昨日、テレビ等で台東区の同業司法書士が、成年後見業務を行っていた際、11か月の間に6000万円以上のお金を横領して逮捕されたという事件が報道された。

 同業者として恥ずかしい限りである。

 このようなことを防止するため、司法書士にはリーガルサポートという団体があるが、自分もそことはあまり仲が良くないし、正直このような事件の再発防止のために役に立つのか疑問がある。

 さて、このような被害に完全に会わないようにするということは、不可能だが確率を減らす方法はある。

 まず法人で受託したか個人事務所なのか?

  当然法人事務所の方が安全だ。何故なら司法書士の場合、法人にするには、最低二人の資格者がおり、かつ無限責任を負うことで法人化が認められる。万一一人がこのような行為をすれば、他の一人がとばっちりを食う。当然内部での監視が強化される。しかし、司法書士会の執行部は、どちらかというと法人事務所を毛嫌いする傾向がある。その言い分は、司法書士は、「公益的な業務を行うものであり、営利企業のような立ち振る舞いははしたない」ということである。勿論こんな考えは間違っているのだが、狭い世界にいるとそれが正しいと錯覚するから恐ろしい。そのため司法書士法人が成年後見業務を行うのは、少数派であり、地域によっては認めないところもある。また法人化している所は、登記業務主体で、後見業務に力を入れている所が少ないという現状もある。


 次に、後見人になった司法書士事務所に行くことをお勧めする。理由は何でもいい。

 行って確認してもらいたいのは、事務所の規模、忙しさなどだ。

 例えば、事務所に担当の司法書士と面会している間、何回くらい電話がなっているか、ボードの予定表は、埋まっているか、暇そうにしている職員はいないかなどでいい。

 一般に事務員がいる場合、給与の支払いがあるから、司法書士自身や事務員が暇そうにしていると、その給与の出どころはと気になるであろう。逆に忙しいところだとあまり親切にされないかもしれないが、他人の金を使っている暇などないであろう。それに職員を抱えているので法人のようにとは行かないが複数の目がある。逆に言えば、事務所への来所を何らかの理由をつけて拒否してくるところは要注意だ。(本当に都合の悪い場合もあるので、その場合は日にちをずらすなど代替案を相手が提示してくる場合は別)

 また規模が小さいわりに司法書士会などの理事など執行部にいるものも要注意だ。これは、執行部の業務で、本業の時間が削られるからだ。実際自分の知り合いの同業者が年次が浅い割には、会の委員を掛け持ちし、本業に時間をかけられず売上が減少しやはり被後見人の財産に手を付け逮捕された者もいる。(当然業務禁止となった。)


 問題なのは、一人事務所だ。司法書士は本来登記業務が中心だが、一人事務所で成年後見業務特化の場合、一部を除きそもそも登記業務で売り上げを上げられない事務所が多いことだ。この場合、従業員やパートナー司法書士の目が届かない。キャリアが浅く未熟な場合もあるしベテランでは、登記業務について他の事務所との競争に敗れている場合もある。勿論基本的にまじめに業務を行っている者が多いが外から見るとわかり辛い。そしてリーガルサポートの会員で後見業務を中心に行っているのがこの層の人たちだ。


 つまり何が言いたいかというとこのような被害にあいづらくするために、不定期でかまわないから事務所を訪問し監視することが大切だということだ。