職場の業者さん | やまとうた響く

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日々の出来事や想いを綴っています。エッセイ風に書けたら素敵なんだけれど。

うちの職場は万年人手不足で掃除にまでなかなか手が回らないのが現状なので、外部の業者さんにお願いして来て頂いている。


以前来て頂いていた業者さんの所の人は職員にすこぶる評判が悪かったので、一時コロナが今以上に蔓延した頃に、しばらく外部の方の出入りをお断りしたのを機に、今の業者さんに代わって来て頂くことになった。


以前来ていた人は、責任者の方は熱心でキチンとされていたけれど、いつもはその方は来られずに、社員さんが数人来られていた。ところが仕事ぶりが雑で角は丸く拭くし私語をしながら至って適当。あれなら素人の私達とまるでかわらない。何度か指摘が入っても変化なし。


そこで思い余って業者さんを変える流れになった。こういう施設の清掃はほんとに大変だとは思う。利用者さんがいない時に、と言うわけにはいかず、いつも居るのでその間を縫ってしなくてはいけない。利用者さんに邪魔される(話しかけてくる)こともあるし、かなりの上級者でなければ難しいと思う。


それはそうなんだけれど、一応はプロにお金を支払って来てもらっているのだから、キッチリ綺麗にしてもらわなくては意味がない。素人と変わらない掃除ぶりで、利用者さんの居るスペースは無理です〜のような適当さ。そして一度も綺麗になった、と言う実感もなかった。


よくスーパーで見かける掃除の人(たいていかなりの高齢者)もそういえば、なじみのお客さんなどと喋りながら適当に床のモップがけをしているな、と思う。


以前テレビで高齢になると、掃除の仕事しかない、と話されているのを聞いたことがあるけれど、本当に綺麗にしようと思ったらかなりの労力や技量を必要とする仕事で、掃除の仕事くらいしかない、などと言える安易な仕事ではないと思う。


以前の業者さんの所から来ていた人は若くて二十代前後でバイトにしか思えない責任のなさだった。


そして今来て頂いている業者さんは、しっかりプロだな、と感じられる業者さんで、ほぼ毎日

来られている私よりいくらか若い女性の方はベテランらしく、初めてその方が来られた後に、利用者のお手洗いにペーパータオルの追加を持って入った際に、ピカピカの鏡と洗面台を見て思わず感動した。


本来こんなに綺麗だったんだ、と今までの汚さが恥ずかしくなった。それで慣れていたのだから😣 そしてそれから他の場所もいつも綺麗に整えられている。


さらに彼女は利用者さんが話しかけてきても、ちゃんと受け答えをしながら上手に手を抜かずに仕事をされる。唯一食堂に行って皆が居なくなるわずかな時間に、猛烈な速さで皆がいつも居るホールの床を磨き上げる。


その方になってから職員の評判もいいし、毎日顔を合わすので親しみもわいて、お互い仕事中なので話し込むことはないけれど、少しは談笑したりもする。そんな中で彼女には発達障害の息子さんが居ることや、彼女自身難病もあり、片方の手はほとんど使えない、と知りほんとに驚いた。


それでも、旦那いないし、私が頑張らないと、とあっけらかんと笑顔で話される。あぁ、覚悟が違うんだ、と私も身を正す思いになる。


清掃の仕事は、色々な所に行ってするわけで、場所によって条件がまるで違う。朝や夜、人の居ない時間帯での清掃はまだやりやすいだろうけれど、うちの職場の様に人が入り乱れる日中の清掃はほんとに大変だと思う。おおよそのマニュアルはあるだろうけれど、そこまで細かくはできないと思う。


彼女は職員や利用者さんの動きを一切邪魔しない。ちゃんと動きを見て上手にこなしていく。そのあたりは彼女の人間性だと思う。


いつの間にか職員ではないけれど、彼女が同じ空間で仕事をする仲間として、いつも居ることが普通になってしまってこれからもずっとそうだ、と思っていた。


すると先日、新人さんのような人を連れて来られてあれこれ指導されていて、実は私は今日までなんです。お世話になりました、と青天の霹靂!


うわ〜どうして!?😳、とショックだったけれど、その業者さんの会社は個人経営で、なかなか福利厚生が充実しておらず、有給休暇の制度もあってないようなもので、清掃現場に向かうのも自腹で交通費もでない、ちょっとやってられなくて、と言われた。


わずかな期間ではあったけれど、こんなに残念で寂しいとは。思いがけないことは突然起こるものだ。


それにしても、うちの職場は社会福祉法人だから福利厚生はしっかりしていて、私も入院手術で2ヶ月休んだにも関わらず気持ちよく復帰もさせてもらえているし、諸々の制度を使わせてもらえて助かった。これはほんとに有り難いことで、普通ではないんだな、と痛感する。けれどこうは出来ない状況の会社なり業者さんは沢山あるのだ。


あんなに熱心で真面目な人が、それに見合う環境で仕事ができる場が与えられないのは理不尽なことだけれど、今後の彼女がよりよい方向で生きていけるように願うばかりだ。


先日一生懸命新人さんに指導をされていたけれど、なかなかねぇ、と首をすくめられていたけれど、指導も一日限りの様で、彼女と同じことはいきなり求めないけれど頑張ってもらいたい。去る人がいれば新しい出会いもある。またいい出会いになることを期待したい。