが、ハワイの人たちはそれを教わらずに耳で勝手に心地良いチューニングを編み出します。ただしそのチューニングは人によりバラバラで「スラック・キー・ギター」のチューニングの種類は人の数だけあると言われています。

 

そのようにしてハワイで生まれた独特のギター奏法が出来上がりましたが、そのチューニングや演奏技術は他のハワイ文化の伝承と同じように表に出すことなく家族や一族で継承していくものであったため長い間一般に知られることがありませんでした。

 

1947年にギャビー・パヒヌイというミュージシャンが「スラック・キー・ギター」を使って「ヒイラヴェ」という曲を初めてレコーディングします。これが「スラック・キー・ギター」が多くの人に知られるきっかけになりました。このギャビー・パヒヌイは「スラック・キー・ギターの神様」とも呼ばれ、伝統的なハワイアンソングを「スラック・キー・ギター」で演奏するというスタイルを生み出します。そして1970年代には昔からのハワイアンソングのルーツを再認識しようというルネッサンス活動が起こりその中で「スラック・キー・ギター」はブームを迎えます。(ハワイアンミュージックのルネッサンスはハワイの文化史的にも重要な要素になっており、ホノルルにあるビショップ・ミュージアムにもその当時のことを解説したコーナーがあります。)

 

この時代多くの「スラック・キー・ギター」プレイヤーが生まれますが、私のスラック・キー・ギターの師匠でもある山内雄喜氏には先に出たギャビー・パヒヌイを筆頭にレイ・カーネ(山内氏の師匠)、アッタ・アイザックス、レオナード・クワン、サニー・チリングワースをスラック・キー・ギター五奉行と呼んでいます。彼らの演奏はどちらかというとフラのレッスンなどに用いられる演奏スタイルとは異なり、ハワイアン・カントリーとでも呼ぶような演奏でハワイアン音楽のイメージを覆すでしょう。

 

それぞれのミュージシャンのことを細かく語りだすと長くなるのでまた別の機会に回すとしますが、まずは五奉行の演奏を聴いてみてください。そしてもっと聴いてみたいと思ったらぜひCDなどでじっくり聴いてみてください。ちなみに「スラック」とは「緩める」という意味で一般的なチューニングに比べると言を緩めてチューニングすることが多いことからきたのかもしれませんが、そのサウンドも気持ちを緩めてくれるとても心地がよいものです。

 

ヒイラヴェ  ギャビー・パヒヌイ

 

プナヘレ レイ・カーネ

 

ハウ・ドゥ・ヤ・ドゥ  アッタ・アイザックス

 

 

オピヒ・モエモエ レオナード・クワン

 

 

シャルマリータ・マラサーダ(ポルトガル民謡) サニー・チリングワース