子供に起こりやすいスポーツ障害と怪我予防対策 | 石川貴之/ゼロ・グラヴィティ理論 --- 爆発的にパフォーマンスを発揮する"7つ"の新法則

石川貴之/ゼロ・グラヴィティ理論 --- 爆発的にパフォーマンスを発揮する"7つ"の新法則

▼待望の著書 #ゼロ・グラヴィティ理論 が4月刊行▼過度なウエイトトレ不要の世界を目指し"7つ"の新法則を提供中。ストレッチ,トレーニング,スポーツ動作の指導が得意▼2019年北海道〜沖縄の全国で受講者数229人/3月現在▼株式会社カラダラボ代表取締役

スポーツ障害と原因

 

10代の子供たちは身体が未発達で、成長過程の中にいるため、

スポーツ障害を引き起こすことが多い。

主な障害とそれに対する患部、症状、原因は以下になります。

 

▽オスグッド病

主な患部:ヒザ
症状:ヒザの下にあるお皿が徐々に突出してきて、腫れや熱、痛みを伴う症状がみられる。

原因:大腿四頭筋の過度な発達

▽シンスプリント

主な患部:下脛(すねの内側)
症状:陸上競技などの“走る”ことが多い競技の選手に起きやすい。

    疲労が蓄積したときに発症しやすく、スネの内側に痛みを伴う。

原因:母子屈筋の硬化

▽かかとの骨端症(シーバー病)

主な患部:かかと    
症状:かかとの後部に痛みを伴う。

    10歳前後の男児に多く見られ、激しい運動の後に症状が出ることが多い。

原因:アキレス腱と足底筋の硬化

▽腰椎分離症

主な患部:腰椎(こし)、臀部、太もも
症状:腰椎の疲労骨折。

    回旋運動や前後傾を繰り返すことで疲労が蓄積して発症する。

原因:左右の仙腸関節のバランスの崩れ

 

これらの障害を引き起こしやすい子供は、前傾姿勢になり、腰が引けていることが多い。

そのため、母子球に体重を乗せ、足の力だけで踏ん張ることで症状が起きていると考えられる。

子供は疲れを認知しづらく、疲労を溜めやすい。

ストレッチなどのケアを怠り、筋肉が硬くなった状態で運動を続けることで、

筋肉、腱、骨に負担がかかってくるのである。

 

これらのスポーツ障害の共通点は慢性的なケガである。

身体を上手に使えない状態で練習を続けていることが原因の1つである。

また、痛みが出た時に何もケアをしなかったり、病院に行かなかったり、

ということを繰り返すことで、軽度の症状ですむようなものまで重症化した障害になってしまうのです。

子供が痛みを訴えたときは、指導者、両親共にしっかり話を聞き、対応してあげることが大切です。

 

 

左右差のあるスポーツ障害に対するケア法

 

私を含むコンディショナーや運動指導者が痛みなどの症状がでてしまった子供たちに、

どのようにケア(ストレッチも含む)をしてあげることがベストであろうか。

 

野球をやっている子であれば、利き腕を痛めることが多い。

サッカーをやっている子は、効き足を痛めることが多い。

このように、顕著に痛みの差がでている子には、痛めている側を集中的にケアしてあげる必要がある。

例えば、30分間ケアをできる時間があるとする。

このとき、30分間すべてを痛みのある側だけに費やすのが良い。

もしくは、9:1、8:2の割合で痛みのある箇所をケアしてみるのも良い。

その理由は、痛みのない方を先にケアすると、痛みのある方も緩むからだ。

どちらの割合でケアをするにしても、痛みのある方をメインにすることが大切である。

 

上記のように、痛みの差が顕著に表れている人は少ない。

お店に来店されるお客様に身体の気になる箇所を質問すると、

多くの方が「肩が全体的に痛い。」「腰の右も左も同じくらいこっている。」ということが多い。

こういう方に対しては、5:5の割合でケアをしてあげるのが良い。

ケア中に左右差を感じた場合、張りや痛みの強い方を6:4の割合で

ケアの時間を変えてあげる臨機応変な対応が必要である。

 

上記のスポーツ障害の一覧に関しても、

症状が左右どちらかだけに発症している子もいれば、

両方とも痛めてしまう子もいる。

すべての人が同じように痛みがでるわけではない。

同じ症状をもっている子でも、左右どちらかが痛い子と両方痛い子とでは

左右にかけるケアの時間や内容を変える必要がある。

痛みに左右差があるかどうかは患者様・子供たちに直接聞くしかない。

相手に心を開いてもらい、正確な情報をたくさん聞きだすためには、

高度なカウンセリング技術が必要である。

ケアができるだけの施術者や、指導だけができる指導者ではダメだということだ。

コミュニケーション能力が高いことで、より良い施術や指導が可能となる。

 

 

スポーツ障害予防法

 

スポーツ障害が起きないように指導してあげることが、我々を含めた指導者の義務である。

そのための方法を2つ紹介します。

まずは姿勢が正しい状態でスポーツをさせることである。

 

例にあげてきたスポーツ障害はどれも下半身に起きている。

その理由は足だけで運動をしようとしている子供たちが多いからだ。

足だけで運動するのではなく、上半身をうまく使うことが大切である。

上半身をうまく使うためには、まず姿勢を正しくする必要がある。

 

①骨盤を前傾させる(立てる)

②胸をはり、高い姿勢を保つ

③重心を小指球に乗せる

 

自分の姿勢を確認してみてください。

運動中に目線が下がってしまう人、猫背になってしまう人、足全体で踏ん張ってしまう人などは

これらを意識してみてください。

 

2つ目の予防法は、上半身と下半身を連動させるトレーニングを行うことです。

先程のポイントをおさえて姿勢を正しくすると、筋連鎖運動をスムーズに体現できるようになります。

筋肉の連鎖運動により全身を使うので、疲労が分散され、足への負担が軽減される。

その結果、ケガのしずらい身体へと変化していきます。

サッカーを例にし、身体の使い方を考えてみる。

 

①背骨の回転

②肩甲骨の回転

③体幹の捩れ

④捻り返しで足が出てくる

⑤ボールをキックする

①〜⑤の順序で動かすと、様々な足の障害が解決される。

 

正しい姿勢と筋連鎖運動は密接に関わっているのである。

スポーツ障害が起きる前に、正しい身体の使い方を覚えることで、ケガ予防になる。

2つの項目をおさえ、ケガのしずらい身体の使い方をしてもらいたい。

 

 

怪我予防に繋がるストレッチ3

 

 

 

 

 

 



 

 

 


 

神経系トレーニングは脳で動きを覚えるので、身体の使い方を正しく覚え、

体現することが可能です。

それにより、ケガ予防へと繋がります。

Ver.1から順番にやってみてください。

徐々に難易度があがっていきます。

 

 

子供のスポーツ活動量と怪我の関係性

 

昔は、公園で走ったり、木に登ったり、色々な遊びをしていました。

環境は今より整備されていないところが多く、デコボコした場所や草むらで遊んでいました。

現在は、小さい頃から同じスポーツを続けている子供が多いため、

身体の同じ箇所ばかりに疲労が溜まってしまいます。

環境は公園などの遊べる場所が減少し、

グラウンドには足に負担のかかる人工芝が使われるようになってきました。

運動靴の改良が進み、グリップが効くようになっているのも足の負担になっています。

環境が整備されてくるとともに、スポーツの活動量も増えてきています。

はたして活動量を増やすことは良いことなのでしょうか。

 

一日の練習時間、練習の内容、一週間のうちの練習頻度などの

様々な要素が組み合わさることで、活動量というものが決まってくる。

活動量が増えることで、身体的にも精神的にも多くのストレスを与えます。

ストレスレベルが上がると、練習に迷いや不安が増え、集中力が欠けてきます。

その状態で練習を続けることは、パフォーマンスの低下につながります。

子供たちの集中力が持ち、スポーツを楽しいと感じることができる活動量を考えていく必要がある。

 

スポーツ障害は防げる障害である。

身体の使い方や活動量を変えることが、ケガ予防になる。

子供のころからケガが絶えないような状態が続かないように、

保護者、指導者が気をつけていく必要があるのではないだろうか。