登記について見積もり依頼はよくある。ただこれは難しい。

 

 勿論報酬だけならざっくりとした金額は出せる。したがって住宅ローンを返済し抵当権抹消登記の場合は、住所の変更がない限り大体の総額を出すのは簡単だ。一方相続や売買などは、登録免許税の比率が高い。

 仮に同じ30坪の一戸建ての家と土地の相続登記だとしても、港区と西東京市、あるいは過疎地で評価額が異なってしまう。ましてや一戸建ての場合お客様自身が、私道があることを見落としていることも多い。

 したがって報酬のみを言って、登録免許税が別途かかることを説明しないと後々トラブルになるので、それを説明したのちに報酬のみの説明はする。しかしこれでは一体いくらかかるのかわからない。結局同じ質問が来る。正確にとなると評価証明書が必要になることを説明する。そしてやっとトータルの費用がわからない理由を納得してもらえる。(それでも納得できない方もいるが)

 

 お客様の気持ちもわからないわけではない。「法律」となると難しく考えてしまいがちだからだ。

 でもこれを自動車に置き換えてみたらわかりやすいと思う。

 例えば自動車屋さんに行って、「自動車はいくらですか?」と聞いても、販売店の人は答えられないだろう。何故ならどのクラスの車を購入したいかわからないからだ。極端に言えばお客様は、軽自動車を希望しているのか、プリウスを希望しているのかはたまたフェラーリーを希望しているのかわからない。最もディーラは、軽自動車メインのところでフェラーリーなど売っているわけはないが、

 そこで販売員は、予算や車の好みなど聞いてくるはずだ。そしてある程度車を特定して初めて見積もりが出る。

 

 相続など所有権移転登記も理屈は同じ。どのクラスなのか(不動産の場合、固定資産の評価額)わかれば、見積もりは出ます。当たり前だけど登記の数が増えれば費用もあがる。これもリンゴを1個買うのと5個買うのとでは価格が違うのは普通でしょう。

 ということで身近なものに置き換えて考えると、何もない状態で見積もりが出ないことは一目瞭然だと思う。