ドラマチックに体験したかった

 

すべての感情を

 

一つ一つの感情を全~部

ドラマチックに体験したくて

 

私はこの地球に

生まれてきたのかもしれない

 

と、ふと思った

 

 

 

恋が終わるときの喪失感

 

できない、やれない

 

つらい、悲しい

 

怖い、何も手につかない

 

愛されていない、自信がない

 

そういう感情も全部

めちゃくちゃに

味わい尽くしたかったのかもしれない

 

 

自分で言うのもなんだが

私は頭の中が100%

ネガティブ思考で

動いていた人間である

 

それが数年前から少しずつ

「役を演じている感覚」も

感じるようになった

 

 

なんだか無理矢理

悲しみに浸る自分を

演じているような感覚が

襲ってくるようになってきたのだ

 

ザーザー降りの雨の中

傘もささずに独りで泣きながら

夜道を歩くドラマの主人公を

遠くから眺めているような感じ

 

しかもその主人公、よく見たら

 

「ほら、私こんなに悲しんでるでしょ?」

 

「可哀想だよね?」

 

って周りにさりげなくアピールしてる

 

 

世界で一番不幸な私を見て…!

 

こんなにも可哀想な私を慰めて…!!

 

現実世界で涙を流しながら

頭の中では↑こんなことを考えている自分が

いることに気がついてしまった時

私はとっさに見ないふりをした

 

「演者の自分」の存在を認めたくない

 

だって認めてしまったら

自分がすっごく計算高くて

性格が悪い人だってことを

認めなくちゃいけないと思ったから

 

表向きは「ザ・良い人」の仮面を

かぶって生きてきたもんだから

真逆の自分がいるなんて

絶対に認めたくなかったのだ

 

でも、一度気がついてしまったら

もう向き合うしかない

 

 

『壮大な悲劇のヒロインごっこをして

私が手に入れたかったものは何?』

 

自分に質問してみたら

簡単なことだった

 

母親からもらえなかった愛情を

他人からもらいたかった

 

ただ、それだけだった

 

ネグレクトされて育った経験から

私はありのままの自分では

愛してもらえないのだと学び

 

他人の興味を惹きつけるには

どうしたら良いかと考えたようだ

 

子どもは親の愛情を

十分に獲得できないことを察知すると

めっちゃいい子になろうとするか

めっちゃ悪い子になろうとするらしい

 

どちらも親の興味を引くためだ

 

褒められることで愛をもらうか

 

心配をかけることで愛を引き出すか

 

ということだ

 

私は親にどちらもやってみた結果

どちらをやっても

効果がないことを知った

 

私の母はそもそも

自分にしか興味がなかったからだ

 

だからって、他人に対しても

同じ実験を仕掛けていたとは

全く思っていなかった

 

今日、今、この瞬間まで

全く無自覚だった

 

多分、どう振舞えば

一番愛してもらえるのかを

無意識に試していたんだと思う

 

そしてその結果

悲劇のヒロインになることが

一番良いと学んだんだろう

 

「それ」が最善ではないと分かっていても

ありのままの私では

愛してもらえないのだから

そうするしかないと思ったのだ

 

その証拠に

私の恋愛は「悲しみ」から

始まることが多かった

 

彼氏に傷つけられた

しくしく

慰めてくれる人が現れる

その人と付き合う

浮気される、嘘をつかれる

しくしく

別れる

別の男性が慰めてくれる

その人と付き合う

また傷つけられる

しくしく

 

しくしくのループです

 

 

馬鹿じゃないの?

 

って思うかもしれないけど

本当にこんなことばっかり

やってたんだよ

 

 

でも、もう分かっちゃった

 

 

「可哀想な自分」でいなければ

愛情がもらえないって思ってただけ

 

どうして上手くいかない恋愛ばっかり

引き寄せちゃうんだろうって思ってたけど

自分で意図したとおりの結果を

完璧に体験してきただけ

 

「可哀想な私」でいるために

がっつり傷つけてくれるキャストを

自分で募集しちゃってただけ

 

 

それだけだったよ

 

 

いやー、キャストのみんなありがとう

 

名演技でした

素晴らしかった

 

そして私も名演技でした

 

ちゃんと「可哀想な私」を

全力で演じてました

 

騙されたぁー

 

全然気がつかなかったぁー

 

やっぱり役に深く入り込むためには

自分自身を一番に

騙さなくちゃいけないからね

 

私、超才能あるわ

 

天才だわ

 

前世は女優だったのかしら?

 

きっとそうね

 

 

でも充分楽しんだから、もうやめるね

 

だってもう気がついちゃったから

同じことをやろうと思っても

前みたいに役に深く入り込めないもの

 

 

終わってみれば

すごく楽しかったし

すごくエキサイティングだったし

すっごい没入感だったよ

 

 

長ーい映画を

ようやく見終わった後のような

素晴らしい達成感をありがとう