久しぶりに会う先輩は、あまり変わっていなかった。

元気は無さそうだったけど、元々やせ形だし色も白い。幸の薄そうな感じも同じ、そして相変わらずイケメンで偏屈だ。

しっかりと挨拶をしないでいなくなった事を詫びたが、あっちはそれほど気にしていない様だった。

それから、保険って聞いても来たのは、可愛がって貰ってたからで、何か協力出来ないかと思ったからと伝えた。

本心からそう思っていたけれど、がっつり売り込まれても悲しいので予防線の意味もあった。

それから、先輩に何があったのかを聞いた。
先輩曰く、これだけ勉強してるのにこのレベルの論文しか書けないのかと絶望したらしく、教授に引導を渡される前に自分から去ったらしい。

先輩の目には涙が滲んでいた。
もう少し聞きたい気もしたが、先輩の気持ちを思うとこっちもウルウルしてきたのでそれ以上は止めておいた。


つづく