森博嗣 著
『ペガサスの解は虚栄か?Did Pegasus Answer the Vanity?』(講談社タイガ)を読みました。
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トウキョーの地下深く核廃棄物が埋蔵されている。
そこには生命科学研究所があり、人間の生殖についての研究がされている。
ハギリ博士は所長から、ペガサスという名のスーパ・コンピュータ、日本のシンク・マシンを紹介される。
クローンの元となる元細胞をあらかじめ体内に格納されたウォーカロンが秘密裏に開発されていること、そしてパリの博覧会から失踪したウォーカロンがこの件に関係しており、インドにいる可能性が高いというペガサスの情報を得たハギリ博士は、インドへと向かう。
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読みはじめてすぐ、ある人物がいないことに気づいて。
何かあったんだろうか?
もしかしたら…なんて縁起でもないことを考えながら読み進めていく。
ハギリ博士、今回何故かモテモテなんです。(本人が自覚してないのがこれまたもどかしいんですが。)
女の人って変われば変わるもんです。
今作品を読んでいて今まで以上にAIの暴走よりも、利益や権威を我が物にしようとする人間の暴走の方が恐ろしいと感じました。
ある意味それが人間らしさなのかも知れません。
親だから、子だから、権力を持ちたいから、富を得たいから…。
様々な思いや欲望から、自分勝手な理由を付けて、決めたはずのルールを破り、コースを外れるのは人間だからこそなのかも知れないなと。
AIが意識を持つ云々よりも、扱う側の人間の意識が問題なんじゃないかなと強く思いました。
温暖化しかり、核しかり、技術を持てば使いたくなるのが人間。
解釈の仕方も変幻自在、抜け道も上手く作っておいて、いざ危ないからやめようとなっても、結局地球規模ではなくて自らの利益のことだけ考えて、いつまでもやめられない。
未来の物語から今を知り、未来を考える。
それがSFなのかな。