現在ホームページ上では、債務整理案件の受託を停止していますが、先週珍しく「立替金を払え」と訴えられたということで相談者が見えた。

 資料を見ると訴状が届いているのが、約1か月前、口頭弁論期日が来週、裁判所では明日までに答弁書を送付するようにとのこと。しかも金額が20万円弱。

 単にこの裁判だけで、答弁書を送付し分割払いの和解狙いというのは、相手方によるが大して難しくない。しかしこんな少額を返済するのに、2年近くの分割払いということになると絶対おかしい。

 資料がないので自己申告としたが、他に約300万円の負債、給料から家賃、他の債権者への返済金を引くと、4万円にも満たない。普通他にも、ガス、携帯電話、電気、水道、食費を含めるともっと出費があるはずだ。(おそらく足らないので、他の債権者のリボ枠、キャッシング枠を利用して不足を補っているのだろう)

 だとするとこの裁判で取り合えず分割払いの和解ができたとしても、早晩破綻するのは目に見えている。であれば、破産か個人再生事件に持っていき1回目の期日で債務整理を検討する旨の答弁書を提出し、2回目の期日を決めてもらう。そしてその間に一気に、破産か再生の申し立てをし、受理されれば相手も取り下げてくるのがセオリーだ。しかも訴状が届いたときに専門家の所に来ていれば時間稼ぎもできる。

 しかしそれだと弁護士ないし司法書士に支払う報酬が発生するのでためらわれる。であれば法テラスを利用する手もある。勿論生活保護とかでない限り分割払いで返済する義務はあるが、それも嫌だと。

 この種の人間の場合法テラスを利用しない限りただ働きのリスクは高くなり、かつ裁判に介入すると、上記の通り破綻リスクも高いので支払いが滞ったときこちらに連絡が来る。

 したがって受託はお断りしたが、なんと勿体ないお金の使い方をしているんだろうと思った。

 もし自分がその立場になったら破産か、再生の申し立てをし生活の立て直しを図る。そして給料を債権者への返済のために稼ぐのではなく、自分のために使う。そのほうが有意義だからだ。最も借りたお金は返すべきだという意見もあろう。確かにその通りだ。しかし今回のケースでは、問題を先送りにしているに過ぎないし、結局他の債権者への負債が大きくなり、破産になる。破綻するのが解っていながら(最後には返せない)借りるというほうが、債権者にもより大きな迷惑をかけるし、個人的には詐欺に近いと思う。

 貧困の問題もあるが、そもそも借金の返済を滞らせることが学校の宿題を忘れて一時的に嫌な思いをするだけの感覚でいるような人も多く社会に出て「契約」というのは履行しないと、学校の宿題を忘れただけの罰で済まないということを肝に銘じておく必要がある。

 というわけでまだ債務整理案件は、様子見としようと改めて思った案件でした。